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ビットコイン・暗号資産の相続・弁護士ができること|弁護士吉津和輝

相続・遺産分割

ビットコイン・暗号資産の相続
— 調べる方法から秘密鍵がわからない場合の対処法まで

見落とし防止チェックリストと取り出せないときの選択肢
弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属/2018年12月弁護士登録
主な取扱分野:相続・遺産分割、家族法(離婚・親権)、交通事故、企業法務
相続手続きを進めるご家族の方へ。ビットコイン・イーサリアム・リップル・ソラナなどの暗号資産(仮想通貨)は、通帳や登記簿のように目に見える形で残らないため、相続人が存在に気づかないまま手続きが終わってしまうことがあります。また「持っていたことは分かったが、パスワードや秘密鍵が分からず取り出せない」というご相談も増えています。この記事では、暗号資産があるかどうかを調べる手順(チェックリスト)と、取り出せない場合の状況別の対処法を、一連の流れとして解説します。
暗号資産の相続で弁護士に相談すべき3つのケース
1 故人が暗号資産を持っていたようだが、どこにいくらあるのか分からない 調査の手順や、弁護士会照会など弁護士だからこそ使える調査手段を含めて、進め方を整理してご説明できます。
2 取引所は分かったが、パスワードや秘密鍵が分からず手続きが止まっている 取引所への相続手続きや必要書類の集め方など、取り得る選択肢をご説明できます。
3 取り出せない暗号資産や借金があり、相続放棄すべきか期限内に判断できない 相続放棄・限定承認の熟慮期間は原則3か月です。期間の伸長申立てを含め、期限内に取り得る対応を整理できます。
上記のいずれかに当てはまる場合は、状況を整理するところから弁護士がお手伝いできます。まずはお気軽にお問い合わせください。
— 相続・暗号資産のご相談を承っています —
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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
Qなぜ暗号資産は相続で見落とされやすいのですか?
結論として、暗号資産は通帳や登記簿のような目に見える記録が残らず、金融機関からの通知も届かないため、相続人が存在に気づかないまま手続きが終わってしまうことがあるからです。

暗号資産は完全にデジタルで管理される資産であり、預貯金のように金融機関から通知が届いたり、不動産のように登記簿に記録されたりすることがありません。また、家族に保有を伝えていないケースも少なくありません。

さらに、遺品整理の際にスマートフォンやパソコンを早急に処分・初期化してしまうと、取引所へのアクセス情報や秘密鍵などの手がかりが永久に失われるリスクがあります。

暗号資産は相続財産として相続税の課税対象となるため、相続財産の調査において見落としは許されません。申告漏れが税務調査で発覚した場合、追加の相続税に加えて延滞税・無申告加算税等が課される場合があります。

⚠️ 故人のスマートフォン・パソコン・USBデバイス等は、相続財産の調査が完了するまで処分・初期化しないことをおすすめします。取引所のアプリや秘密鍵の情報が失われると、資産を取り出せなくなる可能性があります。
Q故人が暗号資産を持っていたかどうか、どうやって調べますか?
結論として、スマートフォン・パソコン・メール・郵便物・銀行口座の入出金明細・確定申告書といった「痕跡が残りやすい場所」を、以下のチェックリストに沿って順に確認していきます。
暗号資産の存在を確認するチェックリスト
☐ 生前の会話・言動を思い出す:「仮想通貨で儲かった」「ビットコインを買った」などの発言がなかったか確認する
☐ スマートフォンのアプリを確認する:Coincheck・bitFlyer・GMOコイン・SBI VCトレード等の取引所アプリがインストールされていないか確認する
☐ パソコンのブラウザ履歴・ブックマークを確認する:取引所のウェブサイトへのアクセス履歴がないか確認する
☐ メールの受信履歴を確認する:取引所からの取引確認メール・ログイン通知メール・口座開設完了メールがないか確認する
☐ 郵便物を確認する:取引所から届いた書類(本人確認書類の返送、残高報告書等)がないか確認する
☐ 銀行口座の入出金明細を確認する:取引所への送金や、取引所からの入金(売却代金)の履歴がないか確認する
☐ 確定申告書を確認する:第二表の「雑所得」欄に暗号資産の利益が申告されていないか確認する
☐ 遺品の中にUSBデバイスがないか確認する:見慣れないUSBデバイスはハードウェアウォレット(個人管理型の暗号資産保管装置)の可能性がある
☐ 金庫・貸金庫の中を確認する:数字や英単語が羅列された紙(リカバリーフレーズ)がないか確認する
☐ パスワード管理アプリ・メモを確認する:取引所のIDやパスワードが保存されていないか確認する
確定申告書の第二表「雑所得」欄は特に重要な手がかりです。暗号資産の売買益は雑所得として申告義務があるため、過去の申告書に記録が残っている場合があります。
Q「秘密鍵」とは何ですか?管理方法によって対応はどう変わりますか?
結論として、秘密鍵(プライベートキー)とは、暗号資産の所有者であることを証明し、資産を移転・引き出すために必要な暗号コードのことです。故人が「取引所管理」か「個人管理」のどちらで保有していたかで、その後の対応が大きく変わります。

