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問題社員を解雇できるか・弁護士吉津和輝

企業法務 / 労務

問題社員を解雇できるか
会社が知っておくべき法的ポイント

弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属) 市川法律事務所に所属する弁護士です。

「遅刻・無断欠勤が繰り返される」「業務命令に従わない」「他の社員へのハラスメントが止まらない」——そんな社員を解雇したいと思っても、日本の労働法は解雇規制が厳しく、安易な解雇は大きなリスクを招きます。会社側が知っておくべきポイントを解説します。会社側から解雇したしたいという話はご相談でも良くある話ですが、いきなり解雇してよいのかについて、解説していきます。

Q問題行動があれば解雇できますか?
A
問題行動があるだけでは、すぐに解雇できるとは限りません。労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と定めています。つまり、①客観的に合理的な理由があること、②社会通念上相当であること、の2つを満たさなければ解雇は無効になります。
「問題社員だから解雇した」という感覚的な判断では、後の労働審判・訴訟で会社側が敗訴するリスクが高いです。
Q解雇が認められやすいケースはどんな場合ですか?
A
以下のような事情が重なると、解雇が有効と認められやすくなります(以下のような事情は一事情ですので、複数あるからといって、必ず解雇できる訳ではないので注意してください)。
  • 問題行動が複数回・長期間にわたって繰り返されている
  • 会社が書面による注意・指導・警告を行った記録がある
  • 改善の機会を与えたが改善されなかった
  • 就業規則に解雇事由が明記されており、その事由に該当する
  • 横領・暴行など、1回でも解雇が正当化されるほど重大な行為がある
Q解雇する前にやっておくべきことは何ですか?
A
解雇に至るまでのプロセスの記録が極めて重要です。具体的には以下を徹底してください。
  • 問題行動の日時・内容を記録する(業務日報・メール等)
  • 口頭注意だけでなく書面(指導書・警告書)を交付して記録に残す
  • 改善を求めた経緯と、改善されなかった事実を記録する
  • 就業規則の解雇事由に該当するか確認する
  • 解雇予告(30日前)または解雇予告手当の支払いを忘れない(労働基準法20条)
解雇は「最後の手段」という姿勢が裁判所にも求められます。退職勧奨・配置転換・降格など、解雇以外の手段を試みたかどうかも重要な考慮要素です。
Q解雇した後に「不当解雇だ」と言われたらどうなりますか?
A
元従業員から労働審判や訴訟を起こされる可能性があります。解雇が無効と判断された場合、解雇時から判決まで支払われなかった賃金(バックペイ)の支払いを命じられることもあります。訴訟に発展すると会社側の負担も大きくなるため、解雇を検討している段階で事前に弁護士に相談することが、結果的にリスクと費用を抑えることになります。
Q解雇ではなく退職してもらう方法はありますか?
A
退職勧奨という方法があります。会社から「退職してほしい」と働きかけ、本人が合意したうえで退職届を提出してもらうものです。解雇と異なり、合意による退職ですので後のトラブルになりにくいメリットがあります。ただし、退職勧奨も度を超えれば違法なハラスメントと評価されます。弁護士を通じて適切な方法・言い方・条件(退職金の上乗せ等)を設計することをお勧めします。
Q就業規則に解雇事由が書いてあっても、本人がサインしていなければ無効では?
A
そうはなりません。就業規則の解雇事由は、労働契約法7条により、①就業規則の内容が合理的であり、②労働者に周知されている——この2要件を満たせば、個別の合意なしに労働契約の内容となります。「サインしていない」「説明を受けていない」という事情だけで就業規則の効力が否定されるわけではありません。
ただし、周知の実態がない場合(就業規則を金庫に保管して誰も閲覧できない状態など)は7条の適用がなく、就業規則の解雇事由を根拠にできなくなるリスクがあります。就業規則は社内掲示・社内イントラ等で常に閲覧できる状態にしておくことが重要です。

問題社員への対応・解雇・退職勧奨についてのご相談を承っております。動く前にご相談いただくことで、会社のリスクを最小限に抑えることができます。

弁護士 吉津和輝

 

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