試行的面会交流(親子交流の試行的実施)とは ― 守谷・取手エリア|弁護士吉津和輝

家族法・離婚/親子交流

別居・離婚調停中に子どもに会えないとき|試行的面会交流(親子交流の試行的実施)とは ― 守谷・取手エリアの親へ

弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属|2018年12月弁護士登録(登録から約7年)
主な取扱分野:離婚・親権・親子交流(面会交流)・相続などの家族法、刑事弁護

別居中・離婚調停中で、子どもになかなか会えずにお困りの方へ。2026年(令和8年)4月1日に施行された改正で、家庭裁判所の手続のなかで子どもとの交流を試験的に行う「親子交流の試行的実施」という枠組みが新たに設けられました。この記事では、その仕組み・進み方・どのような場合に相当でないとされるのかを、守谷・取手エリアの実情にも触れながらわかりやすく整理します。

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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)|〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
Q1別居してから子どもに会えていません。離婚調停が終わるまで、ずっと会えないのでしょうか?
結論として、離婚調停中であっても、子どもと会う方法がないわけではありません。話し合いや家庭裁判所の手続のなかで親子交流(面会交流)について取り決めることができ、2026年4月の改正では、手続中に試験的な交流を行う「親子交流の試行的実施」という枠組みも新たに設けられました。

別居をきっかけに子どもに会えなくなると、「離婚が成立するまで会えないのではないか」と不安に感じる方は少なくありません。しかし、離婚が成立していない別居中であっても、親と子の交流(親子交流・面会交流)について話し合い、まとまらなければ家庭裁判所の調停や審判を利用して取り決めていくことができます。

従来は、離婚後の面会交流に関する規定が中心で、別居中の親子交流について明確に定めた規定は置かれていませんでした。2026年4月施行の改正では、別居中の親と子の交流についてのルールが整理されるとともに、家庭裁判所の手続が進んでいる間に試験的な交流を行う「親子交流の試行的実施」の枠組みが新設されました。

Q22026年4月に新しくできた「試行的面会交流(親子交流の試行的実施)」とは、どんな制度ですか?
結論として、試行的面会交流(条文上は「親子交流の試行的実施」)とは、家庭裁判所の手続のなかで、家庭裁判所が当事者である父母に対して、子どもとの交流を試験的に行うよう「促す」ことができる仕組みのことです。民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)で新設され、2026年4月1日に施行されました。

親子交流の試行的実施は、離婚調停や子の監護に関する処分の審判など、家庭裁判所の手続が進んでいる途中で、実際に親子が交流してみることを家庭裁判所が促す制度です。これにより、交流の可否や方法を、現実の様子を踏まえてより具体的に検討できるようにすることが目的とされています。

根拠となる規定は、扱う手続の種類によって次のように分かれています。審判事件については家事事件手続法第152条の3、調停事件については同法第258条第3項によって第152条の3が準用され、離婚訴訟などの人事訴訟については人事訴訟法第34条の4です。

家庭裁判所が試行的実施を「促す」ための2つの前提
① 相当でないと認める事情がないこと
子の心身の状態に照らして、試行的な交流を行うことが相当でないと認める事情がないこと。
② 事実の調査のため必要があること
事実の調査のため、試行的実施を促す必要があると家庭裁判所が認めること。
家事事件手続法第152条の3第1項に基づき作成
【根拠】家事事件手続法(平成23年法律第52号)第152条の3第1項:家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)において、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、かつ、事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができる。
この制度は、条文上は「親子交流の試行的実施」と呼ばれます(改正で「面会交流」が「親子交流」「子との交流」という表現に整理されたためです)。一般には、家庭裁判所の手続中に試しに交流してみることから「試行的面会交流」と呼ばれることも多くあります。なお、家庭裁判所では従来から、調査官による調査の一環として面会の様子を観察する運用が行われてきましたが、今回の改正は、当事者に交流を促す枠組みを条文上明確にしたものです。
Q3試行的実施は、どのような流れで進みますか?家庭裁判所は何をしてくれるのですか?
結論として、家庭裁判所が①相当性・必要性を検討し、②条件を定めて当事者に交流を促し、③当事者がこれに応じて試行的に交流を行い、④その結果を家庭裁判所に報告・共有する、という流れで進みます。

条文上、家庭裁判所は試行的実施を促すにあたって、交流の方法、交流をする日時及び場所、家庭裁判所調査官その他の者の立会いその他の関与の有無を定めることができます。あわせて、子の心身に有害な影響を及ぼす言動を禁止することなど、適当と認める条件を付すこともできるとされています。

試行的実施の進み方(4ステップ)
STEP 1 検討
家庭裁判所が、子の心身の状態に照らして相当か、事実の調査のため必要かを検討します。
STEP 2 促し・条件設定
交流の方法・日時・場所・立会いの有無などを定め、当事者に交流を促します。子の心身に有害な影響を及ぼす言動の禁止などの条件を付すこともあります。
STEP 3 実施
当事者が、家庭裁判所の促しに応じて子どもと試行的に交流します。
STEP 4 報告・共有
実施の状況や結果が、調査官の調査や当事者の報告を通じて家庭裁判所と共有されます。
家事事件手続法第152条の3、人事訴訟法第34条の4に基づき作成
【根拠】家事事件手続法第152条の3第2項:家庭裁判所は、前項の試行的実施を促すに当たっては、交流の方法、交流をする日時及び場所並びに家庭裁判所調査官その他の者の立会いその他の関与の有無を定めるとともに、当事者に対して子の心身に有害な影響を及ぼす言動を禁止することその他適当と認める条件を付することができる。
Q4これは、強制的に子どもに会わせてもらえる制度ですか?相手が応じない場合はどうなりますか?
結論として、試行的実施は家庭裁判所が交流を「促す」制度であり、相手に交流を強制する法的強制力を伴うものではありません。

