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| 01 | この地域の建設・建材業をめぐる状況 |
同じ「建設業」でも、どんな工事が多く、どこで紛争が起きやすいかは地域によって大きく違います。当職が拠点を置く茨城県南部から千葉県北西部にかけてのエリアには、いくつかの特徴があります。
第一に、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)沿いの物流施設の建設です。常総インター周辺や坂東・境エリアは首都圏物流の適地となり、大型の物流倉庫やマルチテナント型施設の建設・増設が続いています。大規模開発に伴う工事では、工期遅延や違約金、下請への支払をめぐる論点が生じやすい傾向があります。
第二に、つくばエクスプレス(TX)沿線の宅地開発と住宅建築です。守谷、つくばみらい市のみらい平、つくば市の研究学園・みどりの、そして千葉県側の柏の葉・流山おおたかの森にかけては人口の流入が続き、注文住宅・建売・分譲が旺盛です。初めて家を建てる個人の施主が多く、打合せのたびに仕様が変わりやすいため、追加工事・変更工事の取扱いが後にトラブルになりやすい場面です。
第三に、つくば市の研究施設・特殊建築と、常総・坂東・境・八千代など農業地帯の倉庫・畜舎・作業場・農家住宅の建築、旧市街や空き家の解体です。小規模な工事では契約書を作らない慣行が残りやすく、解体では石綿(アスベスト)の調査・報告が問題になります。
加えて、2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が決壊した常総市周辺では、その後も浸水対策や盛土・嵩上げを伴う建替え・復旧の需要が残り、守谷・取手の初期に開発された住宅ストックの高経年化により、リフォーム・増改築・水回り更新の需要も厚くなっています。
こうした現場では、都内や千葉から流入する職人・一人親方を含む重層下請構造の中で、契約書のない口頭発注、出来高払いの遅延、追加工事の「言った言わない」、一人親方の労働者性といった論点が、業種や規模を超えて繰り返し現れます。以下では、これらを建設・建材業の場面ごとに整理します。
| 02 |
追加工事代金と請負契約の書面化 ― 建設業法第19条 ― |
建設工事では、工事中に施主や元請の口頭指示で仕様変更・追加工事が積み上がり、後で代金をめぐって「言った言わない」になりやすい構造があります。TX沿線の新規宅地に家を建てる個人施主との注文住宅では、打合せのたびの変更が書面化されないまま引渡し直前に紛糾することがあり、元請(ハウスメーカー・パワービルダー・ゼネコン)との関係では、出来高払いが遅れる、変更確認書がないまま追加分だけ支払われない、といった形で表れます。
建設業法は、請負契約の当事者が対等・公正な立場で契約を結ぶことを前提に、第19条で、契約締結の際に一定の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付することを義務づけています。書面化すべき事項には、工事内容、請負代金の額、工期のほか、設計変更・工事の中止があった場合の工期の変更・請負代金の変更・損害の負担とその算定方法、契約不適合を担保すべき責任、契約に関する紛争の解決方法などが含まれます(同条第1項各号)。契約の内容を変更するときも、その変更の内容を書面にして相互に交付しなければならず(同条第2項)、相手方の承諾を得れば電子契約によることもできます(同条第3項)。
実務では、変更指示の証拠――変更確認書、見積書、メール、LINEのやり取り、現場写真、施工前後の記録――の有無が結論を大きく左右します。証拠が乏しいまま工事が終わると、正当な追加工事代金であっても回収が難しくなることがあります。だからこそ、契約段階での書面整備と、変更が生じた都度の記録化を、顧問契約の中で継続的に支援する意味があります。
追加工事代金をめぐる民事紛争は、訴額次第で簡易裁判所(請求額140万円以下)または地方裁判所の担当になります。管轄の目安は次のとおりです。
| 03 |
下請取引のルール ― 建設は「下請法」ではなく建設業法 ― |
地場の工務店・専門工事業(大工・電気・水道・左官・塗装・屋根・内装・解体など)は、元請から仕事を受け、さらに一人親方に出す重層下請構造の中にあることが多い業種です。ここでよくあるのが、契約書・注文書がないまま口頭で発注し、後から「契約はなかった」「代金の約束が違う」と揉めるケースです。
