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主婦・兼業主婦の交通事故の休業損害 — 収入がなくても請求できる?計算方法と日額の目安

交通事故・損害賠償

主婦・兼業主婦の交通事故の休業損害
— 収入がなくても請求できる?計算方法と日額の目安

専業主婦・パート勤務の兼業主婦・主夫の方に向けて
弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属(登録番号57714)/2018年12月弁護士登録
主な取扱分野:交通事故(人身・物損)・損害賠償請求・保険会社対応・家族法
守谷市・取手市など茨城県南部にお住まいの、家事や育児を担う主婦(主夫)の方へ。交通事故のけがで家事ができなくなった場合、給与収入がなくても「休業損害」を請求できる場合があります。本記事では、専業主婦・パート勤務の兼業主婦それぞれの計算方法と日額の目安、保険会社から低い金額を提示されたときの考え方を、根拠となる条文・判例・統計とともにご説明します。
主婦の休業損害で弁護士に相談すべき3つのケース
1 保険会社から「主婦の休業損害は日額6,100円です」と提示された 日額6,100円は自賠責保険の基準です。裁判所の実務で用いられる基準では、これと異なる金額になる場合があり、金額の根拠を整理してご説明できます。
2 パート勤務と家事を両立していて、どちらを基準に計算されるのか分からない 兼業主婦の休業損害には固有の計算ルールがあります。ご自身にとってどの計算が適切かの見通しを整理できます。
3 事故後、買い物・食事の支度・子どもの送迎を家族に頼らざるを得ない状態が続いている 自家用車での移動が生活の前提となっている茨城県南部では、家事への支障が広く生じがちです。支障の内容を記録し、休業損害として整理するお手伝いができます。

上記のいずれかに当てはまる場合は、状況を整理するところから弁護士がお手伝いできます。まずはお気軽にお問い合わせください。

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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
Q 専業主婦で収入がありません。交通事故の休業損害は請求できますか?
A
結論として、専業主婦(家事従事者)でも、事故のけがで家事ができなかった期間について休業損害を請求できる場合があります。給与収入がないことは請求の妨げになりません。

休業損害とは、事故によるけがのために働けなかったことで失われた収入に対する賠償のことです。家事従事者とは、家族のために炊事・洗濯・掃除・育児などの家事労働を担っている方をいいます。家事労働そのものには給料が支払われませんが、外部のサービスに頼めば当然費用がかかるように、家事労働には経済的な価値があると考えられています。

最高裁判所も、昭和49年7月19日の判決(民集28巻5号872頁)で、家事労働は金銭的に評価できるものであり、主婦が事故で家事に従事できなかった場合には損害が生じるという考え方を示しています。この判例を基礎として、家事従事者の休業損害は現在の裁判実務で広く認められています。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」/同第710条は、財産以外の損害(慰謝料)についても賠償義務があることを定めています。(いずれもe-Gov法令検索で確認)

なお、休業損害が認められるためには、実際にけがのために家事に支障が生じたことが前提となります。診断書や通院の記録を残しておくことが大切です。

Q 専業主婦の休業損害はいくらになりますか?日額の計算方法を教えてください。
A
結論として、裁判実務(赤い本=裁判基準)では「賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金 ÷ 365日 × 休業日数」が基本の計算式です。令和6年の統計を用いると日額は約1万1,491円が目安になります。

賃金センサスとは、厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」の結果をまとめた統計資料のことです。裁判実務で用いられる基準(日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」、通称「赤い本」)では、家事従事者の休業損害の基礎収入として、賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・学歴計・女性労働者の全年齢平均賃金を用いるとされています。

令和6年の賃金センサスによる女性労働者の全年齢平均賃金(学歴計)は年額419万4,400円です。これを365日で割ると、日額約1万1,491円(端数処理により若干前後します)となります。平均賃金は毎年更新されており、どの年の統計を用いるかは事案により異なります。

【計算のイメージ(単純化した一例)】仮に30日分の休業が認められた場合:日額11,491円 × 30日 = 34万4,730円。あくまで機械的な計算例であり、実際には休業日数の認定(Q4参照)や個別事情により金額は増減します。

なお、この金額は「赤い本(裁判基準)」による一応の目安です。けがの内容・家事への支障の程度・治療経過などによって認められる金額は変わりますので、確実な金額をお約束するものではない点にご留意ください。

Q パートで働きながら家事もしています。兼業主婦の休業損害はどう計算されますか?
A
結論として、裁判実務では「パート等の実収入」と「女性労働者の全年齢平均賃金」を比べ、高い方を基礎収入とするのが一般的な取扱いです。両方を合算して請求することは原則としてできません。

パート・アルバイト等で働く兼業主婦(家事従事者)の場合、実際の収入額が賃金センサスの女性全年齢平均賃金を下回っているときは、家事従事者として平均賃金を基礎に計算するのが一般的です。パート収入が平均賃金より低いからといって、休業損害まで低くなるわけではない、という点がポイントです。

一方で、「パート収入の分」と「家事労働の分」を二重に請求することは、原則として認められていません。家事に向けるはずの労働力の一部を仕事に振り向けていると考えられるためです。