条文の文言も「試行的実施を促すことができる」とされており、応じるかどうかは当事者の判断に委ねられています。試行的実施は、交流を命じて強制するものではなく、実際に交流してみることを通じて、その後の話し合いや判断の材料を得るための仕組みと位置づけられています。

もっとも、家庭裁判所は試行的実施を促したときは、当事者に対してその結果の報告を求めることができ、試行的実施をしなかったときは、その理由の説明を求めることができます。当事者がどのように対応したかは、その後の調停や審判における家庭裁判所の判断の資料となる場面があります。

なお、取り決められた親子交流が守られない場合に、間接強制(一定の金銭の支払を命じることで履行を促す方法)が問題となることはありますが、子の心身への影響が大きいため、直接子を引き渡させるような強制(直接強制)にはなじまないと考えられています。具体的な対応は事案により異なります。
【根拠】家事事件手続法第152条の3第3項:家庭裁判所は、第一項の試行的実施を促したときは、当事者に対してその結果の報告(当該試行的実施をしなかったときは、その理由の説明)を求めることができる。
Q5試行的実施が「相当でない」とされるのは、どのような場合ですか?
結論として、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がある場合には、試行的実施は促されません。子の安全・安心が中心に考えられます。

条文上、試行的実施を促すための前提として「子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく」と定められています(家事事件手続法第152条の3第1項)。つまり、子どもにとって試験的な交流を行うことが相当でないと考えられる事情があるときは、家庭裁判所は試行的実施を促さない、という考え方です。

たとえば、子の安全や安心が害されるおそれがある場合など、子の福祉の観点から慎重な検討が必要な事情があるときは、その点が考慮されると考えられます。何が「相当でない事情」にあたるかは、子どもの年齢や心身の状況、これまでの経緯など、個別の事情によって判断が分かれるため、一律に決まるものではありません。

交流の方法や条件についても、家庭裁判所が立会いの有無や言動の制限などの条件を定めることができます。安全面に配慮しながら段階的に進める方法が検討されることもあります。個別の事情によって異なりますので、ご不安な点は弁護士にご相談ください。
Q6守谷・取手エリアで別居中に子どもと会えないとき、どこに相談・申立てをすればよいですか?
結論として、親子交流(面会交流)の話し合いがまとまらない場合は、まず家庭裁判所の調停を申し立てるのが一般的です。調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てます。別居中で子どもが相手方と暮らしている場合、相手方の住所地が守谷市・取手市であれば、水戸家庭裁判所龍ケ崎支部が窓口になります。

親子交流(面会交流)をめぐる手続には、話し合いの調停と、調停がまとまらない場合に裁判官が判断する審判があり、どこの家庭裁判所に申し立てるか(管轄)は手続によって異なります。調停は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、又は当事者が合意で定める家庭裁判所が管轄です。審判(子の監護に関する処分の審判事件)は、子の住所地を管轄する家庭裁判所が管轄です。別居中は、子どもが相手方と一緒に暮らしていることが多く、その場合は相手方の住所地と子の住所地が同じ家庭裁判所のエリアになることがよくあります。

【根拠】家事事件手続法第245条第1項:家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。/同法第150条第4号:子の監護に関する処分の審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

茨城県南部の主な市町村について、地理的な担当区域(どの支部のエリアか)は次のとおりです。

管轄の家庭裁判所 主な対象市町村
水戸家庭裁判所
龍ケ崎支部
守谷市・取手市・龍ケ崎市・牛久市・稲敷市・河内町・利根町
水戸家庭裁判所
土浦支部
つくば市・土浦市・つくばみらい市・かすみがうら市・阿見町・美浦村・石岡市ほか
水戸家庭裁判所
下妻支部
常総市・下妻市・結城市・筑西市・坂東市・古河市ほか

親子交流をめぐる問題は、別居後に時間が経つほど、子どもの生活環境や気持ちの変化が交流の進め方に影響することがあります。「どう話し合えばよいか」「どの手続を選べばよいか」がご自身では判断しにくいときは、早めに方針を整理しておくことが大切です。

⚠️ 事件の種類等によっては、上記の管轄区域表と実際の申立先が異なる場合があります。申立ての際は、事前にお近くの裁判所にご確認ください。
守谷・取手・つくばみらいエリアの実情

TX(つくばエクスプレス)沿線の守谷市・つくばみらい市や、JR常磐線沿線の取手市は、東京方面へ通勤する共働き世帯や、他地域から転入してきた核家族世帯が多い地域です。そのため、別居が始まったときに近くに頼れる親族がいないというご家庭も少なくありません。子どもに会えない期間が長引く前に、親子交流の進め方を早めに整理しておくことが、後の話し合いや手続を落ち着いて進めることにつながります。

別居・離婚調停中の親子交流についてお困りの方は、状況をお聞きしたうえで、取り得る手続や進め方をご説明します。初回相談は面談またはZOOMで承っています。一人で抱え込まず、まずはご相談ください。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属|〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
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参考資料・情報源

e-Gov法令検索(デジタル庁)
家事事件手続法(平成23年法律第52号)第152条の3・第258条第3項
人事訴訟法(平成15年法律第109号)第34条の4
茨城県内の管轄区域表(裁判所)
・民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)/2026年4月1日施行

更新履歴

・2026年5月30日:記事を公開しました。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は【令和8年(2026年)5月】時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年5月30日|最終更新日:2026年5月30日