秘密鍵は、銀行のキャッシュカードの暗証番号に相当しますが、銀行と異なり、秘密鍵を紛失した場合に取引所や第三者が代替手段を提供することができない点が根本的に異なります。

暗号資産の管理方法には大きく2種類あります。

管理方法 内容 秘密鍵不明時の対応
取引所管理
(ホステッドウォレット)
Coincheck・bitFlyerなど国内取引所のアカウントで管理。取引所が秘密鍵を管理する 取引所への相続手続きで対応可能。IDやパスワードが不明でも、相続人として必要書類を提出すれば手続きできることがある(→Q4)
個人管理
(アンホステッドウォレット)
ハードウェアウォレット(Ledger・Trezor等)やソフトウェアウォレット(MetaMask等)で自ら管理。秘密鍵は本人のみが保有 秘密鍵またはリカバリーフレーズ(シードフレーズ)がわからなければ、技術的に取り出すことは事実上困難(→Q6)
故人がどちらの方法で管理していたかを確認することが最初のステップです。スマートフォンやパソコンに取引所アプリがインストールされていれば取引所管理の可能性が高く、USBデバイス(ハードウェアウォレット)が遺品の中にあれば個人管理の可能性があります。
Q取引所の口座があることがわかったら、次はどうすればよいですか?パスワードがわからなくても手続きできますか?
結論として、その取引所に相続人として問い合わせを行います。国内取引所の多くでは、IDやパスワードが不明であっても、相続人として必要な書類を提出することで相続手続きを進められる場合があります。

国内の主な取引所(Coincheck・bitFlyer・GMOコイン・SBI VCトレード等)の多くは相続手続きのページを設けており、必要書類を提出することで残高の確認・相続手続きを進められる場合があります。ただし、取引所によって対応状況は異なり、相続手続きに対応していない取引所や手続きが煩雑な取引所もあります。また、取引所がすでにサービスを終了している場合は手続き自体ができないケースもあります。

書類の不備や相続人間の調整により数か月以上かかることもあるため、早めに各取引所の公式サイトで手続き方法を確認することをお勧めします。取引所への問い合わせ時に一般的に必要な書類は以下のとおりです。

書類の種類 内容
被相続人の死亡を証明する書類 死亡診断書・除籍謄本等
相続関係を証明する書類 戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)または法定相続情報一覧図
遺産分割に関する書類 遺言書・遺産分割協議書など(相続人が複数の場合)
相続人全員の印鑑証明書 市役所等で発行できる
代表相続人の本人確認書類 運転免許証・マイナンバーカード等
取引所ごとに必要書類・手続き方法が異なります。まず各取引所の公式サイトで「相続手続き」のページを確認し、問い合わせ窓口に連絡してください。取引所名がわかっている場合は「〇〇(取引所名)相続手続き」で検索すると手続きページが見つかります。
Qどの取引所を使っていたかわからない場合はどうすればよいですか?
結論として、銀行口座の入出金明細・メールの検索・金融庁の登録業者一覧との照合という3つの方法で絞り込みを試み、それでも特定できない場合は弁護士会照会の活用も検討します。

① 銀行口座の入出金明細から特定する:国内取引所への送金は、入出金明細に取引所名が記載される場合があります。複数年分の明細を確認してください。

② メールの受信箱を検索する:「仮想通貨」「暗号資産」「ビットコイン」「Coincheck」「bitFlyer」「GMOコイン」等のキーワードで受信メールを検索します。