ここで、実務でよく誤解される点を整理しておきます。製造業などの下請取引を規律する「下請代金支払遅延等防止法」(いわゆる下請法。令和7年5月23日公布の改正で「中小受託取引適正化法(取適法)」に名称が変更されました)は、その第2条第4項で、建設業を営む者が請け負う建設工事の全部又は一部を他の建設業者に請け負わせることを、適用対象から明文で除外しています。つまり建設工事の下請は、取適法(旧・下請法)ではなく、建設業法が規律します。
建設業法は、下請保護の規定を独自に置いています。主なものは次のとおりです。
契約書・注文書がない取引でも、見積書、発注のメールやLINE、施工の実績、支払の履歴などから合意内容を立証できる場合があります。まずは残っている資料を確認するところから始めるのが現実的です。
| 04 |
契約不適合責任と住宅の品質 ― 民法・品確法の二層構造 ― |
完成・引渡し後に、施主から「不具合がある」「約束と違う」とクレームが入ることがあります。民法改正(令和2年4月1日施行)により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に整理されました。売買の規定が有償契約に準用されるため(民法559条)、請負にも、契約不適合の場合の追完請求(修補・代替物の引渡し・不足分の引渡し。同法562条)などが及びます。
ただし、請負には期間の制限があります。注文者が契約不適合を知った時から1年以内に、その旨を請負人に通知しないと、追完・報酬減額・損害賠償・解除を主張できなくなります(同法637条第1項)。改正前の「引渡しから1年」ではなく「知った時から1年」に変わった点は、実務上とくに重要です。なお、注文者が供した材料の性質や注文者の与えた指図によって生じた不適合については、原則として請負人は責任を負いません(同法636条本文。ただし、請負人がその材料・指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは別です)。
新築住宅には、さらに手厚い特則があります。品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)は、住宅新築請負契約の請負人に対し、引渡しから10年間、住宅の構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について担保責任を負わせ(同法94条)、新築住宅の売買では売主に同様の10年責任を課しています(同法95条)。これに反して注文者・買主に不利な特約は無効です。なお、品確法は改正民法後も「瑕疵」という用語を維持している点に注意が必要です。
設計・施工・材料のどこに起因する不具合かによって、責任を負う当事者は変わります。元請・下請・メーカーの責任分担は、契約書と施工記録に即して個別に検討する必要があります。
| 05 | 労災・一人親方の労働者性・労務管理 |
現場で労働災害が発生した場合、初動の対応が最初の分かれ目になります。被災者・ご遺族への対応、労働基準監督署や警察への対応の準備を、初期の段階から整えておく必要があります。
建設業で近年とくに問題になるのが、一人親方の「労働者性」です。形式的には業務委託契約であっても、特定の元請の現場に常態的に専属し、指揮監督を受け、報酬が労務の対価としての性格を持つ、といった実態があると、契約の形式にかかわらず労働基準法上の労働者と判断されることがあります。労災や未払いをきっかけに「実は労働者だった」と主張される場面が典型です。労働者性は、契約書の名称だけでなく、次のような要素を総合して判断されます。
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業務委託に傾く要素
一人親方として扱われやすい
・仕事の諾否に自由がある
・作業方法が本人の裁量 ・複数の元請から受注している ・自分の道具・機材を使う ・報酬が出来高・仕事単位 |
労働者性に傾く要素
労働者と判断されやすい
・特定の元請に専属している
・始業終業・作業手順の指示に従う ・道具・材料が支給される ・報酬が時間・日給ベース ・他の現場に自由に出られない |
また、建設業には、それまでの猶予期間が終了し、2024年(令和6年)4月1日から時間外労働の上限規制が適用されています。36協定の整備、割増賃金・未払残業代への備えも、労務整備の一部として継続的に見直す価値があります。
