刑事事件の示談とは・示談金の相場
— 傷害・痴漢・盗撮・窃盗・不同意わいせつ —
| 1 | ご家族が逮捕され、被害者への謝罪や示談を検討しているとき 検察官が処分を判断する前に示談交渉を始められるか、手続の流れと見通しを整理してご説明できます。 |
| 2 | 警察から呼び出しを受けたが、被害者の連絡先が分からず示談の進め方に迷っているとき 弁護士を通じて捜査機関に被害者の連絡先の開示を打診する方法など、取り得る選択肢をご説明できます。 |
| 3 | 提示された示談金の額が一般的な水準から大きく離れていないか判断がつかないとき TX・常磐線で都内へ通勤される方の電車内での事件のご相談を含め、金額の考え方を個別に整理できます。 |
| Q | 刑事事件の「示談」とは何ですか? |
| A |
結論として、示談とは、事件によって生じた損害賠償などの民事上の問題を、裁判によらず加害者と被害者の話し合い(合意)で解決することです。
示談とは、加害者が被害者に謝罪し、示談金を支払うなどの条件について合意することで、当事者間の民事上の紛争を裁判外で解決することをいいます。法的な性質は、民法の「和解」にあたる契約です。
【根拠】民法(明治29年法律第89号)第695条:「和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。」
傷害・痴漢・盗撮・窃盗・不同意わいせつのように被害者がいる犯罪では、示談の成否が刑事手続にも影響します。示談書には、示談金の額と支払方法のほか、①清算条項(示談金のほかに債権債務がないことの確認)、②宥恕(ゆうじょ)条項(被害者が加害者を許し、処罰を望まない意思の表明)、③接触禁止条項などを定めるのが一般的です。 なお、薬物事件のように被害者がいない犯罪では、示談の相手方が存在しないため、示談による解決はできません。 |
| Q | 示談をすると、逮捕や起訴、刑の重さにどう影響しますか? |
| A |
結論として、示談の成立は、検察官の起訴・不起訴の判断や裁判所の量刑判断で加害者に有利な事情として考慮され、不起訴処分・執行猶予・早期釈放につながる可能性が高まる場合があります。
検察官は、犯罪後の情況などを考慮して、起訴しない(起訴猶予とする)ことができます。これを起訴便宜主義といい、被害弁償や示談の成立、被害者の宥恕は、この判断における重要な考慮要素とされています。
【根拠】刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第248条:「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」
また、逮捕・勾留されている場合でも、示談の成立により証拠隠滅などのおそれが低いと判断され、早期の釈放につながる場合があります。起訴された後であっても、示談の成立は量刑上有利な事情として考慮され、執行猶予付き判決につながる場合があります。告訴がなければ起訴できない「親告罪」にあたる一部の犯罪では、示談に伴い告訴が取り下げられれば、起訴されずに手続が終わります。
示談が成立しても起訴されることはあり、示談は特定の結果を約束するものではありません。それでも、被害者への謝罪と被害回復は、刑事手続上も民事上も重要な意味を持ちます。
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| Q | 示談金の相場は、罪名別にいくらくらいですか? |
| A |
結論として、あくまで一般的な目安ですが、暴行は10万〜30万円程度、痴漢は20万〜50万円程度、盗撮は10万〜50万円程度、不同意わいせつは30万〜100万円程度、不同意性交等は100万〜300万円程度、窃盗は被害品の弁償額に数万〜数十万円程度を加えた額とされることが多いです。傷害は、ケガの程度や後遺障害の有無で金額が大きく変わるため、一律の目安を示すことが難しい類型です。いずれも法律上の基準はなく、事案により大きく変動します。
示談金には法律で定められた基準がなく、当事者の合意によって決まります。過去の実務例などから語られる一般的な目安は、次のとおりです。
⚠️ 相場は、あくまで「相場」にすぎません。示談金は当事者の合意で決まるものであり、事件の態様・内容、被害の程度、被害者の処罰感情、行為の悪質性・常習性、加害者の経済状況などによって大きく変動します。上記の幅を超える金額で合意される例も珍しくなく、この表の金額を約束するものではありません。
とりわけ傷害は、「相場」という考え方になじみにくい類型です。治療費・通院交通費・休業損害といった実損害が積み上がる形で金額が決まるため、打撲などの軽傷か、骨折・入院を伴う重傷かで金額はまったく異なります。さらに後遺障害が残った場合には、後遺障害に対する慰謝料や逸失利益(将来の収入減に対する賠償)も加わり、金額は大幅に高くなります。傷害事件の示談金は、目安の金額から入るのではなく、個別の損害項目を積算して算定するのが実際です。傷害事件の弁護活動については傷害事件の弁護士をお探しの方へもご覧ください。 痴漢は、行為の態様により、各都道府県の迷惑行為防止条例違反にとどまる場合と、より法定刑の重い不同意わいせつ罪(刑法第176条)に該当する場合があります。不同意わいせつ罪に該当する態様では、示談金も50万〜100万円程度と高くなる傾向が指摘されています。詳しくは痴漢で逮捕されたら、より重い性犯罪については不同意性交等・不同意わいせつで逮捕されたときをご覧ください。 盗撮については、令和5年(2023年)に「性的姿態等撮影罪」が新設され、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金という法定刑が定められました(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律〔令和5年法律第67号〕第2条)。従来の条例違反より法定刑が重くなったことから、今後、示談金の水準が上がる可能性を指摘する見解もあります。盗撮で逮捕された場合の流れもあわせてご覧ください。 |
