クリニックのGoogle口コミ対応|返信・削除申請・法的手続の判断|守谷市の弁護士
クリニック院長の方へ。Googleマップに事実と異なる口コミを書かれたとき、「放置するか、返信するか、削除申請するか、法的手続に進むか」の判断は容易ではありません。本記事では、守谷・取手・つくばみらい周辺のクリニックを念頭に、それぞれの選択肢の法的枠組みと実務の流れを整理します。
↓ 4つの選択肢から判断
Googleビジネスプロフィールの返信機能は、投稿者だけでなく不特定多数の閲覧者に公開されます。正当な反論だとしても、勿論ほとんどの方が事情を知りません。記載してしまった内容はそのまま残り、場合によってはクリニック自体の印象を悪化させてしまう場合があります。
また、返信の中で患者の来院状況や診療内容に触れると、守秘義務との関係が問題となります。医師には刑法上の守秘義務が課されており、不用意な開示は法的責任を問われる場面があります。
医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処する。
返信する場合でも、次のような工夫が考えられます。
・個別患者の診療内容には一切触れない
・感情的・攻撃的な言葉を使わない
・一般論として改善の姿勢を示すにとどめる
・返信文は第三者にも確認してから投稿する
どの口コミに返信し、どの口コミを放置するかは、クリニックの方針を固めた上で運用することが重要です。個別判断が難しい場合は、顧問弁護士への相談が一つの方法です。誠実なコメントはクリニックの評価を逆に上げることもあります。
Googleマップの口コミには、Googleが公開している「禁止および制限されているコンテンツ」というポリシーがあります。スパム、虚偽のエンゲージメント、中傷、個人情報の暴露、差別的表現などが削除対象として列挙されています。
Googleビジネスプロフィールの管理画面から、該当する口コミを選んで「不適切なクチコミとして報告」という機能を使うことで、削除申請を行うことができます。誰でも無料で利用できる手続です。
・明らかな虚偽(実際にない医療行為を「された」と主張)
・患者個人名・医師個人名などの個人情報が含まれる
・診療内容とは無関係な侮辱的表現・差別的表現
・同一人物による複数投稿(スパム)
・「態度が悪かった」「待ち時間が長い」などの主観的感想
・評価が低い(星1つ等)だけで具体的記載がない
・事実かどうか外部から検証しにくい内容
Googleの審査基準は公開されている情報だけでは結果を予測しにくい面があり、申請の結果、削除に至らないケースもあります。削除されなかった場合でも再度申請することはできますが、同じ結果になる可能性もあります。
削除申請が通らなかった場合に、次の段階として裁判所を通じた法的手続を検討することになります。
損害賠償請求の根拠は、民法第709条の不法行為責任となります。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
通常の訴訟手続は解決までに時間がかかるため、削除を早期に求めたい場合は仮処分という手続が利用されます。仮処分は、本案訴訟の判決を待たずに暫定的な措置を裁判所に求める手続であり、通常訴訟と比較して短期間で判断が得られる運用となっています。
Googleは米国法人であるため、削除の仮処分申立ては東京地方裁判所が管轄となる運用が一般的です。守谷・取手・つくばみらい・柏いずれのクリニックであっても、Googleに対する削除手続は東京地裁に申立てを行うことが多いという意味です。
① 申立書・疎明資料の準備
② 裁判所への申立て(東京地裁)
③ 裁判官面接・双方審尋
④ 担保金の供託
⑤ 仮処分命令の発令
⑥ Googleによる削除対応
実際に、医療機関がGoogleマップの口コミ投稿者に対して名誉毀損を理由とした削除および損害賠償の請求を行い、裁判所がこれを認めた例が公表されています(大阪地裁・令和6年5月31日判決に関する新聞報道より)。ただし、どの口コミでも削除が認められるわけではなく、内容・事実摘示の程度・公益性の有無などが個別に判断されます。
なお、クリニックの顧問契約については、顧問契約サービスの紹介ページもご参照ください。
Googleマップの口コミは多くが匿名投稿であり、まず投稿者を特定する必要があります。特定のための法的手続として、発信者情報開示という制度が用意されています。根拠となる法律は、現在の名称で「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)」(略称「情報流通プラットフォーム対処法」)です。
権利を侵害されたとする者は、プロバイダ等に対し、発信者情報の開示を請求することができます。従来の「プロバイダ責任制限法」は、令和6年改正により本名称に変更され、令和7年(2025年)4月1日に改正法が施行されています。
手続面については、令和3年改正(令和4年10月1日施行)により、発信者情報開示を一体的に処理するための非訟手続として発信者情報開示命令が創設されました。この手続は現在運用されており、従来の「Google仮処分 → アクセスプロバイダ訴訟」という2段階の手続と比較して、一体的な処理が可能になっています。
接続プロバイダ(NTT、KDDI、ソフトバンク等)のアクセスログの保存期間は、事業者により異なりますが数か月程度にとどまる場合があります。投稿から時間が経ちすぎるとログが失われ、投稿者特定が事実上困難になります。悪質な口コミを見つけたら、対応方針を早めに固めることが重要です。
投稿者が特定できた場合、次の手続として、民法第709条に基づく損害賠償請求を行うことになります。請求額は事案ごとに異なります。クリニックの場合は、投稿者特定のために要した調査費用(弁護士費用を含む)も損害として請求対象となる場合があります。
