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後遺障害12級と14級の分かれ目、 非該当だったときの異議申立て

交通事故・損害賠償

後遺障害12級と14級の分かれ目、
非該当だったときの異議申立て

守谷・取手・つくばみらいで通院を続けている方へ
弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属(登録番号57714)/2018年12月弁護士登録
主な取扱分野:交通事故、家族法(離婚・親権・相続)、刑事弁護、企業法務
交通事故のケガで、痛みやしびれが残ったまま治療を終えられた方へ。後遺障害の等級認定で「非該当」あるいは想定より低い等級という結果を受け取ったとき、その結果は最終確定ではなく、異議申立てという手続が用意されています。本記事では、むちうち等の神経症状で問題になる12級13号と14級9号の分かれ目、賠償額の差、そして認定結果に納得できないときの選択肢を、条文と算定基準に沿って整理します。
後遺障害の等級認定について弁護士に相談する3つのケース
1
認定結果の通知に理由は書かれているが、何が足りなかったのか分からない
認定理由の記載を手がかりに、次に補うべき医学的資料を一緒に整理できます。
2
14級9号で示談の提示を受けたが、症状の程度に見合っていないと感じている
画像所見や検査結果から12級13号を検討できる余地があるかを、資料に沿ってご説明できます。
3
都内通勤や自家用車での通院という事情で、通院の間隔が空いた期間がある
通院の事情を治療経過としてどう説明するかは、認定の場面で検討すべき論点になります。
上記のいずれかに当てはまる場合は、状況を整理するところから弁護士がお手伝いできます。まずはお気軽にお問い合わせください。
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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
01 12級13号と14級9号は、条文上どう違うのか

交通事故で首や腰に痛み・しびれが残った場合、後遺障害として問題になるのは主に第12級13号と第14級9号です。両者の条文上の違いは、「頑固な」という一語だけです。

【根拠】自動車損害賠償保障法施行令(昭和30年政令第286号)別表第二
・第12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
・第14級9号「局部に神経症状を残すもの」

実務上は、この差が「症状を他覚的所見によって医学的に証明できるか」「治療経過などから医学的に説明できるにとどまるか」という区別として説明されるのが一般的です。つまり、痛みの強さを本人がどれだけ訴えるかではなく、画像や検査という客観的な形で症状が裏付けられているかが分かれ目になります。14級9号そのものの認定の考え方については、交通事故の後遺障害14級とは — 認定のポイントと賠償請求で詳しく説明しています。

14級9号
局部に神経症状を残すもの
画像等で症状を客観的に証明することは難しいものの、受傷の内容・症状の一貫性・治療の経過から、症状が残っていることを医学的に説明できると評価される場合に検討される等級です。
12級13号
局部に頑固な神経症状を残すもの
MRI等の画像所見や神経学的検査の結果によって、神経症状の存在が他覚的に証明できると評価される場合に検討される等級です。
— 条文の文言(自賠法施行令別表第二)と、実務上の区別 —
どちらの等級に当たるかは、個別の画像・検査結果・治療経過を前提とした判断になります。症状の自覚だけで等級が決まるものではありません。
02 等級が2つ違うと、賠償額はどれだけ変わるのか

後遺障害の等級は、慰謝料と逸失利益の両方に影響します。とくに逸失利益は「労働能力喪失率」と「喪失期間」を通じて算定されるため、等級の違いが金額に大きく反映されます。

項目 14級9号 12級13号
後遺障害慰謝料
(裁判基準の目安)
110万円 290万円
後遺障害慰謝料
(自賠責基準)
32万円 94万円
労働能力喪失率 5% 14%
労働能力喪失期間
(むちうちの場合の運用例)
5年程度 10年程度
自賠責保険金額の限度
(後遺障害による損害)
75万円 224万円
— 14級9号と12級13号の主な違い —
慰謝料の「裁判基準の目安」は『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部。いわゆる赤い本)による一応の目安であり、事案の内容によって増減します。

自賠責基準の慰謝料額および労働能力喪失率は、「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号)第3の2(1)②および同基準別表Ⅰ(労働能力喪失率表)によります。同基準は令和元年の改正により令和2年4月1日以後に発生した事故から適用されており、それ以前に発生した事故には改正前の基準が適用されます。

労働能力喪失期間は事案ごとの判断であり、上記は一つの目安です。自賠責保険金額の限度は自動車損害賠償保障法施行令別表第二に定められた額です。

逸失利益は、おおむね「基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応する係数」という形で算定されます。将来分を一時金で受け取るため中間利息が控除され(民法417条の2。不法行為については同法722条1項が準用)、その際の法定利率は年3%です(同法404条2項)。