| Q | 示談金の金額は、どうやって決まりますか? |
| A |
結論として、示談金は「①実損害の弁償+②慰謝料+③早期解決のための上乗せ分」を合算し、最終的には被害者の納得が得られるかどうかで決まります。
出発点となるのは、民事裁判になった場合に認められる損害賠償額の見込みです。そのうえで、刑事処分への影響を考慮して、加害者側が相場より上乗せした金額を提示して合意する例もあります。金額を左右する主な要素は、①被害の程度(ケガの全治期間・後遺症・被害額など)、②行為の悪質性・常習性、③被害者の処罰感情、④加害者の経済状況です。
同じ罪名でも金額は大きく異なります。たとえば傷害では、打撲などの軽傷か、骨折・入院を伴う重傷か、後遺障害が残るかによって、示談金が数倍以上変わることがあります。被害者から水準を大きく超える金額を提示された場合も、応じるかどうかは金額の妥当性を検討したうえで判断すべきです。
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| Q | 被害者と直接連絡を取って、示談してもよいですか? |
| A |
結論として、おすすめできません。捜査機関は加害者本人に被害者の連絡先を教えないのが通常であり、直接の接触は証拠隠滅や威迫を疑われ、身柄拘束のリスクを高めるおそれがあります。
特に痴漢・盗撮・不同意わいせつなどの性犯罪では、被害者が加害者本人との直接のやり取りを拒むことがほとんどです。弁護士が弁護人・代理人に就いた場合、検察官や警察を通じて被害者の意向を確認し、被害者の承諾を得たうえで弁護士限りで連絡先の開示を受け、交渉を進めるのが一般的な流れです。
示談書の写しは、起訴前であれば検察官に、起訴後であれば裁判所に提出することで、示談成立の事実を処分・量刑の判断に反映してもらいます。清算条項や宥恕条項を適切に盛り込むことも、後日の紛争を防ぐうえで重要です。 |
| Q | 示談金が用意できないとき・示談を断られたときは、どうすればよいですか? |
| A |
結論として、分割払いの提案、被害弁償の申し出、供託や贖罪寄付など、示談以外の形で反省と償いの姿勢を示す方法を検討します。
示談金を一括で支払えない場合、被害者の了承が得られれば分割払いとすることも可能です。ただし、支払の確実性が低いと見られると、一括払いの場合に比べて示談の効果が薄れることがあります。 被害者に示談を断られた場合でも、謝罪文の作成、被害弁償の申し出とその記録、供託、弁護士会などを通じた贖罪寄付といった方法で、反省と償いの姿勢を示すことができます。これらは示談の成立そのものではありませんが、有利な情状として考慮される場合があります。
万引きなどの窃盗事件では、大手チェーン店を中心に、会社の方針として示談に応じない例もあります。その場合も、被害品の買取りや供託・贖罪寄付などの代替手段を検討することになります。窃盗罪で警察から呼ばれている場合もあわせてご覧ください。
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| Q | 守谷・取手・柏に住んでいますが、都内の警察署から呼び出されました。相談できますか? |
| A |
結論として、ご相談いただけます。事件の捜査は原則として発生地を管轄する警察署が担当するため、都内で発生した事件について、茨城・千葉にお住まいの方が都内の警察署から呼び出しを受けることがあります。
守谷・取手・柏・我孫子といったTX(つくばエクスプレス)・常磐線の沿線は、都内へ通勤・通学する方が多い地域です。そのため、電車内や駅構内での痴漢・盗撮の事件は、お住まいの地域ではなく、事件が発生した都内・千葉県内の警察署が捜査を担当することが少なくありません。「地元の事件ではないから相談先が分からない」という必要はなく、お住まいの近くの弁護士に相談していただけます。 当職は守谷を拠点に、守谷・取手・つくばみらい・常総・柏・我孫子など茨城県南部・千葉県北西部の方からの刑事事件のご相談をお受けしています。初回相談は面談またはZOOMで、状況をお聞きしたうえで、示談交渉の進め方や見通しをご説明します。守谷市の法律相談ページもあわせてご覧ください。 |
刑事事件の示談は、時期・進め方・示談書の内容によって結果が変わり得る手続です。示談金の目安や交渉の進め方について、状況をお聞きしたうえで、取り得る選択肢と見通しをご説明します。ご本人からはもちろん、ご家族からのご相談もお受けしています。
罪名別の逮捕後の流れ・弁護活動については、以下の記事もあわせてご覧ください。
不同意性交等・不同意わいせつで逮捕されたとき › 痴漢で逮捕されたら › 盗撮で逮捕されたら › 傷害事件の弁護士をお探しの方へ › 窃盗罪で警察から呼ばれている場合 ›守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市・坂東市など、TX(つくばエクスプレス)沿線・常磐線沿線の地域からのご相談に対応しています。お住まいの地域のページもご覧ください。
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・e-Gov法令検索(デジタル庁)
・民法(明治29年法律第89号)第695条
・刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第248条
・刑法(明治40年法律第45号)第176条・第177条・第204条・第208条・第235条
・性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和5年法律第67号)第2条
2026年7月15日:記事公開
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。本文中の示談金の金額はいずれも一般的な目安であり、個別の事件における金額を保証・約束するものではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月15日|最終更新日:2026年7月15日