さらに、解体・改修工事では、石綿(アスベスト)の事前調査と、一定規模以上の工事における調査結果の報告が義務づけられています(令和4年4月〜。大気汚染防止法・石綿障害予防規則)。常総・坂東・境の農家住宅や、守谷・取手の旧市街にある築古建物の解体では、石綿の有無の確認と近隣への配慮を含めた現場管理が求められます。
| 06 | 建材販売と取引先・掛売代金の管理 |
建材販売・建材卸(木材・金物・住設機器・タイル・サッシなど)では、継続的取引における与信管理と掛売代金の回収が経営課題になりやすい領域です。取引先の工務店の資金繰りが悪化すると、掛売分がそのまま焦げ付くリスクがあります。
対策の基本は契約段階にあります。売買契約書・継続的取引基本契約書に、期限の利益喪失条項、相殺予約、所有権留保などを設計しておくと、滞納が生じた後の回収(内容証明・支払督促・訴訟)の選択肢が広がります。商品自体に不具合があった場合の契約不適合への対応も、あらかじめ取引条件で整理しておくとよいでしょう。
掛売代金の回収は、時機を逃すと相手方の資力が失われ、実効性が下がります。滞納の兆候が見えた段階での早めのご相談が有効です。
| 07 | 顧問契約でできること/料金プラン |
顧問契約では、継続的に次のようなご相談に対応します。トラブルが起きてからの対応だけでなく、契約書・労務・規程の整備といった予防法務も、日常的にご利用いただけます。
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LIGHT ライト |
¥30,000/月 |
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STANDARD スタンダード |
¥50,000/月 |
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PREMIUM プレミアム |
¥70,000/月 |
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1
お問い合わせ
メール・電話で「顧問契約の相談希望」とご連絡ください
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2
初回面談(無料)
面談またはZOOMで課題を伺い、利益相反も確認します
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3
プランご提案
顧問契約書案を書面でご提案。じっくりご検討いただけます
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4
ご契約・開始
押印・ご返送後に開始。初月は日割り可、契約期間1年(自動更新)
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| Q | 追加工事代金が未払いのまま工事が終わってしまいました。回収は可能ですか。 |
| A |
変更指示の証拠が残っているかどうかで見通しが変わります。まずは資料の確認から始めます。
顧問契約の範囲で、請求内容の整理、請求書面の作成、内容証明郵便の文案の確認などをご相談いただけます。追加工事代金の請求では、変更指示の証拠(変更確認書・見積書・メール・LINE・現場写真など)の有無が結論を左右するため、早期のご相談が有用です。 相手方が弁護士を立てて本格的な交渉・訴訟に発展した場合は、個別受任(着手金・報酬金別途)となります。顧問契約ご締結後は、個別案件の着手金・報酬金に割引が適用されます。 |
| Q | 建設業許可の更新や経営事項審査の手続はお願いできますか。 |
| A |
許認可申請の手続そのものは行政書士の業務であり、当職は扱いません。必要に応じて連携先をご紹介します。
官公署への許認可申請(建設業許可申請・経営事項審査など)は行政書士の業務範囲です。当職はこれらの手続の代行は行いませんが、許可の維持・技術者配置・一括下請負など、建設業法の運用に関する法的な検討はご相談いただけます。手続面は連携先の行政書士をご紹介します。 |
| Q | 労働災害が発生した場合、どこまで相談できますか。 |
| A |
初動対応・行政対応の準備は顧問契約の範囲で。交渉・意見書・刑事対応は個別受任となります。
顧問契約の範囲で、初動対応の方針、労働基準監督署・警察対応の準備、被災者・ご遺族への対応方針のご相談が可能です。 被災者・ご遺族との損害賠償交渉、労働基準監督署に対する意見書の提出、刑事事件となった場合の弁護活動は、個別受任(着手金・報酬金別途)となります。顧問契約ご締結後は、個別案件の着手金・報酬金に割引が適用されます。 |