つまり、慰謝料の差だけでなく、喪失率(5%と14%)と喪失期間の差が逸失利益にそのまま反映されます。等級が2つ違うことの影響は、慰謝料の差額にとどまらないという点を押さえておいてください。

03 認定結果に納得できないときの3つの選択肢

自賠責保険の等級認定の結果に納得できない場合、大きく3つの方法が考えられます。どれを先に選ぶかについて決まった順序はありませんが、それぞれ性質が異なります。

1
異議申立て
自賠責保険会社に対して再審査を求める方法。回数の制限はなく、資料を補って繰り返し申し立てられます。
2
紛争処理機構
一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理を申請する方法。同機構への申請は1回のみです。
3
訴訟
裁判所に損害賠償請求訴訟を提起し、後遺障害の有無・程度についても裁判所の判断を求める方法。
— 認定結果に納得できないときの3つの手続 —
押さえておきたい点:紛争処理機構への申請は1回限りです。同機構の回答に納得できない場合、同機構に対して再度申請することはできず、訴訟による解決を検討することになります。順序に決まりはないからこそ、どの段階でどのカードを使うかは事前に考えておく必要があります。

もう一点、異議申立ての回数に制限がないことと、いつまでも申し立てられることは別の問題です。請求権自体に時効があります(Q3で後述します)。

よくあるご質問

Q 後遺障害が「非該当」でした。もう覆らないのでしょうか。
A
結論として、最初の認定結果は確定的なものではなく、異議申立てによって再審査を求めることができます。異議申立ての回数に制限はありません。ただし、回数に制限がないことと、期限がないことは別です。請求権自体には時効があります。

異議申立てとは、自賠責保険会社に対して、認定理由への反論と新たな資料を提出し、等級認定の再審査を求める手続です。法律上の回数制限はなく、資料を補いながら複数回申し立てることができます。

もっとも、初回と同じ資料をそのまま提出しても判断は動きにくいのが実情です。まずは認定結果の通知に書かれている理由を読み込み、「何を根拠に非該当とされたのか」を特定するところから始めることになります。

⚠️ 回数制限がないことを「時間の制限もない」と受け取らないようご注意ください。自賠責保険会社に対する被害者請求権は3年で時効消滅します(自動車損害賠償保障法19条)。資料を集め直している間に期間が経過してしまうことがありますので、時効の管理は別途必要です(詳しくはQ3)。
Q 異議申立てで結果が変わるのは、どういう場合ですか。
A
結論として、初回の認定で「足りない」とされた部分を、新たな医学的資料で埋められた場合です。資料を追加せずに主張だけを繰り返しても、判断は動きにくくなります。

認定結果の通知には、「自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しい」といった趣旨の理由が記載されることがあります。この一文は、逆に読めば「何を補えばよいか」の手がかりでもあります。

検討の対象になるのは、たとえば次のような資料です。

・MRI等の画像と、その所見についての評価
・神経学的検査(筋力・反射・感覚等)の結果
・主治医に対する医療照会の回答書
・症状の推移が分かる診療録・カルテ
・受傷時の事故態様を示す資料
⚠️ 追加の資料を提出しても、医学的な所見が足りないと判断されれば結果が変わらないこともあります。異議申立ては結果を保証する手続ではありません。
Q 事前認定と被害者請求、どちらで異議申立てをすべきですか。
A
結論として、提出する資料を自分の側で組み立てたい場合には、被害者請求に切り替える方法があります。

事前認定とは、相手方の任意保険会社が一括対応の中で、自賠責側の等級判断を先に取り付ける方式です。手続の負担は少ない一方、どの資料をどう添えて審査に回すかを被害者側でコントロールしにくい面があります。

被害者請求とは、被害者自身が加害者側の自賠責保険会社に直接請求する方式です。提出資料を自分で選び、意見書等を添えて構成できます。

【根拠】自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)第16条第1項:「第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。」
この請求権には期間制限があります。自動車損害賠償保障法第19条は、第16条第1項の請求権について「被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知つた時から三年を経過したときは、時効によつて消滅する」と定めています。また、加害者本人に対する損害賠償請求権については、人の生命又は身体を害する不法行為の場合、損害及び加害者を知った時から5年で時効消滅します(民法724条1号、724条の2)。いずれも起算点の考え方は事案により異なりますので、早めに確認しておくことをおすすめします。
⚠️ 実務上とくに注意が必要なのが次の2点です。

