別居の際に子どもを連れて行かれたとき|守谷・常総・つくばみらい・取手| 監護者指定・子の引渡し・審判前の保全処分の進め方

家族法・離婚

別居の際に子どもを連れて行かれたとき — 監護者指定・子の引渡し・審判前の保全処分の進め方

弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属|2018年12月弁護士登録(登録から約7年)
主な取扱分野:家族法(離婚・親権・監護者指定・面会交流/親子交流)・刑事弁護・相続

別居や離婚を巡るなかで、配偶者に子どもを連れて行かれてしまった方へ。子どもを取り戻すための手続として、家庭裁判所の「監護者の指定」「子の引渡し」、緊急時の「審判前の保全処分(仮の引渡し)」があります。本記事では、それぞれの手続の関係、裁判所が子の利益の観点から判断する要素、引渡しに応じない場合の手段を、守谷・取手・つくばみらい・常総・柏のTX沿線・常磐線沿線で家事事件に対応する弁護士が整理して解説します。

離婚・親権・子の引渡しのご相談を承っています
弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)|〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
Q別居中に配偶者が子どもを連れて出て行きました。取り戻すにはどうすればよいですか?
A
結論として、家庭裁判所に「子の監護者の指定」と「子の引渡し」を求めるのが基本です。緊急性が高い場合は、あわせて「審判前の保全処分(仮の引渡し)」を申し立てます。

離婚前で別居中の夫婦は、原則として父母が共同で親権を持っています。そのため、どちらが子を現実に監護するか(監護者)を話合いで決められないときは、家庭裁判所が「子の監護に関する処分」として監護者を定め、必要に応じて子の引渡しを命じます。その法的な根拠となるのが、次の民法の規定です。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第766条第1項:「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」
同条第2項:「前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。」
※別居中(離婚前)の監護者指定・子の引渡しも、家庭裁判所の「子の監護に関する処分」の手続によって扱われます。

子どもの連れ去りのように話合いでの解決が見込みにくい事案では、調停ではなく初めから「審判」を申し立てることが多いのが実務です。さらに、本案の審判には数か月以上かかることもあるため、その間の状況固定を避ける必要があるときは、仮の引渡しを求める「審判前の保全処分」を同時に申し立てます。3つの手続の関係を整理すると次のとおりです。

1子の監護者の指定(調停・審判)別居中にどちらが子を監護するかを家庭裁判所に定めてもらう手続。
2子の引渡し(調停・審判)相手のもとにいる子を引き渡すよう求める手続。1とセットで申し立てるのが一般的。
+(緊急時)
3審判前の保全処分(仮の引渡し)本案の審判が出る前に、仮に監護者を定め・子の仮の引渡しを命じてもらう手続。
図1:子どもを取り戻すための手続の組み合わせ(事案により異なります)
どの手続をどう組み合わせるか、調停と審判のいずれを選ぶかは、子の年齢・連れ去りの経緯・緊急性などによって変わります。具体的な見通しは個別の事情によって異なりますので、弁護士にご相談ください。
Q監護者の指定や子の引渡しで、裁判所は何を基準に判断するのですか?
A
結論として、裁判所は「子の利益」を最も優先し、複数の事情を実質的に比較考量して総合的に判断します。一つの要素だけで決まるわけではありません。

監護者指定・引渡しの一般的・抽象的な基準は「子の利益に合致するか」です(民法766条1項)。これを具体化するために、裁判所は次のような事情を実質的に比較考量し、父母のいずれが監護者として適格かを検討します。実務上、よく挙げられる考慮要素は次のとおりです。

主たる監護者
これまで主に誰が子を世話してきたか。
監護の継続性・安定
現在の生活が安定しているか。特に乳幼児期は精神的つながりの継続が重視される傾向。
子の年齢・心身の発育
年齢や発達の段階、健康状態。
子の意思
年齢・発達に応じて把握される子の気持ち。
交流への姿勢
もう一方の親と子との交流(親子交流)に協力的かどうか。
きょうだい不分離
きょうだいを分けない方が望ましいとされる場合がある(総合考慮の一要素)。
監護開始の態様
監護を始めた経緯が強引・違法でなかったか。
監護能力・環境
健康状態、経済状況、住環境、監護を補助してくれる人の有無など。
図2:監護者指定・引渡しで裁判所が見る主な考慮要素(総合考慮)

