交通事故の過失割合に納得いかない
— 決まり方と対処法を弁護士が解説 —
主な取扱分野:交通事故・損害賠償、刑事弁護、家族法(離婚・相続)、企業法務
| 1 | 提示された過失割合の根拠がわからない どの事故類型・修正要素に基づく数字なのかを整理し、基準に照らして妥当かどうかをご説明できます。 |
| 2 | 事故状況の認識が相手方と食い違っている 信号の色や一時停止の有無などに争いがある場合、どの証拠で事実を裏づけられるかの見通しを整理できます。 |
| 3 | 国道294号などの幹線道路や駐車場での事故で、示談書へのサインを求められている 示談は成立後のやり直しが原則できません。サインの前に、内容が適正かどうかの確認をお手伝いできます。 |
上記のいずれかに当てはまる場合は、状況を整理するところから弁護士がお手伝いできます。まずはお気軽にお問い合わせください。
| Q | 過失割合は誰がどうやって決めるのですか?保険会社に決定権はあるのでしょうか? |
| A |
結論として、保険会社に過失割合の決定権はありません。示談の段階では当事者双方の合意によって決まり、合意できなければ最終的には裁判所が決めます。
過失割合とは、発生した交通事故について、当事者それぞれの不注意(過失)がどの程度事故の原因になったかを割合で示したものです。交通事故の損害賠償は不法行為(民法709条)に基づく請求であり、被害者側にも過失があった場合には、裁判所がそれを考慮して賠償額を定めることができます(過失相殺・民法722条2項)。 保険会社から届く「過失割合は〇対〇です」という連絡は、あくまで相手方側の見解の提示にすぎません。あなたが合意しない限り、その数字で確定することはありません。 実務では、過去の裁判例を類型化した基準である『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』(別冊判例タイムズ39号・全訂6版、判例タイムズ社)が広く参照されています。事故の類型ごとに「基本の過失割合」が示され、そこに「修正要素」(著しい過失、速度違反、夜間などの個別事情)を加算・減算して調整する仕組みです。この基準は2026年3月に約11年ぶりに全面改訂され、駐車場内の事故の類型の拡充や、自転車同士の事故の章の新設などが行われました。 つまり、過失割合は「基本の類型+あなたの事故に固有の修正要素」で組み立てられるものです。提示された数字がどの類型・どの修正要素に基づくのかを確認することが、検討の出発点になります。
【根拠】民法(明治29年法律第89号)第709条:「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
同法第722条2項:「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」 |
| Q | 過失割合が1割違うと、受け取れる金額はどれくらい変わりますか? |
| A |
結論として、過失割合が1割変わると、①自分が受け取る賠償金がその分減額されることに加え、②相手方の損害の一部を負担する場合があるため、影響は二重に生じます。
過失相殺(民法722条2項)により、被害者に過失があるときは、損害額から自分の過失割合分が差し引かれます。たとえば、あなたの損害額の合計が300万円で過失割合が「相手9対自分1」となった場合、受け取れるのは300万円の9割にあたる270万円となり、30万円が自己負担になります。 さらに見落とされがちなのが、相手方の損害に対する支払いです。相手方の車の修理費が50万円だった場合、あなたの過失が1割なら、その1割にあたる5万円をあなた側が負担することになります。次の例で比べてみてください。
— 図1:過失割合1割の違いによる影響(計算例。金額は説明用の仮の数字です) —
この例では、わずか1割の違いで実質的な差は35万円になります。損害額が大きい事案(治療が長引いた場合や後遺障害が残った場合)ほど、1割の重みは増していきます。過失割合は「なんとなく」で受け入れてよい数字ではないことがおわかりいただけると思います。 |
| Q | 提示された過失割合に納得いかないとき、まず何をすればよいですか? |
| A |
結論として、①根拠の確認、②証拠の収集、③安易に合意しない、の3つが基本です。とくに示談書への署名は、成立後のやり直しが原則できないため慎重に判断してください。
— 図2:納得いかないときの3ステップ —
① 根拠の確認。過失割合は基準(Q1参照)の類型と修正要素の組み合わせで説明できるはずです。「どの類型を前提に、どの修正要素をどう評価したのか」を具体的に示すよう求めましょう。説明が曖昧な場合、その提示は交渉の余地が大きいと考えられます。 ② 証拠の収集。事故状況に争いがある場合、決め手になるのは客観的な証拠です。ドライブレコーダーの映像(上書き消去される前の保存が重要です)、人身事故で警察が作成する実況見分調書、周辺店舗の防犯カメラ映像、目撃者の連絡先、双方の車両の損傷部位・程度の写真などが挙げられます。 ③ 安易に合意しない。示談は法律上の「和解」(民法695条)にあたり、いったん成立すると、あとから「本当は違った」という理由で覆すことは原則としてできません(民法696条)。急かされても、納得できないまま署名する必要はありません。
