離婚調停は弁護士なしでもできる?
— 守谷・取手エリアの申立先と弁護士を付けるべきケース
主な取扱分野:離婚・親権・面会交流・婚姻費用などの家族法、相続、刑事弁護
| Q | 離婚調停は弁護士なしでもできますか?費用はいくらかかりますか? |
| A |
できます。離婚調停(夫婦関係調整調停)は、弁護士に依頼しなくても、ご本人だけで申し立て、期日に出席して進めることができます。ご自身で申し立てる場合の裁判所費用は、収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手などです。
離婚調停とは、家庭裁判所で、調停委員会を介して離婚やその条件(親権・養育費・財産分与・面会交流・慰謝料など)を話し合う手続です。調停委員会は裁判官1人と家事調停委員2人以上で組織され(家事事件手続法248条1項)、実務では男女1名ずつの調停委員が、当事者双方から交互に話を聞く形で進むことが一般的です。当事者が同じ部屋で直接向き合って話すわけではありません。 むしろ法律は、本人が期日に出席することを原則としています。呼出しを受けた当事者は調停期日に出頭しなければならず、やむを得ない事由があるときに代理人を出頭させることができる、と定められています(同法258条1項が準用する51条2項)。弁護士を付けた場合でも、本人が期日に出席するのが基本です。 費用については、裁判所ウェブサイトによれば、申立てに必要なのは収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手(金額は裁判所ごとに異なります)で、このほか夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)の取得費用などがかかります。弁護士に依頼しなければ、実費数千円程度で申立て自体は可能です。なお、別居中の生活費を求める婚姻費用分担請求調停を同時に申し立てる場合、調停は事件ごとに申立てが必要で、収入印紙もそれぞれに1200円分がかかります。
【根拠】家事事件手続法(平成23年法律第52号)第22条1項本文「法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。」——手続代理人を立てる場合、その代理人は原則として弁護士に限られます。
なお、「弁護士なしでできる」ことと「弁護士なしで進めるのが適切か」は別の問題です。その見極めはQ4で解説します。 |
| Q | 守谷市・取手市に住んでいます。どこの家庭裁判所に申し立てますか? |
| A |
申立先は、原則として「相手方の住所地」を管轄する家庭裁判所です(家事事件手続法245条1項)。夫婦双方が守谷市・取手市にお住まいであれば、水戸家庭裁判所龍ケ崎支部になります。
見落としやすいのは、基準が「自分の住所地」ではなく「相手方の住所地」である点です。当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てることもできますが、合意がなければ相手方の住所地基準となります。裁判所ウェブサイトの管轄区域表によれば、この地域の家事事件の管轄は次のとおりです。
— 出典:裁判所ウェブサイト「茨城県内の管轄区域表」ほか —
すでに別居していて相手方が転居している場合は、転居先の住所地が基準になります。たとえば守谷市にお住まいの方が、都内の実家に戻った配偶者に対して申し立てる場合、申立先は東京家庭裁判所です。TX・常磐線沿線では、別居を機に一方が都内や千葉方面へ移るケースも少なくなく、「近所の裁判所ではなかった」ということが起こり得ます。
申立先が遠方になる場合でも、裁判所が相当と認めるときは、電話会議やウェブ会議による期日参加が認められることがあります(家事事件手続法258条1項・54条1項)。ただし、離婚の調停を「成立」させる場面では、音声のみの電話会議によることはできず、映像と音声の双方を用いるウェブ会議による場合に限り成立が可能です(同法268条3項)。 |
| Q | 調停はどんな流れで進みますか?申し立てられた側になった場合はどうすればいいですか? |
| A |
