日常の行為とは 共同親権|守谷・つくばみらい・常総・取手— ワクチン・転校・進路・アルバイトは単独で決められるか

家族法・共同親権

共同親権下の「日常の行為」とは
— ワクチン・転校・進路・アルバイトは単独で決められるか

弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属/2018年12月弁護士登録(登録から約7年)
主な取扱分野:家族法(離婚・親権・面会交流)・相続・刑事弁護
守谷市・つくばみらい市・取手市・柏市で、別居中または離婚協議中のご家族の方へ。令和8年4月1日に施行された改正民法により、離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」が選べるようになりました。これに伴い、子の進路・医療・契約等について、どちらの親が単独で決めてよいのかという問題が、新たな争点となり得ます。

本記事では、改正民法824条の2第2項にいう「監護及び教育に関する日常の行為」が、具体的にどこまで及ぶのか、ワクチン・転校・進路・アルバイトの4類型を中心に、別居している側と一緒に暮らす側の双方の立場から整理します。なお、改正民法施行間もない時期のため、各類型の具体的線引きは確立した解釈とは限らず、今後の通達・実務運用・裁判例の蓄積により変動し得る点をあらかじめお含みおきください。
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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)
〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
Q1 そもそも「監護及び教育に関する日常の行為」とは何ですか?
結論:日々の食事・身の回りの世話・通学準備・通常の受診など、子の心身に重大な影響を与えない日常的な事柄を指すと考えられています。改正民法824条の2第2項により、この範囲については父母の一方が単独で親権を行使することができます。

「監護及び教育に関する日常の行為」とは、改正民法824条の2第2項に置かれた概念です。同条第1項は親権を「父母が共同して行う」ことを原則としつつ、同条第2項は、共同親権下であっても日常の行為については単独行使を認めています。

「日常の行為」の範囲について、複数の公開解説によれば、日々の生活の中で生ずる行為のうち、子に対して重大な影響を与えないものをいうとされ、食事・衣服や子の身の回りの世話に関する事柄が、典型例として挙げられています。

これに対し、子の心身に重大な影響を与え得る行為(私立学校への進学決定、長期間にわたる海外渡航、重大な医療侵襲を伴う手術など)は「日常の行為」に当たらないと見られ、共同親権下では原則として父母双方の合意が必要と考えられます。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第824条の2第2項
複数の公開解説によると、条文は以下のとおりとされています。
「父母は、その双方が親権者であるときであっても、前項本文の規定にかかわらず、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使を単独ですることができる。」
日常の行為 と 重要事項の対比
単独で可(日常)
・食事/衣服/睡眠
・通常の風邪の受診
・通学準備・送迎
・身の回りの世話
・日常的な習い事の送迎
共同で要協議(重要)
・私立小中高への進学
・長期の海外旅行・留学
・パスポート申請
・重大な医療侵襲
・改名・宗教の選択
Q2 子のワクチン接種は、一方の親だけで決められますか?
結論:予防接種法に基づく定期接種(通常の小児ワクチン)は「日常の行為」に該当し、単独で決められると見る整理があります。他方、任意接種のうち父母間で接種の是非に意見対立があるようなケースでは、共同で判断すべき場面があり得ると指摘されています。確立した解釈ではなく、今後のガイドライン・通達の整備が見込まれます。

同居親(子と一緒に暮らす側)の立場から:予防接種法に基づく定期接種(四種混合・MR・水痘・日本脳炎などの小児ワクチンや、季節性インフルエンザの予防接種)は、いずれも子の心身に重大な影響を与えるものではないと一般に整理されており、また接種時期を逸すれば子の健康管理に支障が生じることから、「日常の行為」に該当すると見る見解が示されています。

別居親の立場から:他方、任意接種のうち、医学的に賛否が分かれるもの(たとえばHPVワクチン等)で、父母間で接種の是非について事前に意見対立があるようなケースについては、「日常の行為」の枠を超えて共同で判断すべき場面があり得ると指摘されています。

なお、医療機関の実務上は、保護者(共同親権者)から接種同意書への署名を求められることが通例ですが、共同親権下での医療同意書類の取扱いについては、現在、関係省庁・関係団体において運用ルールの整備が進められています。今後の通達・ガイドラインの動向に注意が必要です。

補足:接種の是非で父母の対立が予測される場合は、後で争いになることを避けるため、可能な限り事前にメール・SMS等で他方の親に通知・打診し、その経緯を記録に残しておくことが望まれます。
Q3 転校や進学先の決定は、一方の親だけで決められますか?
結論:同一学区内の公立小中学校への通学に伴う通常の手続は「日常の行為」に該当し得ますが、学区を越える転居を伴う転校や、私立小中学校・高校への進学決定は「日常の行為」を超え、共同で決すべき重要事項と見る見解が一般的です。

