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受け子・出し子(闇バイト)で逮捕されたら — 初動対応と弁護士の役割

刑事弁護・少年事件

受け子・出し子(闇バイト)で逮捕されたら
— 初動対応と弁護士の役割

守谷・取手・龍ケ崎 — ご家族が逮捕されたとき最初に知っておくべきこと
弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属/2018年12月弁護士登録(登録から約7年)
主な取扱分野:刑事弁護・少年事件・家族法・交通事故
守谷市・取手市・龍ケ崎市など常磐線・つくばエクスプレス沿線にお住まいの方へ。お子様やご家族が「受け子」「出し子」といった特殊詐欺の闇バイトに関わって逮捕された、あるいは警察から連絡を受けたという方に向けて、成立し得る罪、身柄拘束の見通し、少年事件との違いを解説します。
受け子・出し子(闇バイト)で弁護士に相談すべき3つのケース
1
警察から「息子(娘)さんを逮捕した」と突然連絡があり、何をすればよいか分からない
事実関係の確認や弁護士接見の手配など、当面取るべき初動対応について整理してご説明できます。
2
家族が「日給3万円」「荷物を受け取るだけ」といった求人に応募し、金融機関やコンビニ付近で警察官に声をかけられた・任意同行を求められた
逮捕に至っていない任意段階でも、今後想定される流れと対応の選択肢についてご説明できます。
3
常磐線・つくばエクスプレス沿線から都内・県外の学校や職場へ通う子どもが、SNS経由の高額バイト募集に応募していたことが後から分かった
少年事件・成人事件のいずれの場合も、捜査機関や家庭裁判所とのやり取りを含めた見通しを整理するお手伝いができます。
上記のいずれかに当てはまる場合は、状況を整理するところから弁護士がお手伝いできます。まずはお気軽にお問い合わせください。
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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
Q 受け子・出し子は法律上どのような犯罪になりますか?
A
結論として、受け子は詐欺罪(刑法246条)、出し子は窃盗罪(刑法235条)に問われる可能性があります。

特殊詐欺は、電話で被害者をだます役(かけ子)、被害者宅等で現金やキャッシュカードを直接受け取る役(受け子)、詐取・窃取したキャッシュカード等を使ってATMから現金を引き出す役(出し子)など、複数人が役割を分担して実行されるのが一般的です。

受け子は、被害者を欺いて財物を交付させる行為(欺罔行為)の一部を担ったとして、刑法246条1項の詐欺罪に問われる可能性があります。電話で被害者を直接だます「かけ子」も同じく詐欺罪に問われますが、欺罔行為そのものを担う中核的な役割であることから、実務上、受け子よりも重い責任を問われる傾向にあります。出し子は、被害者や金融機関の意思に反してATM等から現金を引き出す行為が、刑法235条の窃盗罪に該当するとされることが一般的です。

このように、同じ特殊詐欺グループ内でも、担った役割・関与の期間や回数・組織内での立場(末端か、指示を出す側か)によって、問われる罪や責任の重さは異なります。

かけ子
電話で被害者を欺く役割。詐欺罪(刑法246条)の中核的な実行行為を担い、より重い責任を問われる傾向
受け子
被害者宅等で現金・カード等を受け取る役割。詐欺罪(刑法246条)に問われ得る
出し子
ATM等から現金を引き出す役割。窃盗罪(刑法235条)に問われ得る
— 図:特殊詐欺における役割と成立し得る罪 —
【根拠】刑法(明治40年法律第45号)第246条1項:「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。」/同法第235条:「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」
直接だます役でなくても、詐欺グループ全体の一員として実行行為の一部を分担したと評価されれば、刑法60条の共同正犯(「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」)として処罰対象となり得ます。
Q 「荷物を受け取るだけ」「詳しい内容は知らなかった」場合でも罪に問われますか?
A
結論として、詐欺の詳細を知らされていなかったとしても、実務上「知らなかった」という主張が認められるのは容易ではなく、未必の故意が認定されて罪に問われる可能性が高いといえます。

闇バイトの募集では「荷物の受け取り代行」「単純作業」といった、犯罪性を隠した表現が使われるのが一般的です。しかし、刑法上の故意は、犯罪事実を確定的に認識していた場合に限られず、「犯罪かもしれない」と思いながらあえて実行した場合(未必の故意)にも認められます。

現金の受け渡し場所や時間の細かい指定、身分を明かさない依頼主、作業内容に見合わない高額な報酬、匿名性の高いアプリでのやり取りといった事情がある場合、裁判実務では「特殊詐欺への関与を認識していなかったとは考えにくい」と判断される傾向にあります。実際に、詐欺の認識を否認した受け子について、周囲の客観的事情から故意を認定して有罪とした裁判例も存在します。

そのため、「詳しくは知らなかった」という弁解だけで刑事責任を免れることは期待しにくく、故意を争う場合には、募集時のやり取りの内容や実行時の状況など、事案ごとの証拠関係を踏まえた慎重な検討が必要になります。

