子どもが集団で暴行・傷害事件を起こしたら
—「見てただけ」でも責任を問われる理由と、少年審判までの流れ
|
1
|
子どもが友人らと一緒に相手をケガさせ、警察から連絡が来た・逮捕された身柄拘束の見通しや、鑑別所に入るかどうかなど、最初の段階から弁護士(付添人)が状況を整理してお伝えできます。 |
|
2
|
「自分は殴っていない・その場にいただけ」と子どもは言うが、グループの一員として扱われている居合わせただけなのか、加担があったのかは事実認定の問題です。何がどこまで争えるのかをご説明できます。 |
|
3
|
相手が同じ学校・地域の子で、被害弁償や示談の進め方に悩んでいるTX・常磐線沿線では、加害・被害の双方が同じ地域で生活を続けることも少なくありません。今後の関係にも配慮した被害者対応を、弁護士が間に入って進められます。 |
| 01 | まず押さえておきたい3つのこと |
お子さんが友人らと集団で暴行・傷害事件を起こした(あるいは巻き込まれた)とき、保護者として気になるのは「うちの子はどうなるのか」「見ていただけでも罪になるのか」「示談は必要か」といった点だと思います。まず、次の3点を押さえておくと全体像がつかみやすくなります。
② 直接手を出していなくても、仲間と共謀・加担していれば「共同正犯」として責任を問われ得ます(刑法第60条)。
③ 早い段階での関与が大切。事実関係の整理、被害者への対応、生活環境の立て直しは、少年の立ち直りにとっても、審判での判断にとっても意味を持ちます。
以下では、この3点を具体的に見ていきます。なお本記事は一般的な情報の整理であり、個別の事案の見通しは事実関係によって変わります。
| 02 | 「見ていただけ」でも責任を問われ得る理由 |
集団の事件で最も多い受け止めが、「実際に殴ったのは他の子で、自分は見ていただけだから関係ない」というものです。しかし刑法には「共同正犯」という考え方があり、直接手を下していなくても正犯として扱われる場合があります。
つまり、あらかじめ「あいつをやろう」と示し合わせたうえで、取り囲む・見張る・逃げ道をふさぐ・けしかけるといった形で暴行の実現に加担していれば、自分が殴っていなくても、グループ全体が生じさせた傷害について責任を負い得ます。「見ていただけ」という言葉のなかには、法的には「加担」と評価される行為が含まれていることが少なくありません。
もっとも、次の2つは分けて考える必要があります。
|
CASE A
たまたま居合わせただけ
その場に居ただけで、示し合わせもなく、暴行を手助けする行為もしていない場合は、共同正犯にはなりません。
|
CASE B
共謀・加担があった
計画に加わる、取り囲む、見張る、けしかけるなどをしていれば、殴っていなくても正犯として責任を問われ得ます。
|
CASE AとCASE Bのどちらに当たるかは、当日の言動や事前のやりとりといった具体的な事実によって決まります。ここは弁護士(付添人)が、本人・関係者の説明や証拠を踏まえて主張・立証できる、まさに争える部分です。「見ていただけ」で片づけず、何がどこまで争えるのかを早期に検討することが重要です。
さらに、集団の事件では次の特例にも注意が必要です。
→ 誰の暴行でケガをさせたかが分からない場合でも、「自分の暴行ではケガをさせていない」という反論が通りにくくなる場面があります。
| 03 | 少年事件はどう進むのか(逮捕から審判まで) |
少年(20歳未満)の事件は、大人の事件と流れが異なります。大きな特徴は、検察官が起訴・不起訴を決めるのではなく、犯罪の疑いがあれば事件が原則としてすべて家庭裁判所に送られる点です(全件送致主義)。
大まかな流れは次のとおりです。
|
1
捜査・家裁送致
逮捕・勾留などの後、事件が家庭裁判所へ送られます。
|
2
調査・観護措置
家裁調査官が調査。必要に応じ少年鑑別所へ収容(観護措置)。
|
3
審判・決定
非公開の少年審判を経て、処分の内容が決まります。
|
「観護措置」がとられると、少年鑑別所に収容されます。収容期間は原則2週間で、更新により通常は最大4週間、証人尋問などを要する一定の重大事件では最長8週間まで認められることがあります(少年法第17条第3項・第4項・第9項)。少年鑑別所は、面接や心理検査を通じて少年の心身を専門的に調べ、審判の資料をつくる施設です。
審判は非公開で行われ(少年法第22条第2項)、その結果として、保護観察・児童自立支援施設等への送致・少年院送致といった保護処分、あるいは不処分などの判断がなされます(少年法第24条ほか)。事案によっては、最終処分の前に一定期間ようすを見る「試験観察」(少年法第25条)がとられることもあります。
| 04 | 集団の事件で結果が重大な場合 |
集団で暴行に及んだ場合、結果の重さによって扱いが変わります。ケガをさせれば傷害罪(刑法第204条)が成立し、逆送されて刑事裁判になったときの法定刑は「15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。ケガに至らない暴行にとどまった場合でも、数人共同で行うと、単純な暴行罪(刑法第208条・2年以下の拘禁刑等)より重い規定が適用される場面があります。
→ この条文が対象とするのは「暴行」などで、傷害(ケガの結果が生じた場合)はこの条文ではなく傷害罪(第204条)で扱われます。
さらに深刻なのは、暴行の結果、被害者が死亡してしまった場合です。この場合は傷害致死罪(刑法第205条・3年以上の有期拘禁刑)となり、手続の面でも大きく変わります。少年法では、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪で、犯行時16歳以上の少年については、原則として検察官送致(逆送)をしなければならないとされています(少年法第20条第2項)。逆送されると、大人と同じ刑事裁判の手続に進みます。
また、18歳・19歳の「特定少年」については、原則逆送の対象となる事件の範囲が広がるなどの特例があります(少年法第62条)。もっとも、傷害罪だからといって直ちに原則逆送となるわけではなく、結果の重大性や事案の内容によって扱いは異なります。
よくあるご質問
お子さんが集団での暴行・傷害事件に関わってしまい、ご不安な保護者の方へ。少年事件は、身柄拘束の有無や被害者対応など、初期の対応が今後に関わります。当職が状況を丁寧にお伺いした上で、取り得る選択肢や見通しをご説明します。まずはお気軽にご連絡ください。
守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市・坂東市など、TX(つくばエクスプレス)沿線・常磐線沿線の地域からのご相談に対応しています。お住まいの地域のページもご覧ください。
守谷市の法律相談 › 取手市の法律相談 › つくばみらい市の法律相談 › 常総市の法律相談 › 坂東市の法律相談 › 弁護士 吉津和輝 トップページ ›守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市・龍ケ崎市・牛久市・つくば市・坂東市・野田市・柏市をはじめ、茨城県南部・千葉県北西部の少年事件・刑事弁護に関するご相談をお受けしています。弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)までお気軽にどうぞ。
・刑法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
・少年法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
・暴力行為等処罰ニ関スル法律(e-Gov法令検索・デジタル庁)
・茨城県内の管轄区域表(裁判所ウェブサイト)
・法務少年支援センターみと(水戸少年鑑別所)(法務省)
・2026年7月12日 公開
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月12日|最終更新日:2026年7月12日