同居親の立場から:子の居住地区域内の公立小学校・中学校への入学・進級は、義務教育として制度上当然に予定されているため、これに伴う通常の入学・進級手続は「日常の行為」と見ることができます。同一学区内での転居に伴う公立校への転校手続も、これに準ずるものと考えられます。

別居親の立場から:他方、学区を越える転居を伴う転校(子の居所が変わる場合)、公立校から私立校への転校、私立小中学校への進学、高校・大学などその後の進学先の選択は、いずれも子の生活基盤・友人関係・進路全体に大きな影響を与え得ます。これらは「日常の行為」の枠を超え、父母の共同行使が必要な事項と見るのが一般的な見解です。在学契約は、契約期間の長短や経済的負担の重さからも、単独で締結すべきではないと指摘されています。

仮に片方の親が他方の同意なく在学契約を締結した場合の効力については、民法110条(権限外の行為の表見代理)の類推適用により、相手方(学校側)が単独親権者だと信ずべき正当な理由がある場合に限り、契約が有効とされ得るとの議論があります。もっとも、この点は確立した解釈ではなく、共同親権制度の趣旨に反する形での単独行使は、後に他方親から契約取消や監護者指定・特定事項の親権行使者指定の申立がなされ得る点に留意が必要です。

⚠️ 注意:学校側が同意書類に「両親の署名」を求めるケースが増加することが想定されます。学校との手続上のトラブルを避けるためにも、進学・転校を伴う場面では事前に他方親との協議を整えておくことが望まれます。
Q4 子の海外旅行・パスポート申請は、単独でできますか?
結論:通常の観光目的の短期の海外旅行・パスポート申請のいずれも「日常の行為」に該当しないと見る整理が示されています。共同親権下では、父母双方の同意が必要となるのが原則と考えられます。改正後の旅券申請の運用については、外務省の通達・取扱い変更も予測されます。

同居親の立場から:長期の海外旅行・修学旅行・留学はもちろん、通常の観光目的の短期海外旅行であっても、子を国外に出国させる行為は、子の利益・安全に直結する重要な判断であり、国内の移動とは質的に異なります。改正後の旅券申請については、共同親権の場合は原則として父母双方の同意を要する取扱いが想定されており、具体的な運用は外務省の通達・要領の整備に委ねられます。

別居親の立場から:特に注意を要するのは、別居親への通知なく、他方親が単独でパスポートを申請・取得し、子を海外に連れ出すケースです。この場合、別居親には事前に止める手段がなく、出国後の対応は外交ルートや、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(ハーグ条約)の枠組みに頼らざるを得なくなります。事前協議の徹底が、共同親権制度の趣旨にも合致します。

他方、子と同居親が日本国内の親族訪問・国内旅行に出かけるなど、国内における短期の移動は、原則として「日常の行為」の範囲内であり、単独で判断できると考えられます。

Q5 高校生の子のアルバイトの許可・労働契約の同意は、単独でできますか?
結論:学業に支障のない範囲の通常のアルバイトの許可は、「日常の行為」の枠内で父母の一方が単独で判断し得ると見る整理があります。他方、未成年者の労働契約締結に係る法定代理人としての同意(民法5条1項)は、共同親権下では原則として父母双方の同意が必要と考えられます。

同居親の立場から:高校生になった子が、放課後や休日に短時間アルバイトを始めたいといった場面では、その日々の許可・断念は「監護及び教育に関する日常の行為」として、父母の一方(典型的には同居して日常的に子の生活を管理する親)が単独で判断できると見ることができます。学業との両立の可否、勤務先の選定、勤務時間の調整なども、現実の生活管理の中で日常的に判断される事項です。

別居親の立場から:他方、未成年者本人が雇用主と労働契約を締結する際の法定代理人の同意(民法5条1項)について、共同親権の場合は父母双方の同意が必要となるのが原則と考えられます。アルバイト先の使用者(雇用主)が、片方の親の同意のみで雇用契約を進めた場合、後に他方親から契約の有効性を争われるリスクがあります。

この点については、改正民法施行後の通達・ガイドラインの整備が見込まれ、未成年者を雇用する事業者側の運用も今後変化することが予測されます。短時間・短期の雇用については日常の行為の枠で運用される一方、長期・継続的な雇用は共同同意を要する整理が議論されています。

【根拠】労働基準法(昭和22年法律第49号)第58条第1項
「親権者又は後見人は、未成年者に代って労働契約を締結してはならない。」
※未成年者本人が労働契約の当事者となるが、未成年者である以上、民法5条1項により法定代理人(共同親権の場合は父母双方)の同意が必要となる。
Q6 塾・習い事の契約は、単独で締結できますか?
結論:通常の月謝制の習い事・補習塾の契約は「日常の行為」の枠内で単独行使が可能と見る整理があります。長期間の高額契約・受験塾の長期コース等は、子の進学・経済的負担に重大な影響を与えるため、共同で判断すべき場面が出てきます。