故意の成否を検討するうえでも、募集時のLINEやSNSのメッセージ等の記録は重要な証拠になります。これらは削除せず保存しておくことが望まれます。
Q 子どもや家族が逮捕されたと連絡が来ました。まず何をすればよいですか?
A
結論として、逮捕日時・容疑・留置されている警察署などの事実関係を落ち着いて確認したうえで、早期に弁護士へ相談することが重要です。

警察から連絡を受けた場合、まずは、いつ・どのような容疑で逮捕されたか、現在どの警察署に留置されているかを確認します。逮捕直後は、事件の内容によっては家族であっても本人と面会できない期間が生じることがあり、その間も弁護士のみは接見(面会)できる立場にあります。

弁護士に依頼することで、本人から状況を聴き取り、取調べへの対応方法を伝え、身柄の早期解放に向けた活動を進めることができます。子どもが少年(20歳未満)の場合の弁護士の選び方・付添人としての役割については、少年事件で子どもに弁護士をつける方法もご参照ください。

Q 逮捕後の身柄拘束はどのくらい続きますか?
A
結論として、逮捕から勾留満期までは、最大23日間、身柄が拘束される可能性があります。

逮捕後、警察官は48時間以内に事件を検察官に送致するかどうかを判断し、検察官はさらに24時間以内に勾留請求をするかどうかを判断します。裁判官が勾留を認めると、勾留請求の日から原則10日間、やむを得ない事由がある場合はさらに10日間を上限に延長される可能性があり、合計で最大23日間、身柄が拘束されることになります。

逮捕(警察の送致判断まで最大48時間)
検察官送致・勾留請求の判断(最大24時間)
勾留(原則10日間)
勾留延長(やむを得ない事由がある場合、最大10日間)
起訴・不起訴の判断
— 図:逮捕から起訴・不起訴の判断までの身柄拘束の流れ —
【根拠】刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第208条1項:「勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」2項:「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。」
Q 子どもが未成年(少年)の場合、成人と手続きはどう違いますか?
A
結論として、20歳未満の少年の事件は、原則としてすべて家庭裁判所に送致され(全件送致主義)、刑罰ではなく更生を目的とした手続で扱われます。

少年法上、20歳未満の者による事件は、警察・検察の捜査を経たあと、罪の軽重を問わず原則として家庭裁判所に送致されます。これを全件送致主義といいます。家庭裁判所では、少年の性格や生育環境等について家庭裁判所調査官による調査が行われ、必要に応じて少年鑑別所等での観護措置がとられたうえで、少年審判により保護観察・少年院送致等の処分が決定されます。

なお、令和4年4月1日施行の少年法改正により、18歳・19歳は「特定少年」として、一部の重大な事件については取り扱いが異なる点にも注意が必要です。観護措置がとられ少年鑑別所に収容される場合の家族・弁護士の立会いの可否については、少年事件で観護措置が決まるとき、家族や弁護士は立ち会えるのか?で詳しく解説しています。

【根拠】少年法(昭和23年法律第168号)第41条:司法警察員による家庭裁判所への送致義務/第42条1項:検察官による家庭裁判所への送致義務(以上、全件送致主義の根拠)/第17条1項:観護措置に関する規定
少年事件は成人の刑事事件と手続きの目的・流れが異なります。早期の段階から弁護士に相談し、今後の見通しを整理することが望まれます。
Q 逮捕される前の段階でも、弁護士に相談する意味はありますか?
A
結論として、逮捕前の任意捜査の段階でも、早期に相談することで対応の選択肢が広がります。

警察から任意の事情聴取や出頭を求められている段階、あるいは家族の間で「もしかして闇バイトに関わっているのではないか」という不安がある段階でも、弁護士に相談する意味はあります。逮捕される前に相談することで、取調べへの対応方針を整理したり、状況に応じて自ら出頭する形で対応を進めたりすることが可能になる場合があります。

ご不安を感じた時点でのご相談をお勧めします。状況をお聞きした上で、対応の選択肢をご説明します。
Q 初犯でも実刑になる可能性はありますか?現金を受け取れなかった(未遂の)場合は?
A
結論として、詐欺罪には罰金刑の規定がないため、有罪となれば拘禁刑が言い渡されることになり、初犯でも実刑となる可能性があります。また、現金等を受け取る前に検挙された場合でも、詐欺未遂罪として処罰の対象となり得ます。

詐欺罪(刑法246条)の法定刑は「10年以下の拘禁刑」であり、罰金刑の定めがありません。そのため、起訴されて有罪となった場合、執行猶予が付くかどうかは別として、言い渡される刑は拘禁刑となります。特殊詐欺は組織的・計画的な犯行と評価されやすく、被害額や関与の回数・態様によっては、初犯であっても執行猶予が付かず実刑となる可能性があります。

また、被害者宅に向かったものの現金やキャッシュカードを受け取る前に警察官に検挙された場合など、結果が発生していない場合でも、刑法250条により詐欺の未遂は処罰されます。未遂の場合、刑法43条本文により刑が減軽されることがありますが、必ず減軽されるわけではありません。

【根拠】刑法(明治40年法律第45号)第250条:「この章の罪の未遂は、罰する。」/同法第43条本文:「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。」

