別居の際に子どもを連れて行かれたとき|守谷・常総・つくばみらい・取手| 監護者指定・子の引渡し・審判前の保全処分の進め方
別居の際に子どもを連れて行かれたとき — 監護者指定・子の引渡し・審判前の保全処分の進め方
主な取扱分野:家族法(離婚・親権・監護者指定・面会交流/親子交流)・刑事弁護・相続
別居や離婚を巡るなかで、配偶者に子どもを連れて行かれてしまった方へ。子どもを取り戻すための手続として、家庭裁判所の「監護者の指定」「子の引渡し」、緊急時の「審判前の保全処分(仮の引渡し)」があります。本記事では、それぞれの手続の関係、裁判所が子の利益の観点から判断する要素、引渡しに応じない場合の手段を、守谷・取手・つくばみらい・常総・柏のTX沿線・常磐線沿線で家事事件に対応する弁護士が整理して解説します。
離婚前で別居中の夫婦は、原則として父母が共同で親権を持っています。そのため、どちらが子を現実に監護するか(監護者)を話合いで決められないときは、家庭裁判所が「子の監護に関する処分」として監護者を定め、必要に応じて子の引渡しを命じます。その法的な根拠となるのが、次の民法の規定です。
同条第2項:「前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。」
※別居中(離婚前)の監護者指定・子の引渡しも、家庭裁判所の「子の監護に関する処分」の手続によって扱われます。
子どもの連れ去りのように話合いでの解決が見込みにくい事案では、調停ではなく初めから「審判」を申し立てることが多いのが実務です。さらに、本案の審判には数か月以上かかることもあるため、その間の状況固定を避ける必要があるときは、仮の引渡しを求める「審判前の保全処分」を同時に申し立てます。3つの手続の関係を整理すると次のとおりです。
監護者指定・引渡しの一般的・抽象的な基準は「子の利益に合致するか」です(民法766条1項)。これを具体化するために、裁判所は次のような事情を実質的に比較考量し、父母のいずれが監護者として適格かを検討します。実務上、よく挙げられる考慮要素は次のとおりです。
注意したいのは、これらが「点数の足し算」で決まるわけではない点です。たとえば、もう一方の親に交際相手がいることそれ自体ではなく、その関係によって子の監護に具体的な悪影響が生じているかどうかが問題とされます。子の意思も、年齢によっては表面的な言動だけでなく、その背景を慎重に検討したうえで評価されます。
監護者指定・子の引渡しの審判は、最終的な結論が出るまでに時間がかかることがあります。その間に状況が固定されてしまうことを防ぐため、審判の申立てとあわせて申し立てるのが審判前の保全処分です。根拠となる規定は次のとおりです。
同項第3号:「子の監護に関する処分」
審判前の保全処分が認められるためには、実務上、(1)本案(監護者指定・子の引渡しの審判)で認められる見込みがあること(本案認容の蓋然性)と、(2)「強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要がある」こと(保全の必要性)の両方が求められます。緊急性が高いため期日は速やかに指定される傾向にありますが、仮の地位を定める仮処分を命じる際には、相手方となる者の陳述を聴くほか、一定年齢以上の子の意向の聴取も必要とされています。
このうち特に(2)の急迫の危険・必要性は、慎重に判断される傾向にあります。仮の引渡しが認められると本案の結論を待たずに強制執行が可能になりますが、その後に本案や即時抗告審で判断が変われば、子に負担の大きい引渡しが繰り返されかねません。こうした事情から、単に「相手が同意なく子を連れて行った」というだけでは保全処分が認められない場合も少なくなく、認められるのは、違法性の高い連れ去りや、現在の監護環境に子の心身への重大な影響がうかがわれるなど、限定的な場面が中心とされています。保全の必要性が明確でない事案では、保全の判断が留保され、本案の判断とあわせて示されることもあります。
