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賃貸管理会社に顧問弁護士は必要か — サブリース新法・管理業法・大家トラブルへの備え

顧問弁護士・賃貸管理業

賃貸管理会社に顧問弁護士は必要か — サブリース新法・管理業法・大家トラブルへの備え

弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属|2018年12月弁護士登録(登録から約7年)
主な取扱分野:企業法務・顧問弁護士・不動産法務・賃貸管理業法務

賃貸管理会社の経営者・管理者の方へ。2021年6月施行の賃貸住宅管理業法には2つの柱があります。第一に、管理受託を行う事業者の国交省への登録義務(法3条1項本文)。管理戸数200戸未満の事業者は登録義務の例外とされていますが(同項ただし書・施行規則3条)、200戸未満でも任意登録は可能で、実際に任意登録している事業者も多くあります。第二に、サブリース業者(特定転貸事業者)に対する行為規制(誇大広告禁止・重要事項説明義務等。法28条〜)で、こちらは戸数を問わず適用されます。サブリース業者であっても維持保全業務を行い管理戸数が200戸以上に達する場合は、登録義務の対象にもなります。業界全体のコンプライアンス意識が大きく変わりました。さらに2020年4月施行の改正民法の連帯保証人ルール、家賃滞納対応、孤独死・事故物件対応、管理委託契約書の整備など、法的判断が連続して必要となる業態です。守谷はTX開通以降も都内通勤者向けファミリー・単身賃貸需要が堅調である一方、取手・常総・龍ケ崎では家賃相場が低めで高齢者・生活保護受給者の入居比率が高い物件も多く、同じ県南でも管理課題が異なります。本記事では、弁護士の立場から、賃貸管理会社で顧問契約のメリットが出やすい場面を率直に整理します。