注意したいのは、これらが「点数の足し算」で決まるわけではない点です。たとえば、もう一方の親に交際相手がいることそれ自体ではなく、その関係によって子の監護に具体的な悪影響が生じているかどうかが問題とされます。子の意思も、年齢によっては表面的な言動だけでなく、その背景を慎重に検討したうえで評価されます。

「これまで主に子を世話してきた事実」「現在の監護が安定している事実」を裏づける客観的な資料(保育園・学校とのやりとり、通院記録、生活の様子の記録など)が、判断の場面で重要になることがあります。
Q「審判前の保全処分」とは何ですか。すぐに取り戻せるのですか?
A
結論として、審判前の保全処分とは、本案の審判が出るまでの間に、仮に監護者を定めたり子の仮の引渡しを命じたりする緊急の手続です。もっとも、認められるためのハードルは高く、一般には認められる場面は限定的です。

監護者指定・子の引渡しの審判は、最終的な結論が出るまでに時間がかかることがあります。その間に状況が固定されてしまうことを防ぐため、審判の申立てとあわせて申し立てるのが審判前の保全処分です。根拠となる規定は次のとおりです。

【根拠】家事事件手続法(平成23年法律第52号)第157条第1項:「家庭裁判所……は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。」
同項第3号:「子の監護に関する処分」

審判前の保全処分が認められるためには、実務上、(1)本案(監護者指定・子の引渡しの審判)で認められる見込みがあること(本案認容の蓋然性)と、(2)「強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要がある」こと(保全の必要性)の両方が求められます。緊急性が高いため期日は速やかに指定される傾向にありますが、仮の地位を定める仮処分を命じる際には、相手方となる者の陳述を聴くほか、一定年齢以上の子の意向の聴取も必要とされています。

【根拠】家事事件手続法第157条第2項:家庭裁判所は、前項第3号に掲げる事項(子の監護に関する処分)について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第107条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(15歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

このうち特に(2)の急迫の危険・必要性は、慎重に判断される傾向にあります。仮の引渡しが認められると本案の結論を待たずに強制執行が可能になりますが、その後に本案や即時抗告審で判断が変われば、子に負担の大きい引渡しが繰り返されかねません。こうした事情から、単に「相手が同意なく子を連れて行った」というだけでは保全処分が認められない場合も少なくなく、認められるのは、違法性の高い連れ去りや、現在の監護環境に子の心身への重大な影響がうかがわれるなど、限定的な場面が中心とされています。保全の必要性が明確でない事案では、保全の判断が留保され、本案の判断とあわせて示されることもあります。

⚠️ 審判前の保全処分は「申し立てれば認められる」ものではなく、急迫の危険・必要性のハードルは高めです。認められる見込みは、連れ去りの態様や子の現在の状況などによって大きく異なります。保全だけにとらわれず、本案を含めた手続全体での見通しを立てることが大切です。
Q相手の家まで行って、自分で子どもを連れ戻してもよいですか?
A
結論として、実力で連れ戻す自力救済は避けるべきです。強引・違法な連れ戻しは、その後の手続で不利に働くおそれがあります。

裁判所は、法律や社会規範を無視するような強引・違法な態様で監護が始められたことを、監護者としての適格性に疑問を生じさせる事情の一つとして考慮することがあります。連れ去りに対して、さらに実力で連れ戻すという応酬は、子に大きな精神的負担と動揺を与えるだけでなく、自分の側の評価にも影響しかねません。

「連れ去られた側」と「連れ戻した側」のどちらが正しいかという単純な話ではなく、子の利益の観点から総合的に判断される点に注意が必要です。冷静に家庭裁判所の手続を利用し、必要な記録や資料を整えていくことが、結果的に近道になります。

⚠️ 状況によっては、子どもの連れ去りや連れ戻しが刑事上の問題(未成年者略取・誘拐罪等)として扱われる場面もあり得ます。自己判断で行動する前に、弁護士にご相談ください。
Q引渡しを命じる判断が出ても相手が応じないときは、どうなりますか?
A
結論として、間接強制や、執行官が関与する直接的な強制執行が検討されます。人身保護請求という手段もありますが、要件は厳格です。