③ 金融庁の登録業者一覧と照合する:金融庁が公表している国内の暗号資産交換業者登録一覧を参照し、スマートフォンのアプリやブラウザ履歴と照合します。

④ 主要な取引所に問い合わせる:相続人であることを証明する資料の提出を求められるのが通常であり、個人情報保護の観点から口座の有無の回答自体を拒否する取引所もありえます。弁護士に依頼して弁護士会照会(弁護士法第23条の2)を活用する方法も検討できます。

【根拠】弁護士法(昭和24年法律第205号)第23条の2:弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができます。
国内の主な暗号資産取引所としては、Coincheck・bitFlyer・GMOコイン・SBI VCトレード・bitbank等があります。金融庁の登録業者一覧は金融庁ウェブサイトで公開されています。
Q個人ウォレット(ハードウェアウォレット等)で管理していた場合、秘密鍵を見つける方法はありますか?
結論として、個人ウォレットの場合は取引所への問い合わせでは残高を確認できないため、秘密鍵またはリカバリーフレーズ(12〜24個の英単語で構成されるバックアップコード)を遺品の中から探すことになります。

① 遺品・書類の中を探す:リカバリーフレーズは紙に印刷・手書きして保管していることが多いです。手帳・ノート・金庫の中・貸金庫を確認してください。

② パソコン・スマートフォンの中を確認する:メモ帳・テキストファイル・パスワード管理アプリの中に保存されている場合があります。ただし、スマートフォンのロック解除ができない場合は、メーカーや通信キャリアへの問い合わせ、または専門業者への依頼が必要です。専門業者等でも必ずロックが解除できるとは限りません。

③ ハードウェアウォレット本体を探す:遺品の中にLedger・Trezor等のUSBデバイスがないか確認します。一見通常のUSBメモリと区別がつかない場合もあるため、見慣れないUSBデバイスは安易に廃棄しないでください。

④ クラウドストレージ・メールを確認する:故人がGoogleドライブ・Dropbox等に保存していた場合があります。Googleアカウント等の引き継ぎについては、各サービスの相続・アカウント引き継ぎ手続きを確認してください。MetaMask等のブラウザ拡張機能やアプリが端末に入っている場合、パスワードがわかればアクセスできることもあります。

⚠️ リカバリーフレーズが見つからない場合、原則として秘密鍵の復元は不可能です。ただし端末にログイン情報が残っている場合など、ごく例外的にアクセスできるケースもあります。有効な手がかりがない場合、専門業者でも復元は極めて困難です。また、費用を請求しながら実際には対応できない悪質な業者も存在するため、依頼前に慎重に確認することをお勧めします。ハードウェアウォレットとリカバリーフレーズが書かれた紙を誤って処分すると資産が永久に失われるため、遺品整理の際は専門家に相談してから判断することをお勧めします。
Q秘密鍵がわからず取り出せない場合でも、相続税はかかりますか?
結論として、これは実務上も論点となっている問題であり、取り出せない場合でも申告が必要かどうかは税理士に個別に相談することをお勧めします。

国会での政府答弁では「秘密鍵がわからず取り出せない場合でも、財産的価値がある以上、原則として相続税の課税対象になる」という方向性が示されています。現時点での実務的な対応としては、取り出せない可能性が高い場合でも申告が必要かどうか、どのような申告が必要なのかについては、税理士に個別に相談することをお勧めします。

Q取り出せない暗号資産があるからといって、相続放棄すればよいですか?
結論として、相続放棄は慎重に検討する必要があります。相続放棄は被相続人の全財産を対象とするものであり、「暗号資産だけを放棄する」ことはできません。

相続放棄とは、家庭裁判所に申述することで、初めから相続人とならなかったものとみなされる手続きです(民法第938条・第939条)。プラスの財産・マイナスの財産(借金等)を含む全財産が対象となるため、取り出せない暗号資産があっても、他に不動産・預貯金・有価証券など価値のある財産がある場合は、相続放棄をすることでそれらも失うことになります。

