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死亡事故で家族を亡くされたご遺族へ — 損害賠償請求と相続の注意点

YOSHITSU LAW · COLUMN

死亡事故で家族を亡くされたご遺族へ
— 損害賠償請求と相続の注意点

死亡慰謝料・逸失利益・遺族固有の慰謝料と相続の関係
弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属(登録番号57714)/2018年12月弁護士登録
主な取扱分野:交通事故・損害賠償、相続・遺産分割、刑事弁護、家族法
交通事故で突然ご家族を亡くされたご遺族の方へ。悲しみの中で、保険会社とのやり取りや刑事手続きの経過確認、損害賠償請求の準備など、慣れない手続きに向き合わなければならない場面が続きます。本記事では、死亡事故で請求できる損害賠償の項目と、相続との関係で注意しておきたい点を整理してご説明します。
死亡事故で弁護士に相談すべき3つのケース
1
交通事故で家族を亡くし、何から対応すればよいのか分からない
損害賠償の項目や進め方の全体像を整理したうえで、示談交渉に進む段取りをご説明できます。
2
亡くなったご家族に負債があり、相続放棄をするか迷っている
相続放棄と損害賠償請求権・遺族固有の慰謝料との関係を含めて整理できます。
3
加害者の刑事裁判について、被害者参加制度を利用した対応を弁護士に依頼したい
刑事裁判への参加や意見陳述等への対応を、代理人としてお引き受けできます。
上記のいずれかに当てはまる場合は、状況を整理するところから弁護士がお手伝いできます。まずはお気軽にお問い合わせください。
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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
図:慰謝料の3つの基準
自賠責基準
法令上の最低限の補償水準
任意保険基準
各保険会社の内部基準
裁判基準(赤い本)
交渉・訴訟で目指す水準
— 右にいくほど金額水準は高くなる傾向にあります —

事故直後、遺族はまず何をすべきか

Q 交通事故で家族が亡くなったとき、遺族はまず何をすればいいですか?
A
結論として、死亡診断書(死体検案書)や交通事故証明書などの書類を確保しつつ、警察・保険会社への連絡と、加害者の刑事手続きの進み方の確認を並行して進めることが必要です。

交通事故証明書は、自動車安全運転センターに交付を申請できる書類で、事故の発生日時・場所・当事者を公的に証明するものです。損害賠償請求や自賠責保険への請求で必要になります。

また、加害者に対しては、事故態様によって過失運転致死罪や危険運転致死罪等の刑事手続きが進むことになりますが、遺族に自動的に捜査状況の連絡が来るとは限りません。検察庁の被害者等通知制度を利用すれば、送致・起訴・裁判の日程等について通知を受けられる場合があります。

事故直後の一般的な初動対応(警察対応・証拠保全等)については、以下の記事もご参照ください。

関連記事:交通事故にあったらまず何をすべきか-弁護士が解説(初動対応から通院まで)

請求できる損害賠償の項目

Q 死亡事故で請求できる損害賠償にはどのような項目がありますか?
A
結論として、死亡慰謝料・遺族固有の慰謝料・死亡逸失利益に加え、葬儀関係費用や、死亡までに治療を受けていた場合の治療費等が主な項目となります。

不法行為による損害賠償の根拠は民法709条(不法行為による損害賠償)および710条(財産以外の損害の賠償)にあります。これに加え、死亡事故では民法711条により、被害者の父母・配偶者・子は、自身の財産権が侵害されていなくても、固有の慰謝料を請求できます。

死亡慰謝料
被害者本人の精神的苦痛に対する賠償(相続の対象)
遺族固有の慰謝料
父母・配偶者・子自身の精神的苦痛への賠償(民法711条)
死亡逸失利益
生きていれば得られたはずの将来収入相当額
葬儀関係費用・治療費等
相当額の葬儀費用、死亡までの治療費・入院費等

交通事故に関する記事は、以下のまとめページからも一覧できます。

関連記事:交通事故ブログまとめ

死亡慰謝料の目安

Q 死亡慰謝料の金額はどのくらいが目安ですか?
A
結論として、裁判基準(赤い本)では、一家の支柱の場合で総額2800万円程度、母親・配偶者で2500万円程度、その他の方で2000万円から2500万円程度が一応の目安とされています。

この金額は、民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(いわゆる赤い本、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)が示す裁判基準(弁護士基準)の総額であり、被害者本人の慰謝料と、民法711条の遺族固有の慰謝料をあわせた金額の一応の目安です。遺族間でどのように配分するかは、基準自体が定めるものではなく、事案ごとに決まります。

実際の金額は、加害者の運転態様の悪質性など個別の事情によって増減することがあり、確実にこの金額になるとお約束できるものではありません。示談交渉や訴訟での主張・立証を通じて、事案に応じた金額を積み上げていくことになります。

⚠️ 保険会社から最初に提示される金額は、任意保険基準に基づくもので、裁判基準より低いことが少なくありません。提示された金額にすぐに合意する前に、裁判基準との比較を確認することをおすすめします。

死亡逸失利益の考え方

Q 死亡逸失利益はどのように計算されるのですか?
A
結論として、亡くなった方が生きていれば得られたはずの収入から生活費相当分を控除し、就労可能期間に対応する係数を用いて将来分の中間利息を控除する方法で算定します。