裁判所は、法律や社会規範を無視するような強引・違法な態様で監護が始められたことを、監護者としての適格性に疑問を生じさせる事情の一つとして考慮することがあります。連れ去りに対して、さらに実力で連れ戻すという応酬は、子に大きな精神的負担と動揺を与えるだけでなく、自分の側の評価にも影響しかねません。
「連れ去られた側」と「連れ戻した側」のどちらが正しいかという単純な話ではなく、子の利益の観点から総合的に判断される点に注意が必要です。冷静に家庭裁判所の手続を利用し、必要な記録や資料を整えていくことが、結果的に近道になります。
子の引渡しを命じる審判や保全処分が出ても相手が従わない場合、主に次の方法が考えられます。どの方法を、どの順序で用いるかは、子の年齢や事案の性質によって異なります。
強制執行には期間制限など手続上の注意点が複数あり、保全処分に基づく執行については着手の時期にも制約があります。タイミングを逃さないためにも、見通しを立てた上で早めに準備を進めることが大切です。
2026年(令和8年)4月1日に施行された改正民法(令和6年法律第33号)により、離婚後も父母双方が親権を持つこと(いわゆる共同親権)が選択できるようになりました。あわせて、親権の行使方法や、親と子の交流(法務省の資料などで「親子交流」と呼ばれます。民法766条1項でも、従来の「面会及びその他の交流」という文言が「交流」に整理されました)に関する規定の見直しも行われています。
もっとも、本記事で扱っている「別居中に子を連れ去られた」場面では、状況は次のとおりです。婚姻中の父母は引き続き共同で親権を持つのが原則であり、別居中にどちらが子を現実に監護するか(監護者)を決める必要があるときは、これまでどおり家庭裁判所の「子の監護に関する処分」の手続で扱われます。連れ去られた子の引渡しを求める手続や、緊急時の審判前の保全処分の枠組みも維持されています。
守谷市・つくばみらい市をはじめとするTX(つくばエクスプレス)沿線や常磐線沿線は、子育て世帯の転入が多く、共働き・核家族の世帯が目立つ地域です。実家が遠方にあるご家庭も少なくなく、別居や離婚を巡って子の監護が争いになりやすい背景があります。子の監護者指定・引渡しの家事事件は、お住まいの市町村によって管轄する家庭裁判所が分かれます。守谷市・取手市・龍ケ崎市・牛久市は水戸家庭裁判所龍ケ崎支部、常総市・坂東市は水戸家庭裁判所下妻支部、つくばみらい市・つくば市・土浦市は水戸家庭裁判所土浦支部、千葉県の柏市・我孫子市・野田市・流山市は千葉家庭裁判所松戸支部が管轄です(事件の種類により申立先が異なる場合がありますので、申立ての際は裁判所にご確認ください)。
子どもを連れ去られた事案は、時間の経過とともに状況が固定されやすく、どの手続をどの順序で進めるかの見極めが大切です。当職は、ご事情をお聞きしたうえで、監護者指定・子の引渡し・審判前の保全処分の見通しと進め方をご説明します。守谷・取手・つくばみらい・常総・柏エリアで、子の連れ去り・親権・面会交流(親子交流)にお困りの方は、お気軽にご相談ください。
📞 050-3623-1320
守谷市・取手市・常総市・つくばみらい市・龍ケ崎市・牛久市・坂東市・つくば市・土浦市・野田市・我孫子市・柏市・北柏をはじめ、茨城県南部・千葉県北西部にお住まいの方からの、子の連れ去り・監護者指定・子の引渡し・面会交流(親子交流)・親権に関するご相談をお受けしています。弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)までお気軽にどうぞ。
・民法(明治29年法律第89号)第766条(e-Gov法令検索・デジタル庁)
・家事事件手続法(平成23年法律第52号)第157条(e-Gov法令検索・デジタル庁)
・子の引渡し調停(裁判所ウェブサイト)
・茨城県内の管轄区域表(裁判所ウェブサイト)
・2026年6月9日:記事を公開しました(2026年4月1日施行の改正民法の内容を反映)。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は【令和8年(2026年)6月】時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年6月9日|最終更新日:2026年6月9日
