企業法務のブログ
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2026/04/14
会社の事業承継・M&A・廃業の違いとは? 後継者問題の解決方法を弁護士が解説
相続・遺産分割/企業法務
会社の事業承継・M&A・廃業の違いとは?
後継者問題の解決方法を弁護士が解説
弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)市川法律事務所に所属する弁護士です。
守谷市・つくばみらい市・常総市・取手市など、地元の中小企業オーナーはいざとなったら会社を畳めるのでしょうか。もっとも、家族以外の従業員を雇っている会社では、社長一人の都合で簡単に解散することはできません。経営者の高齢化と後継者問題が重なる中で、自社株の承継・個人保証の引き継ぎ・従業員の雇用といった論点をどう整理するかは、会社の将来を左右します。本記事では、事業承継・M&A・廃業、3つの選択肢の違いと、それぞれの現実をご説明します。
Qワンマン経営の会社にはどのような出口がありますか。
A
代表者の高齢化や相続を見据えたとき、会社の将来として考えられる選択肢は、大きく次の3つに整理できます。
①親族内承継(息子・娘などに株式と経営権を引き継ぐ)
②第三者承継・M&A(従業員や外部の第三者に会社を譲渡する)
③廃業・解散(会社の事業を終わらせ、会社自体を清算する)
これに加えて、何の準備もないまま代表者が亡くなってしまい、相続人の間で方向性が決まらないまま会社が事実上止まってしまう「塩漬け状態」が、最も避けるべき第4のシナリオです。
どの出口を選ぶにしても、検討と準備には年単位の時間が必要になることが少なくありません。後継者がいるかどうか、株式が誰の手にあるか、取引先や金融機関との関係、従業員の雇用、不動産の名義、相続税の負担など、確認と検討、準備すべき事項が多岐にわたるためです。
②第三者承継・M&A(従業員や外部の第三者に会社を譲渡する)
③廃業・解散(会社の事業を終わらせ、会社自体を清算する)
Q「いざとなったら会社を畳めばいい」というのは現実的ですか。
A
法律上、株式会社は株主総会の特別決議で解散を決議することができます。
退職・解散・廃業に伴う解雇であっても、退職金規程があればその支払い、未払いの賃金や残業代があればその精算、社会保険・雇用保険の手続き、取引先との契約の整理、リース物件の返却、賃貸物件の原状回復、といった処理が必要になります。
【根拠】会社法(平成17年法律第86号)第471条本文及び同条第3号:「株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。…株主総会の決議」
しかし、家族以外の従業員を雇っている会社の場合、解散や廃業を決めるだけでは終わりません。従業員に合意による退職を促し、最終的に合意退職とならなければ、会社の解散を理由に解雇することになります。退職・解散・廃業に伴う解雇であっても、退職金規程があればその支払い、未払いの賃金や残業代があればその精算、社会保険・雇用保険の手続き、取引先との契約の整理、リース物件の返却、賃貸物件の原状回復、といった処理が必要になります。
⚠️ 廃業は「やめる」と決めれば翌日に終わる手続きではありません。従業員数や債務の状況によっては、整理に半年から1年以上かかることもあります。資金繰りに余裕があるうちに準備を始める必要があります。
Q後継者がいない場合、M&Aで売却すれば必ず買い手はつきますか。
A
後継者が見つからない会社の出口として、第三者へのM&Aがしばしば候補にあがります。ただし、M&Aは買い手がついて初めて成立する話であり、すべての会社に買い手がつくとは限りません。 とくにワンマン経営で長く回ってきた会社では、買い手から次のような点が懸念されることがあります。
・社長個人の能力や人脈で取引が成り立っており、社長が退いた後の事業継続性が見えにくい
・社内の組織体制や業務マニュアルが整っておらず、引き継ぎコストが大きい
・経理上、社長と会社の間に貸借関係が積み上がっている
・契約書類や議事録の整備が十分でなく、デューデリジェンスで懸念点が出やすい
・主要取引先との契約が口頭ベースで、譲渡後の継続が不透明
茨城県南エリアの中小企業の中には、特定の元請けへの依存度が高い下請け型の製造業や、地域密着で社長個人の信頼で受注してきた建設・運送業もあり、こうした業態はとくに「社長がいなくなれば価値が下がる」と評価されやすい傾向があります。
M&Aを現実的な選択肢にするためには、社長が元気なうちから、属人化した経営を組織的な体制に切り替える準備、契約書類の整備、財務の透明化などを進めておく必要があります。後継者・引継ぎ支援の公的窓口として、各都道府県に「事業承継・引継ぎ支援センター」が設置されており、相談先として活用することができます。
・社内の組織体制や業務マニュアルが整っておらず、引き継ぎコストが大きい
・経理上、社長と会社の間に貸借関係が積み上がっている
・契約書類や議事録の整備が十分でなく、デューデリジェンスで懸念点が出やすい
・主要取引先との契約が口頭ベースで、譲渡後の継続が不透明
Q親族内で後継者を決めても、相続税が払えないという話を聞きます。本当ですか。
A
非上場会社の自社株であっても、相続税の課税対象となる財産です。長年黒字経営を続けてきた会社や、不動産を会社で保有している会社では、株式の評価額が想定以上に大きくなることがあります。
問題は、自社株は上場株式と違って市場で簡単に売却できないという点です。後継者は経営権を引き継ぐために株式を取得する一方、それに見合う相続税を現金で納める必要があり、納税資金の確保が大きな課題になります。
⚠️ つくばエクスプレス沿線の地価上昇を取り込んだ不動産を会社が保有している場合、純資産価額が積み上がり、自社株の評価額が高くなることがあります。土地の評価が上がっていることは経営者自身が気づきにくく、相続が起きてから初めて税負担の大きさに直面するケースもあります。