申立て後、家庭裁判所が第1回期日を指定し、以後1〜2か月に1回程度のペースで期日を重ねていくのが一般的です。申し立てられた側(相手方)になった場合も、放置せず、答弁書等を提出して期日に出席することが重要です。
— 離婚調停の基本的な流れ —
配偶者から調停を申し立てられた側(相手方)になった場合は、家庭裁判所から申立書の写しと呼出状が郵送されてきます。多くの場合、言い分を記載する答弁書等の書式が同封されていますので、期限までに提出し、期日には出席してください。「行かなければ離婚しなくて済む」と考えて放置するのは適切ではありません。正当な理由なく出頭しない場合には5万円以下の過料の定めがあり(家事事件手続法258条1項が準用する51条3項)、また、欠席を続けて調停が不成立になれば、離婚を求める側は訴訟へ進むことができます。話し合いの席に着かないことで、かえってご自身の希望を伝える機会を失うことになりかねません。 仕事の都合等でどうしても指定期日に出席できない場合は、無断で欠席せず、事前に裁判所(書記官)へ連絡して期日変更等を相談してください。都内勤務で平日日中の出席が難しい方は、Q2で触れた電話会議・ウェブ会議の利用可否を確認するという方法もあります。 調停で離婚の合意が成立した場合、その時点で離婚は成立します(調停離婚)。ただし手続はそこで終わりではなく、調停成立の日から10日以内に、調停調書の謄本を添えて市区町村役場へ離婚の届出(報告的届出)を行う必要があります(戸籍法77条・63条)。守谷市・取手市であれば各市役所の戸籍担当窓口です。 |
| Q | 弁護士を付けた方がよいのはどんなケースですか? |
| A |
「相手方に弁護士が付いた」「財産分与の対象が多い・複雑」「親権・監護権に争いがある」のいずれかに当てはまる場合は、弁護士への相談を検討する時期といえます。
次のチェック項目に当てはまるものが多いほど、ご本人だけで進めることの負担とリスクが大きくなります。
弁護士依頼を検討したいケース チェックリスト
□相手方に弁護士(手続代理人)が付いている
□財産分与の対象が多い・複雑(自宅不動産と住宅ローン、退職金、保険、株式など)
□親権・監護権・面会交流について意見が対立している
□DV・モラハラ等の事情があり、調停の場でも萎縮してしまう
□相手方の提示する条件が妥当かどうか、自分では判断がつかない
— 当てはまる項目が多いほど、早めの相談をおすすめします —
特に、相手方に弁護士が付いている場合、法的主張の整理や書面の準備、資料の出し方といった面で、当事者間に準備の差が生じやすくなります。調停委員は中立の立場ですから、その差を埋める役割までは担いません(Q6参照)。 財産分与では、たとえば自宅不動産に住宅ローンが残っているケース(TX沿線の住宅取得世代に多いパターンです)で、どちらが住み続けるか、ローンの名義と連帯保証をどうするか、オーバーローンの場合の処理をどうするかといった、法律・金融の両面にまたがる論点が生じます。こうした事案は、条件の組み立て方の選択肢を知っているかどうかで着地点が変わりやすい類型です。 他方で、離婚すること自体と条件の大枠に争いがなく、分け合う財産も限られているようなケースでは、ご本人だけで調停を進められることも十分にあります。「必ず弁護士が必要」というものではなく、争点の数と複雑さで判断するのが現実的です。 |
| Q | 調停で弁護士は具体的に何をするのですか?「条項の落とし穴」とは? |
| A |
期日への同席、主張の法的整理と書面化、養育費・財産分与など条件の妥当性の検討、そして調停成立前の条項の最終確認を行います。とりわけ条項の文言確認は、成立後にやり直しがきかないという意味で重要です。
具体的には、①申立書・答弁書・事情説明書・陳述書など裁判所に提出する書面の作成、②養育費・婚姻費用について裁判所が公表する算定表を踏まえた金額の検討、③財産分与の対象資産の整理と資料収集の助言、④調停期日への同席と、本人の説明の補足・法的観点からの整理、といった役割です。 見落とされがちですが、実務上とりわけ重要なのが「調停を成立させる前の条項確認」です。調停で合意が成立し、その内容が調書に記載されると、その記載は確定判決と同一の効力を持ちます(家事事件手続法268条1項)。成立後に「やはり納得できない」と内容をやり直すことは、基本的にできません。