⚠️ ドライブレコーダーの映像は、機種によって一定期間・一定容量で自動的に上書きされます。事故直後に該当部分を別媒体へ保存しておくことをおすすめします。
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| Q | 交渉してもまとまらない場合、裁判以外の解決方法はありますか? |
| A |
結論として、裁判の前に、無料で利用できるADR(裁判外紛争解決手続)という選択肢があります。それでも解決しない場合は、訴訟で裁判所に判断してもらうことになります。
代表的なADR機関として、公益財団法人交通事故紛争処理センターがあります。中立・公正な立場の弁護士による法律相談、和解の斡旋、審査の手続を無料で利用できます(書類の取り付け費用や交通費などの実費は自己負担です)。相手方が協定保険会社である場合、保険会社はセンターの和解斡旋に応じる運用とされています。 なお、センターは損害額が確定できる段階(治療終了後など)での利用が前提とされているため、治療中の段階では利用できない点にご注意ください。 ADRでも解決しない場合は、訴訟を提起し、証拠に基づいて裁判所に過失割合を判断してもらうことになります。訴額(請求する金額)が140万円以下の請求は簡易裁判所、これを超える請求は地方裁判所が第一審を担当します(裁判所法33条1項1号)。 管轄の目安として、守谷市・取手市の裁判所は取手簡易裁判所・水戸地方裁判所龍ケ崎支部、つくばみらい市は土浦簡易裁判所・水戸地方裁判所土浦支部、常総市は下妻簡易裁判所・水戸地方裁判所下妻支部です。ただし、交通事故訴訟はどの裁判所に申し立てられるかが事故の場所や当事者の住所によって変わりますので、個別の事案ごとの確認が必要です。
訴訟は解決までに時間がかかる傾向がある一方、証拠に基づく最終的な判断が得られます。事案の規模・争点・証拠の状況によって、交渉・ADR・訴訟のどれが適しているかは変わります。
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| Q | 弁護士に相談すると、どのような対応をしてもらえますか? |
| A |
結論として、弁護士は、事故状況の証拠を精査し、基準に照らした適正な過失割合を組み立てて、代理人として交渉・ADR・訴訟の対応をすることができます。
具体的には、実況見分調書などの刑事記録の取り付け、ドライブレコーダー映像や車両損傷状況の分析、基準の類型・修正要素への当てはめの検討を行ったうえで、根拠を示して相手方保険会社と交渉します。交渉で解決しない場合には、ADRの申立てや訴訟の提起まで一貫して対応できます。 もっとも、事故態様や証拠の状況によっては、検討の結果、提示された過失割合が基準に照らしておおむね妥当であり、大きくは変わらない見込みとなるケースもあります。当職は、見直しの余地がどの程度あるのかを含めて、見通しを率直にご説明します。「変わる可能性」と「変わらない可能性」の双方を確認したうえで、その先の進め方をご判断いただくことが大切だと考えています。 費用面では、ご自身やご家族の自動車保険に弁護士費用特約が付帯している場合、弁護士費用の負担を抑えて依頼できることがあります(補償の範囲・上限は保険契約によって異なりますので、保険証券をご確認ください)。 当職は守谷市を拠点に、取手市・つくばみらい市・常総市・坂東市など茨城県南部・千葉県北西部の交通事故のご相談をお受けしています。お住まいの地域のご相談窓口は守谷市の法律相談ページもご参照ください。 |
このエリアは国道294号が南北に縦断し、常磐自動車道・つくばエクスプレス(TX)・常磐線の駅への送迎や買い物・通院に自家用車が欠かせない車社会です。幹線道路での追突や右折・直進の事故、生活道路や見通しの悪い交差点での出合い頭事故、商業施設の駐車場内での接触事故など、過失割合が争点になりやすい類型の事故が身近に起こり得ます。2026年3月の基準改訂では駐車場内の事故の類型が拡充されており、「駐車場だからお互い様」と曖昧に処理せず、基準に照らして検討する意味は以前より大きくなっています。
過失割合は、事故状況の証拠と基準への当てはめによって結論が変わり得るものです。提示された数字に疑問をお持ちの場合は、示談書に署名する前に、状況をお聞きしたうえで見通しをご説明します。初回のご相談は面談またはZOOMで承ります。
📞 050-3623-1320
守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市・坂東市など、TX(つくばエクスプレス)沿線・常磐線沿線の地域からのご相談に対応しています。お住まいの地域のページもご覧ください。
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・民法(明治29年法律第89号)(e-Gov法令検索)
・裁判所法(昭和22年法律第59号)(e-Gov法令検索)
・『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕』(別冊判例タイムズ39号、判例タイムズ社、2026年)
・茨城県内の管轄区域表(裁判所ウェブサイト)
・公益財団法人交通事故紛争処理センター
2026年7月13日:記事公開
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月13日|最終更新日:2026年7月13日