具体的には、①事故前の収入等を基礎とする基礎収入、②亡くなったことで生活費の支出を免れる分を差し引く生活費控除、③就労可能と見込まれる期間、④将来分を現在の価値に引き直すための中間利息控除、という要素を組み合わせて算定します。生活費控除の割合や就労可能期間は、扶養家族の有無・年齢・職業等の個別事情によって考慮される部分が大きく、一律の数字で言い切れるものではありません。

中間利息控除に用いる法定利率は、事故が発生した時点の利率が基準となります(民法722条1項が417条の2を不法行為に準用)。現行民法の法定利率は年3%です(民法404条2項。3年ごとに見直しがあります)。したがって、令和2年4月1日以降に発生した事故については年3%、それより前の事故については旧法の年5%が用いられます。

生活費控除率や就労可能年数の具体的な数値は、扶養状況・年齢等によって個別に検討する必要があるため、実際の金額の見通しについてはご相談時に事案に即してご説明します。

遺族固有の慰謝料と相続放棄

Q 遺族固有の慰謝料は、相続放棄をしても請求できますか?
A
結論として、被害者本人の損害賠償請求権は相続放棄をすると相続人として承継できなくなりますが、民法711条の遺族固有の慰謝料は相続財産ではないため、相続放棄をしても遺族自身の権利として別途請求できると考えられています。

交通事故で亡くなった方に多額の負債があるなど、相続放棄を検討するケースもあります。相続放棄をすると、被害者本人が有していた損害賠償請求権(死亡慰謝料・死亡逸失利益等の大部分)も相続人として承継できなくなります。

これに対し、民法711条に基づく遺族固有の慰謝料は、亡くなった方から相続する権利ではなく、父母・配偶者・子がもともと自分自身の権利として有しているものです。そのため、相続放棄をした場合でも、遺族固有の慰謝料は別途請求できると考えられています。

【根拠】民法(明治二十九年法律第八十九号)第711条:「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」

相続放棄をするかどうかは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(民法915条1項)に家庭裁判所へ申述する必要があり、期間内に判断できない場合は伸長の申立ても検討できます。負債の内容、損害賠償請求権や遺族固有の慰謝料への影響を含めた総合判断が必要になりますので、迷われた際はご相談ください。

刑事事件と民事の損害賠償の関係

Q 加害者の刑事事件と、遺族の損害賠償請求はどう関係しますか?
A
結論として、刑事事件と民事の損害賠償請求は別の手続きですが、刑事記録が示談交渉や訴訟での主張立証に活用できることがあり、被害者参加制度を利用してご遺族が刑事裁判に関与する方法もあります。

加害者に対する刑事手続き(捜査・起訴・刑事裁判)は国が行うものであり、遺族が直接の当事者になるわけではありません。もっとも、実況見分調書や供述調書等の刑事記録は、事故態様や過失割合を検討するうえで重要な資料となり、開示を受けて民事の示談交渉や訴訟に活用できる場合があります。

また、一定の重大な事件では、ご遺族が被害者参加制度を利用して刑事裁判に関与し、意見陳述等を行う方法もあります。被害者参加制度を弁護士に依頼する際の実務については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:被害者参加制度を弁護士に依頼するときの実務

損害賠償請求の時効

Q 死亡事故の損害賠償請求には時効がありますか?
A
結論として、人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、原則として損害及び加害者を知った時から5年、事故の時から20年で時効により消滅します。

通常の不法行為の消滅時効は3年ですが(民法724条1号)、死亡・負傷など人の生命または身体を害する不法行為については、この期間が5年に延長されています(民法724条の2)。あわせて、不法行為の時から20年が経過した場合にも消滅時効にかかります(民法724条2号)。

示談交渉や訴訟の準備には一定の時間を要しますので、早めに手続きの全体像を把握しておくことをおすすめします。

守谷・取手エリアにお住まいの方へ

守谷市・取手市はつくばエクスプレス(TX)沿線・常磐線沿線の通勤圏であり、常磐自動車道や国道294号等の幹線道路も通ることから、通勤・通学中の死亡事故も他人事ではありません。守谷市・取手市にお住まいの方が当事者となる民事事件は、水戸地方・家庭裁判所龍ケ崎支部(簡易裁判所は取手簡易裁判所)が管轄となります。ご遺族が慣れない裁判所や捜査機関とのやり取りに不安を感じる場面も多いため、地域の手続の流れも踏まえてサポートいたします。

CONTACT

死亡事故の損害賠償請求は、慰謝料・逸失利益の算定、相続との関係、刑事事件との関わりなど、確認すべき事項が多岐にわたります。状況をお聞きしたうえで、できる対応をご説明いたします。初回のご相談は面談またはZOOMでのご予約制となります。

弁護士 吉津和輝
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参考資料・情報源

e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)(デジタル庁)第709条・第710条・第711条・第722条・第724条・第724条の2・第404条・第417条の2・第915条
・民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 2025(令和7年)上巻〔基準編〕(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部、いわゆる「赤い本」)
裁判所 茨城県内の管轄区域表

更新履歴

2026年7月20日 新規公開

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月20日|最終更新日:2026年7月20日