【根拠】家事事件手続法(平成23年法律第52号)第268条1項「調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。」
「条項の落とし穴」の典型例をひとつ挙げます。養育費の終期を「子が成年に達するまで」と書くことの問題です。民法改正により2022年4月1日から成年年齢は18歳に引き下げられました。法務省は、改正前に「成年に達するまで」と取り決めていた場合は取決め時の成年年齢である20歳までの支払義務を負うと考えられるとの見解を示す一方、新たに取決めをする場合には「22歳に達した後の3月まで」といった形で終期を明確に定めることが望ましいとしています。「成年まで」という一見自然な文言が、後日「18歳までか20歳までか」という争いの種になり得るということです。調停条項では、終期を年齢と月で特定して書くのが安全です。 このほか、清算条項(「本件に関し、本調停条項に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった条項)の範囲も要注意です。清算の対象をどこまでとするかの文言次第で、後から判明した財産や年金分割の扱いに影響が生じ得ます。支払の始期・終期、金額の内訳、清算の範囲——条項の一語一句が後の権利関係を決めるため、成立直前の段階だけでも弁護士のチェックを受ける、という利用の仕方も考えられます。 |
| Q | 調停委員は中立の立場だと聞きました。弁護士がいなくても大丈夫でしょうか? |
| A |
調停委員は中立・公平な第三者であり、どちらか一方の代理人としてその利益を守る立場ではありません。「中立であること」と「あなたにとって最善の条件を確保してくれること」は別です。
調停は、当事者双方の合意によって成立する手続です。裏を返せば、法的に見てご自身に不利な内容であっても、合意してしまえばそのまま成立し得るということです。提示された条件が妥当かどうかを最終的に判断するのは、調停委員会ではなく、当事者であるあなた自身(またはあなたが依頼した弁護士)です。 「中立の第三者が間に入っているのだから、不利な結果にはならないはず」という理解でいると、この構造とのずれが生じます。ご本人だけで進める場合は、期日の前に、自分の希望する条件とその根拠、譲れる点と譲れない点をあらかじめ書面に整理しておくことが有効です。判断に迷う条件が出てきた場面では、その期日で結論を出さず、次回期日までに弁護士に相談するという進め方もできます。期日と期日の間は通常1〜2か月程度あるため、その間に相談する時間は十分に取れます。 |
| Q | 1人で調停を始めた後、途中から弁護士に依頼することはできますか? |
| A |
できます。調停のどの段階からでも、弁護士を手続代理人に選任することは可能です。
「まずは自分でやってみて、難しくなったら弁護士に」という進め方は可能です。相手方に弁護士が付いたことをきっかけに依頼する方、財産分与の話に入った段階で依頼する方など、途中からの依頼は実際に行われています。 ただし、それまでに調停で示した意向や提出済みの書面を前提として手続は進みます。たとえば、序盤の期日で「養育費はいくらでもいい」「財産は何もいらない」といった発言をしてしまうと、後からの軌道修正に説明を要することがあります。途中から受任した弁護士は、まずそれまでの経過の把握と方針の立て直しから始めることになります。 この点を踏まえると、ご本人で進める場合でも、申立ての前や第1回期日の前に一度だけ相談しておき、「何を言ってよくて、何を安易に言わない方がよいか」「どの資料を集めておくべきか」の見通しを持っておくと、一貫した対応を取りやすくなります。依頼するかどうかは、その後の展開を見てから決めることもできます。 |
| Q | 調停が不成立になったらどうなりますか? |
| A |
離婚そのものについては、不成立となっても自動的に訴訟へ移るわけではなく、離婚を求める側が改めて離婚訴訟を提起する必要があります。婚姻費用や面会交流などの調停は、不成立になると審判手続に移行します。