⚠️ フルタイム勤務に近い働き方をしている場合、保険会社が家事労働分の休業損害を争ってくることがあります。勤務実態・家事の分担状況によって結論が分かれやすい類型ですので、個別の事案に応じた検討が必要です。
Q 主婦の休業日数はどうやって数えるのですか?会社員のような欠勤日がないのですが。
A
結論として、けがのため実際に家事ができなかった(支障が生じた)期間が対象です。実務では、実通院日数を基準にする方法や、期間を区切って支障の割合を段階的に減らしていく方法などが用いられています。

家事従事者にはタイムカードがないため、休業日数の認定方法が問題になります。実務でよく見られる考え方には、次のようなものがあります。

実通院日数方式 通院した日は家事ができなかったものとして、実通院日数分を休業日数とする方法
割合(逓減)方式 治療期間を区切り、当初は支障が大きく、回復に応じて支障の割合を段階的に下げて計算する方法

どの方法が適切かは、けがの内容・症状の経過・家事の内容や家族構成によって異なります。症状の内容に照らして家事が可能だったと判断される期間は、対象から外れることもあります。

事故後は、「どの家事が・どの程度できなかったか」「家族の誰にどんな負担が生じたか」を日記やメモで記録しておくと、支障の実態を説明しやすくなります。

Q 保険会社から「主婦の休業損害は日額6,100円」と言われました。この金額が普通なのでしょうか?
A
結論として、日額6,100円は自賠責保険の支払基準に基づく金額です。裁判実務で用いられる基準(賃金センサスに基づく日額約1万1,491円・令和6年統計の場合)とは異なるため、提示額が唯一の基準というわけではありません。

交通事故の損害算定には、①自賠責基準、②任意保険会社の社内基準、③裁判(弁護士)基準という3つの水準があるといわれています。自賠責保険の支払基準では、家事従事者の休業損害は原則として日額6,100円(令和2年4月1日以降に発生した事故の場合。それより前の事故は5,700円)とされ、これを上回る収入の立証があれば日額1万9,000円を上限に認められる仕組みです。

これに対し、裁判実務の基準では、Q2でご説明したとおり賃金センサスの女性全年齢平均賃金を基礎とするため、日額に大きな差が生じ得ます。もっとも、どの基準でいくら認められるかは、休業日数の認定や個別事情によって変わりますので、「必ず増額できる」というものではありません。金額の根拠を確認したうえで、交渉の進め方を検討することが大切です。

なお、ご自身やご家族の自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合、弁護士費用の全部または一部が保険から支払われることがあります。詳しくは関連記事「弁護士費用特約の使い方」もご参照ください。

Q 男性の主夫や、一人暮らしで家事をしている場合でも休業損害は認められますか?
A
結論として、家事従事者に性別・年齢の限定はなく、男性の主夫でも認められる場合があります。一方、一人暮らしで自分のためだけに家事をしている場合は、原則として認められません。

家事従事者の休業損害が認められる根拠は、「家族のための家事労働」に経済的価値があるという点にあります。したがって、家族のために家事を担っていれば、主夫(男性)でも対象となり得ますし、その場合も基礎収入には女性労働者の全年齢平均賃金が用いられるのが一般的です。子育て中のひとり親の方も、家族(子ども)のための家事・育児を担っている点で同様に考えられます。

これに対し、一人暮らしで自分のためだけに家事をしている場合は、他人のための家事労働とはいえないため、家事従事者としての休業損害は原則として認められません。ご自身がどちらに当たるか迷う場合は、同居家族の状況などを整理してご相談ください。

07 守谷・取手エリアの実情と主婦の休業損害

守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市など茨城県南部の生活は、自家用車での移動が前提になっている場面が少なくありません。日々の買い物、通院、子どもの習い事や部活動の送迎——こうした「車で担う家事」を主に引き受けているのが家事従事者である、というご家庭は多いはずです。

この地域で事故に遭い、けがで運転や家事ができなくなると、影響は台所の中だけにとどまりません。送迎を配偶者の出勤前後に振り替えたり、離れて住む親に応援を頼んだりと、家族全体の生活が組み替えを迫られます。TX(つくばエクスプレス)や常磐線で都内へ通勤する配偶者と、パート勤務と家事を両立する兼業主婦という組み合わせのご家庭では、Q3でご説明した兼業主婦特有の計算の問題も生じやすいところです。

当職は、守谷を拠点に、こうした地域の生活実態を前提とした休業損害の主張・立証のお手伝いをしています。家事への支障をどう記録し、どう説明するかという入口の段階からご相談いただけます。

CONTACT

主婦・兼業主婦の休業損害は、基礎収入の考え方や休業日数の認定など、事案ごとの事情で結論が変わりやすい分野です。保険会社からの提示内容に疑問を感じたとき、これから示談交渉を始めるときなど、状況をお聞きしたうえで、考えられる選択肢と見通しをご説明します。初回のご相談は面談またはZOOMで承っています。

弁護士 吉津和輝
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参考資料・情報源

e-Gov法令検索(デジタル庁):民法第709条・第710条
令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(厚生労働省)
・最高裁判所昭和49年7月19日判決(民集28巻5号872頁)
・公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(赤い本)

更新履歴

2026年7月15日 初版公開

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。記事中の金額・基準はいずれも一応の目安であり、個別事情により増減します。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・統計・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月15日|最終更新日:2026年7月15日