子の引渡しを命じる審判や保全処分が出ても相手が従わない場合、主に次の方法が考えられます。どの方法を、どの順序で用いるかは、子の年齢や事案の性質によって異なります。

A間接強制一定期間ごとに金銭の支払を命じることで、自発的な引渡しを促す方法。
B直接的な強制執行執行官が関与して引渡しを実現する方法。子への負担に配慮して運用されます。
C人身保護請求違法な拘束から子を解放するための手続。要件は厳格で、ほかの手段で取り戻せない場合などに限られます。
図3:引渡しに応じない相手への主な手段(事案により選択・順序が異なります)

強制執行には期間制限など手続上の注意点が複数あり、保全処分に基づく執行については着手の時期にも制約があります。タイミングを逃さないためにも、見通しを立てた上で早めに準備を進めることが大切です。

どの手段が適切かは、子の年齢・現在の生活状況・相手の対応などを踏まえた個別判断になります。具体的な進め方は弁護士にご相談ください。
Q2026年4月から共同親権が始まりましたが、連れ去りの扱いは変わったのですか?
A
結論として、離婚後に父母双方が親権を持つ選択肢ができましたが、別居中の監護者指定や子の引渡しを家庭裁判所で扱う枠組み、そして「子の利益」を最優先に判断する基本的な考え方は変わっていません。

2026年(令和8年)4月1日に施行された改正民法(令和6年法律第33号)により、離婚後も父母双方が親権を持つこと(いわゆる共同親権)が選択できるようになりました。あわせて、親権の行使方法や、親と子の交流(法務省の資料などで「親子交流」と呼ばれます。民法766条1項でも、従来の「面会及びその他の交流」という文言が「交流」に整理されました)に関する規定の見直しも行われています。

もっとも、本記事で扱っている「別居中に子を連れ去られた」場面では、状況は次のとおりです。婚姻中の父母は引き続き共同で親権を持つのが原則であり、別居中にどちらが子を現実に監護するか(監護者)を決める必要があるときは、これまでどおり家庭裁判所の「子の監護に関する処分」の手続で扱われます。連れ去られた子の引渡しを求める手続や、緊急時の審判前の保全処分の枠組みも維持されています。

改正後も、子の利益を最優先に総合判断する考え方や、強引・違法な連れ去りが評価上マイナスに働き得る点は変わりません。
守谷・取手・つくばみらい・常総・柏エリアの実情と管轄裁判所

守谷市・つくばみらい市をはじめとするTX(つくばエクスプレス)沿線や常磐線沿線は、子育て世帯の転入が多く、共働き・核家族の世帯が目立つ地域です。実家が遠方にあるご家庭も少なくなく、別居や離婚を巡って子の監護が争いになりやすい背景があります。子の監護者指定・引渡しの家事事件は、お住まいの市町村によって管轄する家庭裁判所が分かれます。守谷市・取手市・龍ケ崎市・牛久市は水戸家庭裁判所龍ケ崎支部、常総市・坂東市は水戸家庭裁判所下妻支部、つくばみらい市・つくば市・土浦市は水戸家庭裁判所土浦支部、千葉県の柏市・我孫子市・野田市・流山市は千葉家庭裁判所松戸支部が管轄です(事件の種類により申立先が異なる場合がありますので、申立ての際は裁判所にご確認ください)。

子どもを連れ去られた事案は、時間の経過とともに状況が固定されやすく、どの手続をどの順序で進めるかの見極めが大切です。当職は、ご事情をお聞きしたうえで、監護者指定・子の引渡し・審判前の保全処分の見通しと進め方をご説明します。守谷・取手・つくばみらい・常総・柏エリアで、子の連れ去り・親権・面会交流(親子交流)にお困りの方は、お気軽にご相談ください。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属|〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
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守谷市・取手市・常総市・つくばみらい市・龍ケ崎市・牛久市・坂東市・つくば市・土浦市・野田市・我孫子市・柏市・北柏をはじめ、茨城県南部・千葉県北西部にお住まいの方からの、子の連れ去り・監護者指定・子の引渡し・面会交流(親子交流)・親権に関するご相談をお受けしています。弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)までお気軽にどうぞ。

更新履歴

・2026年6月9日:記事を公開しました(2026年4月1日施行の改正民法の内容を反映)。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は【令和8年(2026年)6月】時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年6月9日|最終更新日:2026年6月9日

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