量刑の実情としては、受け子として現金等の受け取りに至った既遂の事案では、初犯であっても実刑となる例が多い傾向にあります。一方、未遂にとどまった事案では、被害額その他の事情によっては執行猶予付き判決となる場合もあります。もっとも、処分や量刑は、被害額、関与の程度・回数、報酬の額、被害弁償の有無、反省の状況など個別の事情によって大きく異なります。示談・被害弁償の成立は、不起訴処分や執行猶予付き判決に向けて有利に考慮される事情の一つとなり得ます。

被害者との示談交渉は、加害者本人やその家族が直接行うことは事実上困難であることが多く、弁護士が検察官を通じて被害者側の意向を確認しながら進めるのが一般的です。
Q 弁護士に依頼すると、具体的にどのような活動をしてもらえますか?
A
結論として、弁護士は、接見による本人への助言、身柄の早期解放に向けた活動、被害弁償・示談交渉、少年事件では付添人としての環境調整など、手続の段階に応じた弁護活動を行います。

逮捕・勾留中の段階では、弁護士は本人と接見して事実関係を聴き取り、取調べへの対応(供述調書の内容確認、署名押印の判断等)について助言します。あわせて、勾留請求に対する意見や勾留決定に対する不服申立て(準抗告)など、身柄の早期解放に向けた活動を検討します。

起訴・不起訴の判断に向けては、被害者への被害弁償・示談交渉、本人の反省や家族の監督体制を示す資料の提出などを通じて、検察官に対して働きかけを行います。起訴された場合には、公判での情状立証や執行猶予に向けた弁護活動を行います。

少年事件の場合、弁護士は家庭裁判所送致後は「付添人」として活動します。少年審判に向けて、少年本人の内省を深める働きかけ、学校・家庭など生活環境の調整、家庭裁判所調査官や裁判官への意見提出などを行い、少年の更生に適した処分の実現を目指します。

逮捕・勾留段階
接見・取調べ対応の助言/勾留に対する意見・準抗告など身柄解放に向けた活動
起訴前段階
被害弁償・示談交渉/監督体制を示す資料の提出/検察官への働きかけ
公判段階
情状立証/執行猶予に向けた弁護活動
少年事件(家裁送致後)
付添人としての環境調整/調査官・裁判官への意見提出
— 図:手続の段階と弁護活動の内容 —

少年事件における国選付添人・私選付添人の違いや費用については、少年事件で子どもに弁護士をつける方法で詳しく解説しています。

Q 闇バイトに応募してしまった・抜け出したい場合はどうすればよいですか?
A
結論として、まだ実行行為に及んでいない段階であれば、一人で抱え込まず、できるだけ早く警察や弁護士に相談することが重要です。

闇バイトの募集では、応募の過程で運転免許証などの身分証や家族の情報を送らせ、「辞めたら家に行く」などと脅して離脱を妨げる手口が指摘されています。しかし、脅されているからといって実行行為に及べば、自分自身が刑事責任を問われる立場になってしまいます。

緊急の対応を要しない警察への相談は、警察相談専用電話「#9110」で受け付けられており、全国どこからでも、電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。身の危険が差し迫っている場合は110番通報が優先です。

弁護士に相談する場合、弁護士には職務上知り得た秘密についての守秘義務があります(弁護士法23条)。相談したこと自体や相談内容が、相談者の意思に反して外部に伝わることはありません。状況を整理したうえで、警察への相談・出頭の進め方を一緒に検討することができます。

【根拠】弁護士法(昭和24年法律第205号)第23条:「弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」
⚠️ 応募時のメッセージのやり取り(SNS・匿名性の高いアプリ等)は、脅されて関与した経緯を示す証拠にもなり得ます。指示役から削除を求められても、スクリーンショット等で記録を残しておくことが望まれます。
地域の実情について

守谷市・取手市・龍ケ崎市など、つくばエクスプレス沿線・常磐線沿線の地域は、都内や県外の学校・職場へ通う中高生・大学生・若年層の住民が多いことで知られています。こうした地域では、SNSを通じた「高額バイト」の募集がスマートフォンを通じて日常的に届きやすく、通学・通勤の移動時間中に応募してしまうケースも指摘されています。受け子・出し子(闇バイト)に関する事件は、龍ケ崎市・取手市・守谷市が水戸地方裁判所・水戸家庭裁判所龍ケ崎支部の管轄区域に、つくばみらい市が同土浦支部の管轄区域に含まれます。

CONTACT

受け子・出し子(闇バイト)に関わる刑事事件・少年事件は、初動対応の速さが今後の見通しに影響します。状況をお聞きした上で、対応の選択肢をご説明します。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
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参考資料・情報源

e-Gov法令検索(デジタル庁)刑法・刑事訴訟法・少年法・弁護士法の条文確認
茨城県内の管轄区域表(裁判所)
警察に対する相談は警察相談専用電話「#9110」番へ(政府広報オンライン)

更新履歴

2026年7月17日:新規公開(同日:関連記事リンク追加、Q7〜Q9追加、Q1・Q2・Q7を実務の実情に即して加筆修正)

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月17日|最終更新日:2026年7月17日