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賃貸管理のトラブル対応 — 家賃滞納・明渡し・モンスター入居者

不動産・賃貸管理

賃貸管理のトラブル対応 — 家賃滞納・明渡し・モンスター入居者

弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属|2018年12月弁護士登録(登録から約7年)
主な取扱分野:不動産法務・賃貸管理・借地借家・家賃滞納対応・明渡訴訟

大家(オーナー)・不動産管理会社の方へ。「3か月家賃を滞納する入居者をどうしたら出せるのか」「『うるさい』と隣室から苦情が入るが当事者同士で解決しないので板挟みになっている」「退去時の原状回復費を請求したら『ガイドラインと違う』と拒絶された」 — 守谷・取手・柏エリアは、TX沿線の人口流入で新規賃貸が活発な一方、常磐線沿線では空室・高齢入居者・相続不動産が課題となっています。本記事では、弁護士の立場から、大家・管理会社が直面する賃貸管理トラブルの対応を整理します。

Q家賃を3か月滞納している入居者を追い出せますか?
A
結論から言えば、「催告 → 契約解除 → 明渡訴訟 → 強制執行」という法的手続を経る必要があり、事案や裁判所の繁忙度により変動するものの、一般的には概ね半年〜1年程度を要することが多いです。鍵を替える、荷物を出す、等の自力救済行為は違法で、逆に損害賠償請求を受けます。守谷・取手エリアで多い、少数戸の個人オーナー・兼業大家の方でも、手続は同じです。
賃貸借契約の解除が認められるためには、「信頼関係の破壊」が必要とされています。1〜2か月の滞納では認められにくく、実務では3か月以上の滞納が一つの目安とされることが多いです(ただし個別事情による)。
手続の流れ:①内容証明による催告(通常2週間〜1か月の支払猶予) → ②解除通知 → ③建物明渡請求訴訟の提起 → ④判決 → ⑤強制執行(動産執行・明渡執行)