| Q | 一人親方との契約を「労働者契約だ」と主張されています。どう対応すべきですか。 |
| A |
契約書の名称ではなく、就労の実態を総合して判断されます。実態を示す資料の整理が出発点です。
労働者性は、仕事の諾否の自由、指揮監督の程度、専属性、報酬の性格などの実態を総合して判断されるため、業務委託契約という形式だけで決まるものではありません。就労実態を示す資料(作業指示の状況、他社の現場への従事の有無、報酬の算定方法、道具・材料の負担など)を整理したうえで、見通しと対応方針を検討します。今後の契約・就労管理の見直しも、顧問契約の中でご相談いただけます。 |
| Q | 契約の相手方は市川法律事務所ですか、それとも弁護士 吉津和輝個人ですか。 |
| A |
当職は市川法律事務所に所属する弁護士です。契約内容の詳細は面談の際にご説明します。
当職(弁護士 吉津和輝)は、茨城県守谷市の市川法律事務所に所属しています。このサイトは、同事務所に所属する弁護士 吉津和輝の個人サイトであり、別の事務所のサイトではありません。顧問契約の当事者・契約形態の詳細は、初回面談の際に書面でご説明します。 |
| Q | 遠方でも対応可能ですか。 |
| A |
ZOOMやメールを活用し、茨城県南部・千葉県北西部を中心にご相談に対応しています。
日常のご相談はメール・電話・チャット、面談はZOOMまたは事務所での対面で承ります。事務所は茨城県守谷市けやき台にあり、守谷・取手・つくばみらい・常総・坂東・境・牛久・つくばの各エリア、および千葉県柏市を中心にご相談をいただいています。 |
| Q | 途中で解約できますか。 |
| A |
契約期間中でも、1か月前の予告により翌月末で解除できます。
契約期間は1年(自動更新)ですが、期間中でも1か月前にご予告いただくことで、翌月末をもって解除できます。中途終了時の清算等の詳細は、後記の免責のとおりです。 |
「顧問契約をするか迷っている」という段階でも問題ありません。具体的なトラブルがなくても、事業の状況を伺い、必要な支援の内容をご提案します。まずは初回60分の無料相談からご利用ください。
茨城県:守谷市/取手市/つくばみらい市/常総市/坂東市/境町/牛久市/つくば市 ほか県南地域。千葉県:柏市/流山市 ほか北西部。つくばエクスプレス・常磐線沿線、圏央道沿線の工務店・専門工事業・建材販売業の皆さまにご利用いただいています。
本ページの法令の記載は、e-Gov法令検索(デジタル庁)に掲載の条文により確認しています。建設業法(昭和24年法律第100号)第19条・第19条の3・第22条・第24条の3・第24条の6・第26条/民法(明治29年法律第89号)第559条・第562条・第636条・第637条/住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法。平成11年法律第81号)第94条・第95条/製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(旧・下請代金支払遅延等防止法。昭和31年法律第120号)第2条第4項。裁判所の管轄は裁判所ウェブサイト(茨城県内の管轄区域表等)により確認しています。
・受任する法律事務の表示及び範囲:本ページ記載の顧問契約業務(法律相談・契約書のレビュー等)。
・報酬の種類・金額・算定方法・支払時期:本ページ「月額料金プラン」記載のとおり(税別)。支払時期は毎月月末(翌月分前払い)又は個別の合意による。
・委任契約の解除:契約期間中でも1か月前の予告により翌月末で解除可能。
・中途終了時の清算:既払いの月額顧問料は日割り計算による清算を行わない(月末解除のため)。解除時点で進行中の個別案件は、当該案件の委任契約の条件に従う。
本ページの内容は一般的なご案内であり、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的な契約内容は、事業の事情を伺ったうえで個別に調整します。掲載する法令・情報は作成時点のものです。
税務相談・税務書類の作成は税理士の、労働社会保険諸法令に関する手続の代行は社会保険労務士の、官公署への許認可申請(建設業許可申請・経営事項審査等)は行政書士の業務範囲であり、当職はこれらを扱いません。これらは顧問契約の範囲に含まれません。必要に応じて連携先の専門家をご紹介します。
2026年4月22日 公開/2026年7月 内容改訂(法令の記載をe-Gov条文で再確認し、下請取引・契約不適合責任・管轄等の記述を拡充)。