Q賃貸管理会社で顧問弁護士に相談する場面はどんなものがありますか?
A
実務でよく見られる場面は次のとおりです。
① 家賃滞納対応・明渡訴訟の手続代理
② 管理委託契約書・賃貸借契約書・サブリース契約書の整備・チェック
③ 原状回復トラブル・敷金返還請求への対応
④ 立退き交渉・正当事由の検討・立退料の算定
⑤ 孤独死・事故物件対応(告知義務・相続人調査)
⑥ 連帯保証人への請求、保証会社との関係整理
⑦ 大家(オーナー)との管理委託契約トラブル
⑧ 入居者・大家からのクレーム対応(カスハラ含む)
⑨ 従業員の労務管理(残業代、シフト、退職対応)
⑩ サブリース新法(賃貸住宅管理業法)のコンプライアンス対応
賃貸管理業は、入居者・大家・保証会社・火災保険会社・管理組合など、複数の関係者間で継続的に判断が必要な業態です。顧問契約の効果が出やすい傾向がある業界の一つです。
Qサブリース新法(賃貸住宅管理業法)への対応で弁護士の役割は?
A
2021年6月施行の賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)は、2つの柱で構成されています。第一に、管理受託を200戸以上行う事業者に対する登録義務(法3条)。第二に、サブリース業者(特定転貸事業者)に対する行為規制(誇大広告禁止・不当勧誘禁止・重要事項説明義務・契約書面交付義務。法28条〜)で、こちらは戸数を問わず適用されます。サブリース業者であっても維持保全業務を行い管理戸数が200戸以上に達する場合は、登録義務の対象にもなります。
【根拠】賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第28条以下
重要事項説明の義務、誇大広告等の禁止、不当勧誘等の禁止、契約の締結時における書面の交付義務等が規定されています。
違反には行政処分・罰則があり、実際に国交省の監督処分事例も複数出ています。顧問弁護士がいると、①サブリース契約書の適法性チェック、②重要事項説明書の整備、③広告・勧誘表現のチェック、④トラブル発生時の早期対応が可能になります。
Q家賃滞納対応は保証会社が処理するので、弁護士は不要では?
A
保証会社が初動の督促・代位弁済を行う場面は多いですが、明渡訴訟・強制執行の段階では弁護士代理が実務的に必須です。保証会社は法的代理権を持たず、裁判所での主張・立証は管理会社または大家自身が行う必要があります。
保証会社が賃借人に代位弁済した後、保証会社は賃借人に対して求償権を取得し、貸主の賃料債権は保証会社に移転します(民法499条、501条)。この場合、管理会社・貸主としては、①保証会社が代位弁済した部分について二重に請求しないよう債権管理をする必要があり、②賃貸借契約の解除を判断する際、代位弁済された部分を「未払」として扱えるかという論点が生じます。
⚠️ 保証会社が倒産した場合、既発生の未払賃料等の債権は破産債権として届出することになりますが、実際の回収は極めて困難です。むしろ実務上重要なのは、倒産前の段階で保証会社の財務状況悪化の兆候を察知し、別の保証会社への切替えや連帯保証人の追加を検討することです。倒産後の対応より、倒産リスクへの事前対応の方が管理会社にとって実益があります。
顧問弁護士がいると、保証会社任せにせず、管理会社として法的に最適な動きを設計できます。
Q管理委託契約書は、どこまで弁護士にチェックしてもらうべき?
A
管理委託契約書は、大家と管理会社の責任範囲・報酬・解除条件を定める基本文書で、トラブル発生時の責任の所在を決める最重要書類です。2021年6月施行の賃貸住宅管理業法により、一定規模以上の管理会社には重要事項説明義務・書面交付義務が課されており、契約書の整備は法令遵守の観点からも不可欠です。
特にチェックしたい論点:
・管理業務の範囲(清掃・修繕・入居者対応・法定点検)
・滞納時の督促対応(弁護士法72条との関係で、管理会社が法的交渉まで行うことは含められない点に注意)
・事故・災害時の緊急対応の範囲と費用負担(事前承諾なしで対応した場合の費用償還)
・大家の指示が違法・不当な場合の管理会社の対応義務の限界
・契約解除時の敷金・進行中案件・個人情報の引継ぎ
・免責条項の有効性(全部免責・故意重過失免責は無効リスク)
・従業員保護の観点からの大家の協力条項
雛形利用でも、自社実態に合わせたカスタマイズと、2020年4月施行の改正民法(債権法)・賃貸住宅管理業法との整合性確認が必要です。
Q顧問契約が向く賃貸管理会社の特徴は?
A
率直に申し上げます。次のいずれかに当てはまる場合は、顧問契約のメリットが出やすい傾向があります。
・管理戸数100戸以上(家賃滞納・退去・原状回復案件が月複数件発生する規模)
・サブリース(特定転貸)を行っている
・自社ブランドでの一棟・区分マンション運用を行っている
・高齢者入居・生活保護受給者入居を多数抱えている
・事故物件・孤独死事案を経験
・過去に明渡訴訟・立退き交渉を経験
・従業員10名以上の組織(労務管理が必要な規模)
一方、管理戸数が少数で、過去に法的紛争経験もなく、すべて保証会社任せで回っている場合は、必要時のスポット相談で対応できることもあります。
Q宅建業許可や行政手続は弁護士の領域ですか?
A
宅地建物取引業の免許申請、賃貸住宅管理業の登録申請、それらの更新・変更届出などの手続代行は、行政書士法1条の2に基づき行政書士の領域です。従業員の社会保険・労働保険の手続や就業規則の整備は社会保険労務士、不動産登記は司法書士、税務申告は税理士が担当します。
一方、紛争性のある契約書の整備・リスク分析、建物明渡訴訟・未払賃料回収訴訟、労働審判・労働訴訟、賃借人や近隣住民との紛争対応、従業員のカスハラ被害対応などは弁護士の領域です。特に訴額が140万円を超える事件、反訴・控訴を見据える必要がある事件、法的論点が複雑な事件は、司法書士の簡裁代理権の範囲を超えるため、弁護士による対応が必要となります。
実務では、行政書士・社会保険労務士・税理士・司法書士・弁護士がそれぞれの分野を担当し、必要に応じて連携する形が一般的です。顧問契約に含まれる範囲と、他士業に依頼する範囲を契約前に整理しておくと、業務の重複や漏れを防げます。
Q顧問料の相場は?
A
事務所・規模・対応範囲によりますが、中小規模の賃貸管理会社向けの一般的な水準としては月額3万円〜7万円程度が目安となります。当職は、管理戸数・従業員数・想定される相談頻度・訴訟代理の要否をお伺いした上でご提案するかたちをとっています。顧問契約に含まれる業務は初回打合せでご説明します。
Qまず何から始めればよいですか?
A
「顧問契約を結ぶかどうかを含めて、一度ご相談いただく」のが現実的です。当事務所では、管理規模・現在抱えている懸念をお伺いした上で、顧問が必要な状況なのか、スポット相談で足りるのかを率直にお伝えしています。家賃滞納の訴訟対応を機に、会社全体の法務体制を整理する機会としてご活用いただくケースも多くあります。

守谷・取手・柏エリアの賃貸管理会社・不動産オーナーの方で、顧問契約のご検討、家賃滞納対応、明渡訴訟、管理委託契約整備、サブリース新法対応、労務問題などお困りの場合は弁護士 吉津和輝までお気軽にご相談ください。状況をお聞きした上でご説明します。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属
📧 [email protected]
📞 050-3623-1320
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家賃滞納・明渡し・原状回復などの具体的な対応については、別記事「賃貸管理のトラブル対応 — 家賃滞納・明渡し・モンスター入居者」もあわせてご参照ください。

対応エリア

守谷市・取手市・常総市・つくばみらい市・龍ケ崎市・牛久市・つくば市・土浦市・野田市・我孫子市・北柏をはじめ、茨城県南部・千葉県北西部の賃貸管理会社・不動産オーナーの顧問契約・不動産法務に関するご相談もお受けしています。弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)までお気軽にどうぞ。

参考資料・情報源

e-Gov法令検索(デジタル庁)
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)(国土交通省)

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)4月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年4月17日|最終更新日:2026年4月17日