家族が亡くなり、相続が現実の問題になったとき、「何から手をつけたらいいのか」「どこに相談すればいいのか」と立ち止まる方が多くいらっしゃいます。守谷市はつくばエクスプレス(TX)開業以降に転入してきた世帯が多く、最初の相続経験となる方も少なくありません。本記事では、守谷市で相続が発生したときに知っておきたい手続きの流れ、相続放棄・遺産分割の基本、そして地域の相談窓口を、関連法令に沿って整理しました。
相続人の範囲は、戸籍を遡って確認します。配偶者は常に相続人で、子がいれば第一順位、子も孫もいなければ親や直系尊属が第二順位、それもいなければ兄弟姉妹が第三順位として相続人になります(民法第887条・第889条・第890条)。令和6年3月から戸籍の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村役場でも戸籍謄本を取得しやすくなりました。守谷市に本籍地がある場合、守谷市役所市民課でも、ご自身や配偶者・直系の戸籍を一括して請求できます。
遺産の調査では、不動産・預貯金・有価証券といったプラスの財産だけでなく、住宅ローンや消費者金融からの借入れ等のマイナスの財産も洗い出す必要があります。守谷市はTX開業(2005年)以降に住宅取得世代が多く流入した地域で、戸建て住宅やマンション、住宅ローンが遺産の中心になるケースが少なくありません。
これらが揃ってはじめて、「単純承認・限定承認・相続放棄のどれを選ぶか」「遺産をどう分けるか」「相続税の申告が必要か」といった判断が可能になります。
相続放棄や限定承認の申立ては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。守谷市・取手市・つくばみらい市・牛久市・龍ケ崎市・稲敷市・河内町・利根町は、いずれも水戸家庭裁判所龍ケ崎支部の管轄です。
気をつけたいのは、龍ケ崎支部の所在地は守谷市から距離があることです。最寄りはJR常磐線佐貫(龍ケ崎市)駅で、駅からさらに徒歩約20分の位置にあります。守谷駅から電車で向かう場合は乗り換えが必要なため、書類の準備や郵送提出を含めて、時間に余裕を持った対応が望まれます。
相続放棄の期間制限について、民法は次のように定めています。
民法第915条第1項:相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
「相続の開始があったことを知った時」とは、被相続人の死亡を知り、かつ自分が相続人であることを認識した時点を指すのが原則です。なお、被相続人と長年疎遠で、財産がまったく存在しないと信じた相当の理由がある場合には、相続財産の存在を認識した時から起算するとした裁判例があります(最高裁判所昭和59年4月27日判決、裁判所ウェブサイトの裁判例検索で確認できます)。借金の請求書が突然届いて初めて借金の存在を知ったような場合には、3か月を過ぎていても相続放棄が認められる余地がありますので、諦める前に弁護士にご相談ください。
これまで相続登記は任意でしたが、所有者不明土地問題を背景に法律が改正され、不動産登記法第76条の2第1項により、相続(遺言を含む)で不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられました。正当な理由なく申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となります(同法第164条第1項)。
注意したいのは、令和6年4月1日より前に相続が始まっていた不動産も対象になる点です。施行日前に発生した相続については、令和9年(2027年)3月31日までに登記する必要があります(民法等の一部を改正する法律附則第5条第6項)。守谷市内には、長年にわたり故人名義のままになっている空き家・農地・山林も見られますが、こうした不動産も例外なく義務化の対象です。
遺産分割協議がまとまらない等、すぐに本格的な相続登記ができない場合のために、令和6年4月から「相続人申告登記」という制度が新設されました。法務局に「相続が開始したこと」と「自分が相続人であること」を申し出れば、ひとまず登記義務を果たしたものとして扱われる仕組みです(不動産登記法第76条の3)。ただし、その後に遺産分割が成立した場合は、遺産分割成立日から3年以内に正式な相続登記を行う必要があります(同条第4項)。
なお、相続登記そのもの(書類の作成・申請)は主に司法書士の領域でもあります。詳しくは司法書士にご相談ください。弁護士は、相続人間の権利関係に争いがあるとき、つまり「誰がどの不動産を取得するか」の話し合いがまとまらない場面で関与します。