同居親の立場から:子の学習習慣・運動習慣の維持のための日常的な習い事(ピアノ・水泳・公文・学習塾等)で、月謝制または短期コースのものは、「監護及び教育に関する日常の行為」の枠内に位置付けられると見ることができ、父母の一方が単独で契約・更新・解約を判断し得ます。守谷市・つくばみらい市・取手市などTX沿線・常磐線沿線では、通学路上または駅前に学習塾・スイミングスクールが集積しており、子の生活動線の中で日常的に利用される実情にあります。

別居親の立場から:他方、大手予備校の年間一括契約、受験を見据えた長期コース、海外語学留学の手配、芸術系の長期師事契約など、契約期間が1年を超え、かつ高額(数十万円以上)の負担を伴うものは、子の進路選択にも結びつく重要な事項であり、「日常の行為」の枠外と見るのが相当と考えられます。

この区別は、契約期間と金額のみで一律に画されるものではなく、個別の事案ごとに、契約内容・子の年齢・子の進路選択への影響・経済的負担の重さなどを総合して判断されることになります。

Q7 日常の行為かどうか父母の意見が対立したら、どうすればよいですか?
結論:改正民法824条の2第3項により、家庭裁判所に対し「特定事項に係る親権行使者の指定」を求める申立をすることができます。これにより、争いのある事項についてのみ、父母の一方を親権行使者として裁判所が指定することになります。

共同親権下では、原則として親権の行使は父母が共同して行うことになりますが、実際には個々の場面で意見が対立する場面も出てきます。改正民法は、この対立を裁判所の手続で解決する仕組みを新設しました。

具体的には、特定の事項(子の進学先・転校・医療・宗教教育など)について、父母間で協議が調わない場合、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所が、父又は母の請求により、その事項に係る親権の行使を父母の一方が単独で行うことができる旨を定めることができます(改正民法824条の2第3項)。

この申立は、家事事件手続法上の家事事件として運用されるものと見られており、家庭裁判所が当事者双方の意見を聴いた上で、子の利益の観点から判断します。子の年齢・意向にも配慮した審理が予定されます。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第824条の2第3項
複数の公開解説によると、条文は以下のとおりとされています。
「特定の事項に係る親権の行使について、父母間に協議が調わない場合であって、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、父又は母の請求により、当該事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定めることができる。」

家事審判の管轄(子の住所地ベース)は、お住まいの市町村により下記の支部となります。

市町村 管轄家庭裁判所
守谷市・取手市・龍ケ崎市・牛久市・利根町 水戸家裁 龍ケ崎支部
つくば市・つくばみらい市・土浦市 水戸家裁 土浦支部
柏市・流山市・松戸市・我孫子市・野田市 千葉家裁 松戸支部

※常総市など上記表に記載のない市町村にお住まいの場合は、お近くの家庭裁判所にお問い合わせください。

補足:緊急の医療判断など、家裁の判断を待っている時間がない場面では、改正民法824条の2第1項3号(子の利益のため急迫の事情があるとき)に基づき、父母の一方が単独で親権を行使することも可能です。
— 地域の実情から —

守谷市は子どもの人口増加率がつくばエクスプレス沿線で上位に位置し、15歳未満の人口比は茨城県内でも高水準にあります。つくばみらい市も宅地開発に伴い若年層の流入が続いており、未就学児・小学生を持つ家族が多く居住する地域です。

こうした新興住宅地においては、もともと地縁・親族のネットワークが薄く、核家族世帯の比率が高いという特徴があります。父母が別居した場合の意思疎通も、より制度的・形式的なやり取りに依存しやすくなります。共同親権下の「日常の行為」の範囲は、こうした地域では特に争点となりやすい部分です。

柏市・流山市など、千葉県北西部のTX沿線も同様の傾向にあります。記事を読んでいて自分のケースに具体的に当てはめにくい場合は、弁護士にご相談ください。

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守谷市・つくばみらい市・取手市・常総市・つくば市・柏市・流山市にお住まいで、共同親権下の子の養育について、何が「日常の行為」に該当し何が共同行使を要するのか、ご自身のケースで悩まれている方は、ぜひご相談ください。状況をお伺いした上で、ご家族にとっての具体的な選択肢をご説明します。

弁護士 吉津和輝
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。また、改正民法は令和8年4月1日に施行されたばかりであり、本記事に記載した各類型の整理は、現時点で示されている解釈・実務見解に基づくものです。確立した解釈とは限らず、今後の通達・運用・裁判例の蓄積により変動し得ます。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。
公開日:2026年5月28日 / 最終更新日:2026年5月28日