この問題への対策として、一定の要件を満たす非上場株式について相続税・贈与税の納税を猶予する「事業承継税制」という制度があります。要件が細かく、計画的な準備が必要ですので、早い段階で検討することが望まれます。
相続税の具体的な金額の計算、申告、事業承継税制の適用要件の判定などは税務の専門領域となります。詳しくは税理士にご相談ください。弁護士としては、株式の集約方法、遺留分対策、株主間の合意形成、定款設計など、法律面のサポートが中心となります。
Q3つの出口を比較すると、どれを選ぶべきでしょうか。
A
どの出口が適しているかは、後継者の有無、会社の事業内容、財務状況、従業員の状況、家族関係、相続税の見通しなど、複数の要素によって変わります。一般論として優劣をつけられるものではありません。
重要なのは、いずれの選択肢を選ぶにしても、検討と準備に時間がかかるという点です。代表者がご健在で、判断能力に問題がなく、関係者と話し合える状態のうちから動き出した方が、選択肢の幅は広くなります。
① 親族内承継
- 後継者の意思確認
- 自社株の集約
- 遺留分への配慮
- 個人保証の引き継ぎ
- 相続税の納税資金の確保
② M&A・第三者承継
- 買い手の有無の見極め
- 企業価値の評価
- 属人的な経営からの脱却
- 契約書類・財務の整備
- 従業員の処遇の取決め
③ 廃業・解散
- 従業員の雇用の整理
- 取引先との契約整理
- 債務の清算
- 不動産・設備の処分
- 清算完了までの資金繰り
Q事業承継の準備は、スポット相談と顧問契約のどちらが適していますか。
A
どちらが正解と一概に申し上げることはできません。事案の性質と、会社が置かれている段階によって向き不向きがあります。 スポット相談は、すでに具体的な問題が目の前にあり、単発の法律判断や書面作成で対応が完結する場面に向いています。たとえば、相続が発生した後の遺産分割協議や、特定の契約書の作成・レビューなどです。
一方、事業承継は一度の相談で終わる類型ではなく、数か月から年単位の準備期間を要することが少なくありません。株主構成の見直し、定款の整備、株主総会・取締役会の運営、主要契約書のチェック、労務トラブルの初期対応、取引先との関係整理など、継続的に確認すべき論点が積み重なっていきます。
継続的なサポートが必要な局面では、顧問契約という形で関わった方が、会社の状況を踏まえた助言がしやすくなる場合があります。毎回一から状況を説明する負担がなく、問題が小さいうちに相談できるという利点があります。
もちろん、顧問契約が必須というわけではありません。状況をお聞きした上で、顧問契約とスポット相談のどちらがその会社にとって無理のない形か、ご一緒に検討できればと思います。
Q顧問弁護士は事業承継に向けて、具体的にどのような関わり方をするのですか。
A
ワンマン経営の会社が、代表者の世代交代や事業承継を見据えて「属人的な経営」から「組織的な経営」へ移行していく段階では、弁護士が法律面から関われる場面が複数あります。一例を挙げると次のようなものです。
・定款の現状確認と、承継を見据えた見直しの検討
・株主名簿の整備と、名義株の問題の洗い出し
・株主総会・取締役会の運営方法や議事録作成のサポート
・取引先との基本契約書の整備、口頭ベース取引の書面化
・就業規則・労働契約書の整備、労務トラブルの初期相談
・個人保証の状況確認と、金融機関との協議への助言
・社長個人と会社の貸借関係の整理方針の検討
これらはいずれも、問題が表面化してから対処するよりも、平時のうちに少しずつ整えていった方が、結果的に会社にとって負担の少ない形で進めやすい事項です。顧問弁護士がいる場合、日常的なやり取りの中でこうした論点に気づくことができ、小さな段階で手当てがしやすくなります。
・株主名簿の整備と、名義株の問題の洗い出し
・株主総会・取締役会の運営方法や議事録作成のサポート
・取引先との基本契約書の整備、口頭ベース取引の書面化
・就業規則・労働契約書の整備、労務トラブルの初期相談
・個人保証の状況確認と、金融機関との協議への助言
・社長個人と会社の貸借関係の整理方針の検討
顧問料のご相談や、どの範囲までサポートするかは、会社の規模や必要な関与の頻度に応じて柔軟に決めています。まずは状況をお聞きした上で、無理のない形をご提案します。
Q何から相談すればよいですか。
A
まずは、現在の会社の状況を整理することから始められるとよいと思います。
・株主が誰で、どの程度ずつ持っているか
・会社が使っている事業所(土地建物)の名義は誰か
・金融機関の借入と個人保証の状況
・取引先との契約形態(書面の有無、依存度)
・後継者となり得る方の有無と意思
・従業員数と雇用条件
これらを整理した上で、想定される出口ごとに何が課題になるかを検討していきます。状況をお聞きした上で、考えられる選択肢と進め方をご説明します。最初の段階で完璧な計画を立てる必要はなく、現状把握から始めるだけでも、その後の対応の方向性が見えてくることがあります。
・会社が使っている事業所(土地建物)の名義は誰か
・金融機関の借入と個人保証の状況
・取引先との契約形態(書面の有無、依存度)
・後継者となり得る方の有無と意思
・従業員数と雇用条件
ワンマン経営の会社の事業承継、M&A、廃業のご相談をお受けしています。どの選択肢を取るにしても準備に時間がかかりますので、現状の整理段階からでもお気軽にご相談ください。単発のご相談はもちろん、継続的なサポートが必要な場合の顧問契約についてもご案内できます。状況をお聞きした上で、無理のない形をご提案します。
弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)4月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
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