遺産分割協議は、共同相続人がいつでも行うことができ、期限の定めはありません(民法第907条第1項)。ただし、令和3年改正により新設された民法第904条の3により、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産分割については、特別受益(民法第903条)や寄与分(民法第904条の2)の規定が原則として適用されなくなりました(令和5年4月1日施行)。10年が過ぎた後の遺産分割は、原則として法定相続分に従って機械的に分けることになります。
例外として、相続開始から10年が経過する前に家庭裁判所に遺産分割の請求(調停・審判の申立て)をしていた場合等には、引き続き特別受益や寄与分を主張できます(同条1号)。経過措置として、令和5年4月1日より前に開始した相続については、相続開始から10年経過時または令和10年(2028年)4月1日のいずれか遅い時までは主張可能です(令和3年法律第24号附則第3条)。
守谷市はTX開業以降に他県から転入した世帯が多く、被相続人の故郷に住む兄弟姉妹と、守谷で同居して介護をした自分との間で、貢献度や生前贈与の有無が論点になることがあります。「親の介護を自分だけがした」「兄だけが住宅資金の援助を受けていた」といった事情を反映させたい場合、10年という期間制限を意識した対応が大切になります。
守谷市・茨城県南部には、相続に関係する相談窓口が複数あります。実施日や予約方法は変更されることがあるため、利用前に必ず最新情報を各窓口の公式サイトでご確認ください。
無料相談は時間が短いことが多いため、ご利用の際は、相続関係の戸籍、固定資産税の納税通知書、預貯金通帳のコピー等、手元にある資料を持参するとスムーズです。「誰が相続人か」「何が遺産か」「相続人間で意見が分かれている点」を簡単にメモにまとめておくと、限られた時間でも具体的なアドバイスを受けやすくなります。
遺産分割の手続きは、原則として、まず相続人全員で協議を行います(民法第907条第1項)。協議がまとまらない、または協議をすることができないときは、家庭裁判所に遺産分割の調停または審判を申し立てることになります(同条第2項)。
遺産分割調停の管轄は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意した家庭裁判所です(家事事件手続法第245条第1項)。相手方が複数いる場合は、相手方のうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることが可能です。守谷市民が他県に住む兄弟と争うケースでは、相手方の住所地の家庭裁判所が管轄となる場合もありますが、弁護士に依頼すれば期日への出頭も代理してもらえます。
遺産分割では、預貯金の使い込み、特別受益や寄与分、不動産の評価方法、代償金の有無等、論点が多岐にわたります。守谷市内の戸建てやマンションが遺産に含まれるケースでは、不動産の評価額をめぐって対立が生じることが少なくありません。固定資産税評価額・路線価・実勢価格のどれを基準にするかで、取得者から他の相続人への代償金の額が大きく変わるためです。
調停や審判に進めば、感情的な言い合いではなく、法的な主張と証拠に基づいて議論が進みます。早い段階で弁護士に相談することで、調停を見越した証拠の準備や交渉戦略を立てることが可能になります。守谷市・取手市・つくばみらい市にお住まいで相続にお困りの方は、お気軽にご相談ください。
相続が発生したばかりで何から始めればよいか分からないとき、相続放棄を検討すべきか迷うとき、相続人間で意見が分かれて話し合いが進まないとき、まずはご相談ください。事案を整理し、選択肢と見通しをお示しします。
守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市・坂東市・龍ケ崎市・牛久市・つくば市・土浦市・柏市・流山市・我孫子市・野田市をはじめ、茨城県南部・千葉県北西部のTX沿線・常磐線沿線地域からのご相談に対応しています。
参考資料・出典
・民法(明治29年法律第89号)/e-Gov法令検索
・法務省「相続登記の申請義務化について」
・法務省「相続放棄等の熟慮期間」解説
・裁判所「茨城県内の管轄区域表」
・裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
・守谷市公式サイト「法律相談」