茨城県南部の守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市は、つくばエクスプレス(TX)の開業以降、東京都心への通勤圏となり、子育て世代のファミリー層の流入が続いてきた地域です。守谷駅周辺には2020年代に入ってからも医療モールの計画や新規開業クリニックが増えており、院長が口コミを意識する場面は従来より増えていると考えられます。
この地域のクリニックにとって、Googleマップの口コミは次のような特徴を持ちます。
・ファミリー層は「小児科」「産婦人科」「皮膚科」等を選ぶ際に口コミを重視する傾向
・通勤者は「内科」「心療内科」を夜間・土曜に探す際にGoogleマップを使う傾向
・新規開業クリニックは口コミ件数が少ないため、1件の悪質投稿の影響が相対的に大きい
・地域の口コミは市外の事業者より住民同士の関係が近く、特定される懸念が投稿抑止に働く場面もある
他方で、すべての悪質投稿に法的手続で対応するのが合理的とは限りません。仮処分や発信者情報開示命令は、裁判所費用・弁護士費用がかかります。投稿の影響と対応コストを比較したうえで、「放置する」「返信する」「削除申請のみ行う」「法的手続に進む」のどれが妥当かを、事案ごとに判断する姿勢が重要です。
実際の判断には、投稿の具体性、名誉毀損該当性、クリニックの売上への影響、他の口コミとの兼ね合いなど、複数の視点が必要になります。
クリニックが投稿者に損害賠償請求を行う場合、管轄は原則として被告(投稿者)の住所地(民事訴訟法第4条第1項)ですが、不法行為に関する訴えについては不法行為があった地も管轄となります(同法第5条第9号)。インターネット上の誹謗中傷については、結果発生地として被害者であるクリニックの所在地を管轄する裁判所に提起できると解されるのが一般的です。この場合の管轄候補は、市町村ごとに分かれます。守谷市・取手市・牛久市・龍ケ崎市のクリニックは水戸地方裁判所龍ケ崎支部、つくばみらい市・つくば市・土浦市は水戸地方裁判所土浦支部、常総市・坂東市は水戸地方裁判所下妻支部が候補となります。他方、Googleに対する削除の仮処分や発信者情報開示命令の申立ては、情報流通プラットフォーム対処法の管轄規定により東京地方裁判所を利用する運用が一般的です。クリニックの対応は、複数の裁判所にまたがって手続を進めることを前提とする必要があります。
一方、守谷駅周辺では駅徒歩数分圏に医療モール計画が進んでおり、内科・小児科・皮膚科・泌尿器科・婦人科など、同じ徒歩圏に複数のクリニックが並ぶ構造が生まれつつあります。同一駅徒歩圏に同科目の複数クリニックがあると、Googleマップ上での口コミ比較がより露骨に行われる場面が出てきます。口コミ対策の重要度は、都心部の単独立地のクリニックとは異なる水準で考える必要があると言えます。
クリニックのGoogle口コミ対応では、次のような違いがあります。
| 場面 | 顧問契約(月額) | 個別依頼 |
|---|---|---|
| 口コミ発見時の判断相談 | 月額内で対応 | 都度のスポット相談 |
| 返信文案の確認 | 月額内で対応 | 相談料が発生 |
| 送信防止措置依頼書の送付 | 個別受任(着手金・報酬金) | 個別受任(着手金・報酬金) |
| 仮処分申立て・訴訟代理 | 個別受任(着手金・報酬金) | 個別受任(着手金・報酬金) |
顧問契約を締結している場合、実際に法的手続が必要になった案件の個別受任時に、着手金・報酬金の割引が適用される取扱いを設けています。
日常的に口コミをどう扱うかの判断を継続的に相談したい場合は顧問契約、既に発生した特定の法的手続のみ依頼したい場合は個別受任、という切り分けで検討いただくことができます。
Googleマップの口コミ対応は、法的手続だけで解決する問題ではなく、対応の優先順位・コスト・時間との兼ね合いを含めて判断していく領域です。守谷・取手・つくばみらい・常総・柏エリアのクリニック院長の方で、対応方針についてご相談を希望される方は、まず状況をお聞きした上でご説明いたします。
📞 050-3623-1320
クリニック向けの顧問弁護士業務の詳細は、顧問契約の紹介ページをご確認ください。モンスターペイシェント対応、スタッフ労務、医療広告ガイドライン対応などのクリニック向けコンテンツも順次公開予定です。
守谷市・取手市・常総市・つくばみらい市・龍ケ崎市・牛久市・つくば市・土浦市・野田市・我孫子市・北柏をはじめ、茨城県南部・千葉県北西部のクリニック院長・医療法人の方からの、Googleマップ口コミ対応・インターネット上の権利侵害に関するご相談もお受けしています。弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)までお気軽にどうぞ。
・e-Gov法令検索(デジタル庁)
・特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)(e-Gov)
・民法(明治29年法律第89号)(e-Gov)
・刑法(明治40年法律第45号)(e-Gov)
・民事訴訟法(平成8年法律第109号)(e-Gov)
・インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)(総務省)
・発信者情報開示命令申立て(東京地方裁判所)
- 2026年4月23日:新規公開
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)4月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年4月23日|最終更新日:2026年4月23日