なお、相続放棄の熟慮期間は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月です(民法第915条第1項)。暗号資産の調査・手続きに時間がかかり熟慮期間が足りない場合は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てることができます。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第915条第1項(熟慮期間)・第938条(相続放棄の方式)・第939条(相続放棄の効力)・第922条(限定承認)・第923条(共同相続人の限定承認)
⚠️ 相続放棄を検討している段階では、暗号資産を売却・移転しないよう注意してください。相続財産の全部又は一部を処分すると、単純承認をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなる場合があります(民法第921条第1号)。
取り出せない暗号資産のみが問題であれば、相続放棄よりも「限定承認」(プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ制度・民法第922条)を選択する方が有利な場合もあります。ただし限定承認は共同相続人の全員が共同して行う必要があるため(民法第923条)、実務上の難易度は高くなります。いずれも3か月の期間内に判断する必要があるため、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
Q海外取引所に口座があった場合はどうなりますか?
結論として、海外の取引所の場合は日本の法制度が直接及ばないため、相続手続きが困難になるケースがあります。

具体的には以下のような問題が生じます。

・手続きがすべて外国語(英語等)で行われる
・日本の戸籍謄本・印鑑証明書等が受け付けられない場合がある
・取引所によっては相続手続き自体に対応していない場合がある
・本人確認(KYC)が未完了の場合、相続人による手続きが事実上困難になることがある
・口座が突然凍結されるリスクがあり、その場合の解除手続きも複雑になる
・取引所が秘密鍵を管理していない場合は、秘密鍵が必要になる
海外取引所の場合は、当該取引所のサポートページを確認し、相続手続きの対応状況を問い合わせることが先決です。対応が困難な場合は、弁護士に相談の上で対応を検討することをお勧めします。
Q今後のために、暗号資産を持っている人が生前にできる対策はありますか?
結論として、取引所名のリスト化・リカバリーフレーズの安全な保管・国内取引所への集約・エンディングノートや遺言書への記載という4つの生前対策で、相続人の負担を大幅に軽減できます。

① 利用している取引所名・登録メールアドレスをリスト化する:取引所の名称と登録メールアドレスだけでも残しておくと、相続人が手続きの取っかかりをつかめます。

② 個人ウォレットのリカバリーフレーズを安全な場所に保管する:紙に手書きして封筒に入れ、金庫・貸金庫に保管する方法が比較的安全です。デジタルデータのみでの保管は端末破損・紛失のリスクがあります。

③ 可能な範囲で国内取引所に集約する:個人ウォレットより国内取引所での管理の方が、相続手続きが格段に容易になります。

④ エンディングノートや遺言書に記載する:取引所名・保管場所の情報をエンディングノートに記載しておくことで、相続人が把握しやすくなります。ただし、パスワードや秘密鍵そのものをエンディングノートに記載する場合は、情報漏えいのリスクとのバランスを考慮してください。

暗号資産は価値が大きく変動します。特に高額の暗号資産を保有している場合は、相続税・所得税の観点も含めて、生前に弁護士・税理士に相談しておくことをお勧めします。
守谷・TX沿線エリアの相続と暗号資産
守谷市・つくばみらい市・柏市・流山市など、つくばエクスプレス(TX)沿線は都心に通勤する現役世代の世帯が多い地域です。ネット銀行・ネット証券・暗号資産取引所など、通帳や郵便物といった紙の手がかりが残らないオンライン完結型の資産を持つ方が相続の当事者となるケースでは、財産調査の難易度が上がります。遺品のスマートフォンやパソコンを初期化・処分する前に、本記事のチェックリストの確認をお勧めします。相続放棄の申述先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

「故人が暗号資産を持っていたか調べたい」「秘密鍵がわからず取り出せない」「取引所への相続手続きの進め方がわからない」「暗号資産を含む遺産分割で相続人間で意見が分かれている」など、相続に関するご相談はお気軽にどうぞ。状況をお聞きした上でご説明します。

弁護士 吉津和輝
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参考資料・情報源

e-Gov法令検索(デジタル庁)— 民法(明治29年法律第89号)・弁護士法(昭和24年法律第205号)
金融庁ウェブサイト — 暗号資産交換業者登録一覧
裁判所ウェブサイト — 相続の放棄の申述・熟慮期間伸長の手続案内

更新履歴

2026年7月15日:「相続財産に暗号資産が含まれているか調べる方法」「暗号資産が取り出せない・秘密鍵がわからない場合の対処法」の2記事を統合し、全面改訂しました。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士・税理士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。暗号資産に関する法律・税務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月15日(統合改訂)|最終更新日:2026年7月15日