管轄裁判所の目安(物件所在地による):
・守谷市・取手市・牛久市・龍ケ崎市 → 水戸地裁龍ケ崎支部
・つくばみらい市・つくば市・土浦市 → 水戸地裁土浦支部
・常総市 → 水戸地裁下妻支部
・柏市・我孫子市・野田市 → 千葉地裁松戸支部
Q「夜中に音がうるさい」と隣室からクレームが来ます。大家としてどこまで対応すべき?
A
賃貸借契約上、貸主は貸した物件を使用収益させる義務(民法601条)を負い、入居者同士のトラブルにも一定の対応義務があります。受忍限度を超える迷惑行為を放置した場合、貸主が使用収益義務違反を問われる可能性がある裁判例もあるため、大家としても相応の対応が求められます。
実務上の段階的対応:
①書面・口頭での注意喚起(全戸共通の掲示を含む)
②苦情元・加害側双方からの事実確認
③必要に応じて警察(生活安全課)・自治会への相談案内
④改善されない場合、契約解除の検討(騒音を理由とする解除には、継続性・悪質性・程度について客観的な証拠が必要)
⑤大家自身が当事者として訴訟に巻き込まれる場合は弁護士に相談
Q退去時の原状回復で入居者と揉めています。敷金はどこまで返せばいい?
A
民法621条は、賃借人は通常の使用による損耗(通常損耗)・経年変化について原状回復義務を負わないと明文化しています(2020年改正民法)。
【根拠】民法(明治29年法律第89号)第621条
「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」が実務の重要な判断基準です。壁紙のヤケ・家具設置跡・画鋲の小穴などは通常損耗で貸主負担、タバコのヤニ・ペット傷・明らかな故意過失による損傷は借主負担となるのが原則です。
⚠️ 退去時に原状回復費を一方的に敷金から差し引くと、「敷金返還請求」で少額訴訟を起こされる可能性があります。入居時・退去時の写真記録、原状回復費の見積書の根拠、ガイドラインとの整合性が、紛争時の立証の要になります。
Q建物の老朽化を理由に入居者に立ち退いてもらえますか?
A
普通借家契約では、貸主からの更新拒絶・解約申入れには「正当事由」が必要です(借地借家法28条)。単に「老朽化している」「建て替えたい」だけでは正当事由として不十分な場合が多く、実務では立退料の支払いによって正当事由を補完する運用が一般的です。
【根拠】借地借家法(平成3年法律第90号)第28条
「建物の賃貸人による第26条第1項の通知(更新拒絶通知)又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人…が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」
※更新拒絶(法26条1項の通知)・解約申入れのいずれについても正当事由が要求されます。
立退料の金額は、物件種別・残存利用可能期間・代替物件確保の難易度・賃料・居住年数等を考慮して総合的に決まります。賃料数か月分〜数年分まで幅があります。交渉・訴訟いずれの場合も、計画段階から弁護士が関与すると、立退料の妥当な水準や段取りを設計できます。
Q入居者が亡くなっていた(孤独死)、事故物件になった場合の対応は?
A
高齢化に伴い、賃貸物件での死亡事案(孤独死を含む)は増加しています。取手・常総・龍ケ崎など常磐線沿線の家賃相場が比較的低いエリアでは、単身高齢入居者・長期入居者の比率が高い物件もあり、大家・管理会社として孤独死対応の実務フローを事前に整えておく必要性が高い地域です。国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月)により、宅地建物取引業者が次の入居者・買主に対して告げるべき範囲が整理されています。
ガイドラインの骨格(居住用不動産):
【告げなくてもよい場合】
①自然死(老衰・病死等)又は日常生活の中での不慮の死(転落・溺死・誤嚥等)は、賃貸借・売買いずれも原則告知不要。ただし、長期間放置され特殊清掃等が行われた場合は下記②に従う
②賃貸借取引の対象不動産において、①以外の死(自殺・他殺等)が発生した場合、又は特殊清掃等が行われた①の死が発覚してから概ね3年が経過した場合は、原則として借主への告知は不要(ただし事件性・周知性・社会的影響が特に高い事案を除く)。なお、売買取引については、3年経過による告知不要とする基準はガイドライン上定められていない
③隣接住戸・借主又は買主が日常生活で通常使用しない共用部分において、①以外の死が発生した場合又は①の死が発生して特殊清掃等が行われた場合は、賃貸借・売買いずれも原則告知不要(ただし事件性・周知性・社会的影響が特に高い事案を除く)
【告げなければならない場合】
上記①〜③に該当しない場合は、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるときは告知が必要。告げる内容は、事案の発生時期(発覚時期)・場所・死因(不明の場合はその旨)・特殊清掃等の有無
【質問された場合】
上記にかかわらず、買主・借主から事案の有無を問われた場合や、社会的影響の大きさから把握しておくべき特段の事情があると認識した場合は、期間に関係なく告知が必要
⚠️ ガイドラインに従った対応を行っても、民事上の責任を回避できるとは限らない旨がガイドライン自体に明記されています。個別事案では契約内容や取引当事者の意向を踏まえた判断が必要です。告知の要否・内容に迷う場合は弁護士にご相談ください。
大家としては、①相続人の調査と明渡対応、②特殊清掃費用の負担者判断、③連帯保証人への請求、④次の入居者募集での告知対応、を同時並行で進める必要があります。相続人不明時の対応(相続財産清算人の選任等)もあり、早期に弁護士・司法書士と連携して進めるのが実務的です。相続登記の事務については司法書士にご相談ください。
Q連帯保証人への請求はどこまで可能ですか?
A
2020年4月施行の改正民法により、個人の根保証契約(連帯保証契約もこれに該当)については極度額(上限金額)の定めが契約の効力要件となりました(民法465条の2)。極度額の定めのない連帯保証契約は無効です。
【根拠】民法第465条の2第2項
「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」
2020年4月1日以降に締結・更新された賃貸借契約で、連帯保証人欄に極度額の記載がない場合、連帯保証契約自体が無効とされるリスクがあります。なお、2020年3月31日以前に締結された契約の連帯保証については、改正前民法が適用されるため、極度額の定めがなくても直ちに無効とはなりません。ただし、契約更新の際に新たな保証契約を締結する場合は改正後民法が適用されるため、更新時の極度額条項の整備をお勧めします。
Q入居者からのカスハラ・クレーマー対応はどう進めますか?
A
大家・管理会社への過度な要求(「24時間対応しろ」「少しの不具合で賃料減額を要求」「営業時間外の呼び出し」等)は、賃貸管理業界でも増加傾向にあります。
対応の基本:
①賃貸借契約書・管理委託契約書で対応範囲を明文化
②営業時間・緊急対応の定義を文書で提示
③過度な要求には書面で回答し、やりとりを記録化
④信頼関係が著しく損なわれた場合は契約解除(正当事由の要件を確認)の検討
⑤威圧・脅迫・業務妨害に至る場合は警察相談・弁護士介入
2026年10月施行の改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)により、カスハラ対策が全事業主に義務化されます。管理会社は従業員保護の観点からも、対応方針の明文化が必要です。

賃貸管理のトラブルは、動き出しの速さと法的手続の正確さが結論を左右します。守谷・取手・柏エリアの大家・賃貸管理会社の方で、家賃滞納対応・明渡訴訟・原状回復・立退き交渉・事故物件対応・入居者クレームにお困りの場合は、弁護士 吉津和輝までお気軽にご相談ください。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属
📧 [email protected]
📞 050-3623-1320
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賃貸管理会社の顧問弁護士活用については、別記事「賃貸管理会社に顧問弁護士は必要か」もあわせてご参照ください。

対応エリア

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)4月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年4月17日|最終更新日:2026年4月17日