不成立後の帰すうは、求める内容によって3つに分かれます。 第一に、離婚そのものについては、離婚を求める側が離婚訴訟(人事訴訟)を提起することになります。離婚のように調停を行うことができる事件について訴えを提起するには、まず家事調停を申し立てなければならないとされており(調停前置主義・家事事件手続法257条1項)、調停を経ていることが訴訟の前提になります。なお、不成立の通知を受けた日から2週間以内にその事件について訴えを提起したときは、調停申立ての時に訴えの提起があったものとみなされます(同法272条3項)。 第二に、婚姻費用の分担や面会交流など(同法別表第二に掲げる事項)の調停が不成立となった場合は、調停申立ての時に審判の申立てがあったものとみなされ、当然に審判手続へ移行します(同法272条4項)。改めて申立てをし直す必要はありません。 第三に、合意まであと一歩という事案では、家庭裁判所が、調停不成立とする代わりに、双方の衡平と一切の事情を考慮して職権で「調停に代わる審判」を行うことがあります(同法284条1項)。この審判に対しては、当事者は2週間以内に異議を申し立てることができ、適法な異議があれば審判は効力を失いますが(同法286条1項・2項・5項、279条2項)、異議がなければ審判は確定判決等と同一の効力を持ちます(同法287条)。わずかな条件の差だけが残っている場合に使われることのある仕組みです。 訴訟や審判では、話し合いではなく、証拠と法律に基づいて裁判所が判断を示します。調停段階以上に法的な主張・立証の組み立てが重要になるため、不成立が見えてきた段階は、弁護士への依頼を検討するタイミングのひとつです。 |
守谷市・取手市・つくばみらい市は、TX(つくばエクスプレス)や常磐線で都内へ通勤する共働き世帯の多い地域です。別居を機に一方が都内や千葉方面の実家へ移ると、申立先の家庭裁判所が守谷・取手の生活圏(水戸家庭裁判所龍ケ崎支部)から東京家庭裁判所や千葉家庭裁判所松戸支部などに変わることがあります。また、調停期日は平日の日中に指定されるため、都内勤務の方は1〜2か月に1回、平日に休みを取る調整が必要です。財産分与では、TX開通後に住宅を取得した世帯特有の「住宅ローンが残る自宅をどうするか」という論点が生じやすいのもこの地域の特徴です。同じ茨城県南でも、生活圏によって龍ケ崎支部・土浦支部・下妻支部と足を運ぶ裁判所が分かれる点は、申立て前に最初に確認しておきたいところです。
離婚調停をご自身で進めるか、弁護士に依頼するか。その判断自体が最初の分かれ道です。当職は、守谷市・取手市をはじめ茨城県南部・千葉県北西部の方から、離婚・親権・面会交流・婚姻費用に関するご相談をお受けしています。申立て前の見通しのご相談、調停途中からのご依頼、成立前の条項確認のみのご相談にも対応できる場合があります。初回相談は面談またはZOOMにて承ります。
📞 050-3623-1320(お問合せ受付:月〜日 8:00〜19:00)
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・家事事件手続法(平成23年法律第52号)(e-Gov法令検索・デジタル庁)
・戸籍法(昭和22年法律第224号)(e-Gov法令検索・デジタル庁)
・夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所ウェブサイト)
・茨城県内の管轄区域表(裁判所ウェブサイト)
・成年年齢の引下げに伴う養育費の取決めへの影響について(法務省)
2026年4月2日:公開
2026年7月4日:全面改訂(申立先裁判所の管轄一覧、費用、調停の流れと申し立てられた側の対応、家事事件手続法の根拠条文、電話会議・ウェブ会議の取扱い、養育費条項の終期に関する法務省見解、調停に代わる審判、不成立後の手続の解説を追加)
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の法令・公表情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年4月2日|最終更新日:2026年7月4日