①異議申立てそれ自体では、時効の進行は止まらない取扱いです。資料を集め直して何度も申し立てているうちに、3年が経過してしまうことがあります。

②自賠責保険会社に「時効中断(更新)申請書」を提出して時効を更新する運用があります。用紙は自賠責保険会社にあります。手続を続ける見込みがあるときは、早い段階で確認しておくことをおすすめします。
Q 通院の仕方が認定に影響することはありますか。
A
結論として、治療の経過や通院の記録は認定の判断資料になります。とくに神経症状では、症状の一貫性・継続性が問題になることがあります。

受傷直後から症状が続いていること、その内容が診療録に残っていることは、症状の存在を説明する材料になります。逆に、通院の間隔が大きく空いた期間があると、その事情の説明を求められる場面が出てきます。

守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市は、通院そのものが自家用車前提になりやすい地域です。事故で車が使えなくなると通院の負担が一気に上がります。また、つくばエクスプレスや常磐線で都内へ通勤されている方は、平日日中の受診時間を確保しにくく、結果として通院の間隔が空いてしまうことがあります。

こうした事情は「サボっていた」という話ではなく、通院の実情として説明できる要素です。むちうちで後遺障害が問題になる場面の全体像については、むちうちの後遺障害もあわせてご覧ください。

Q 異議申立てを弁護士に依頼すると、何をしてもらえますか。
A
結論として、認定理由の分析、補うべき資料の洗い出し、医療機関への照会の段取り、被害者請求への切替え、訴訟に移る場合の対応までを一連の流れとして進めることができます。

当職がお手伝いできるのは、おおむね次の作業です。①認定結果の理由を読み、どの点が足りないと評価されたのかを特定する。②その点を埋めるために必要な検査・資料を整理する。③主治医への医療照会や意見書取得の段取りを行う。④異議申立書を作成し、被害者請求の形で提出する。⑤結果を踏まえて、紛争処理機構への申請や訴訟提起を検討する。

訴訟を提起する場合の管轄裁判所は、お住まいの地域によって異なります。守谷市・取手市にお住まいの方は水戸地方裁判所龍ケ崎支部、つくばみらい市は水戸地方裁判所土浦支部、常総市は水戸地方裁判所下妻支部が管轄です。なお、請求額が140万円を超えない場合は簡易裁判所の管轄となります(裁判所法33条1項1号)。

費用面では、ご加入の自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合、その範囲でご利用いただけることがあります。ご自身の保険に付いていなくても、同居のご家族の保険に付いている場合に使えることがありますので、保険証券をご確認ください。

⚠️ どの手続を選んでも、等級の変更という結果が得られるとは限りません。ご相談の際は、見込みが薄いと考えられる場合もその旨を率直にお伝えします。
守谷・県南エリアの交通事情と、この論点のつながり

守谷市を縦断する国道294号は、常磐自動車道・谷和原インターチェンジへの接続路として交通量が多く、信号のある交差点では信号待ちの追突や右折時の事故が起こりやすい構造になっています。また、松ケ丘・薬師台・百合ケ丘・ひがし野・けやき台といったニュータウンの生活道路でも、見通しの悪い交差点での出会い頭事故が発生しています。

こうした事故で残りやすいのが、頸椎捻挫・腰椎捻挫による首や腰の痛み・しびれです。まさに14級9号と12級13号の分かれ目が問題になる領域であり、通院の記録の残し方や後遺障害診断書の記載内容が結果に影響しやすい部分でもあります。事務所は守谷市けやき台にあり、面談・Zoomのいずれでもご相談を承っています。

CONTACT

後遺障害の等級認定は、資料の内容によって結論が変わり得る一方、追加の資料がなければ判断が動きにくい手続です。認定結果の通知や後遺障害診断書をお持ちいただければ、何が不足しているか、次にどの手続を選ぶのが現実的かを、状況をお聞きしたうえでご説明します。見込みが薄い場合も率直にお伝えします。

弁護士 吉津和輝
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参考資料・情報源

e-Gov法令検索(デジタル庁)/自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)、自動車損害賠償保障法施行令(昭和30年政令第286号)別表第二、民法(明治29年法律第89号)、裁判所法(昭和22年法律第59号)
一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構(同機構への再度の申請ができない旨の記載を含む)
裁判所「茨城県内の管轄区域表」
自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号/国土交通省)
労働能力喪失率表(同支払基準 別表Ⅰ/国土交通省)
国土交通省「限度額と補償内容」(後遺障害等級表・保険金額)
・『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)

更新履歴

・2026年7月25日 初版公開

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月25日|最終更新日:2026年7月25日