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パワハラのグレーゾーン|守谷市の弁護士吉津和輝

YOSHITSU LAW · COLUMN

パワハラのグレーゾーン
— 経営者・管理職が知る指導との線引きと事例

「これってパワハラ?」と迷ったときの考え方を、事例で整理します
弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属/2018年12月弁護士登録(登録から約7年)
主な取扱分野:企業法務(顧問・労務)、ハラスメント対応、労働問題、契約書
中小企業の経営者・管理職の方へ。明らかな暴力や暴言は「アウト」と分かります。経営の現場で本当に悩ましいのは、その手前にある「これは指導か、それともパワハラか」と判断に迷う場面——いわゆるグレーゾーンです。守谷・つくばみらい・つくばといったつくばエクスプレス沿線の事業者の方からも、こうしたお悩みをうかがう機会が増えています。本記事では、法律上のパワハラの定義をふまえ、厚生労働省が示す6つの行為類型ごとに、判断が分かれやすい具体例と裁判例を整理します。読み終えたとき、日々の指導の場面で立ち返れる「物差し」を持ち帰っていただければ幸いです。
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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
01 そもそも「パワハラ」は法律で定義されている

「パワハラ」という言葉は日常的に使われますが、その判断を感覚に頼ると、指導すべき場面でためらってしまったり、逆に行き過ぎた言動を「指導の範囲」と思い込んでしまったりします。グレーゾーンを考える出発点として、パワハラには法律上の定義があることを押さえておくことが大切です。

職場のパワーハラスメントについては、いわゆる「パワハラ防止法」(労働施策総合推進法)が事業主の義務を定めています。同法第30条の2第1項は、職場で行われる言動のうち、一定の要件を満たすものについて、事業主に防止のための措置を義務づけています。

【根拠】労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第30条の2第1項 「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」

この条文には、パワハラを構成する要素が織り込まれています。次のセクションで、この要素を「3つの要件」として分解して確認します。グレーゾーンとは、要するに、この3要件にあてはまるかどうかが微妙な言動のことを指します。

中小企業を含むすべての事業主に、パワハラ防止のための雇用管理上の措置が義務づけられています。「うちは小さい会社だから関係ない」という整理はできません。
02 グレーゾーンを分ける「3つの要件」

職場におけるパワハラは、次の3つの要素をすべて満たすものとされています。逆にいえば、1つでも満たさなければ、法律上のパワハラには当たらないと整理されます。グレーゾーンを判断するときに最初に立ち返るのが、この「3要件」です。

1
優越的な関係を背景とした言動
上司から部下など、抵抗や拒否がしにくい関係を背景とした言動
2
業務上必要かつ相当な範囲を超える
業務上明らかに不要、または程度が過剰な言動
3
就業環境が害される
就業に支障が生じる程度の身体的・精神的な苦痛が生じる
— 図1:パワハラの3要件(すべて満たす場合に該当) —

グレーゾーンの判断で、特にカギになるのが 2番目の「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」 です。注意・指導が業務改善という目的に出たもので、その方法も相当な範囲にとどまっていれば、この要件を満たさず、パワハラには当たりません。口調が多少厳しくても、それだけでパワハラと評価されるわけではないのです。

また、3番目の「就業環境が害される」かどうかは、注意指導を受けた本人がどう感じたかという主観だけで決まるものではなく、平均的な労働者の感じ方を基準に判断するのが適当とされています。本人が「不快だった」と述べたことだけをもって、直ちにパワハラと確定するわけではありません。

つまり、グレーゾーンの本質は「言葉そのもの」ではなく「その言動が、業務上どこまで必要で、方法として相当か」という点にあります。次のセクションでは、この物差しを、厚労省の6類型ごとの具体例にあてはめていきます。

03 6つの類型ごとに見るグレーゾーンの事例

厚生労働省は、過去の裁判例や個別の紛争事案をもとに、パワハラに該当し得る言動を6つの類型に整理しています。これは「典型例」を示すもので、ある行為がこの類型に形のうえで似ているからといって、直ちにパワハラと確定するわけではありません。前のセクションの3要件にあてはまるかどうかが判断の本体です。

以下では、6類型それぞれについて、経営の現場で「これは指導か、パワハラか」と判断に迷いやすいグレーゾーンの場面を取り上げ、考え方を整理します。

類型① 身体的な攻撃

殴る・蹴る・物を投げつけるといった暴力は、明確にパワハラに当たります。グレーゾーンになりやすいのは、本人に攻撃の意図がない「軽い接触」です。たとえば、ミスをした部下を激励するつもりで背中を叩く行為も、受け手が身体的苦痛を覚えた場合には、身体的な攻撃と評価される可能性があります。とくに、文化的背景の異なる外国人従業員にとっては、軽い肩叩きでも暴力と受け取られることがあります。

また、注意のために物を机に投げ出す、書類を投げて渡す、近くにある椅子を蹴るといった行為も、直接相手に当たっていなくても、威圧的な態度として問題になり得ます。指導の場面では、身体的な接触や物を使った威圧は避け、言葉で伝えることが基本です。

類型② 精神的な攻撃

経営の現場で最も判断に迷うのが、この類型です。ミスを注意すること自体は正当な指導ですが、それを大勢の前で長時間続けたり、「役立たず」「お前はダメな人間だ」といった人格を否定する言葉を用いたりすると、指導の範囲を超え、精神的な攻撃に当たり得ます。

「ばかやろう」「やる気がないなら帰れ」といった言葉も、それ単体で機械的にパワハラと判定されるわけではありません。同じ言葉でも、ふだんは親身に指導している上司が思わず口にした一言と、日頃から部下を攻撃する目的で発せられる一言とでは、評価が分かれ得ます。問題になりやすいのは、注意の「内容」ではなく「方法・場所・回数・言葉づかい」です。

部下から先に暴言を受けたとしても、上司が同じように暴言で言い返すことは、指導とは評価されにくく、精神的な攻撃と受け取られるおそれがあります。挑発に乗らず、冷静に注意指導の枠内にとどめることが大切です。

類型③ 人間関係からの切り離し

特定の社員を無視する、会議や連絡から外す、必要な情報や資料を意図的に渡さない、別室に隔離するといった行為が当たり得ます。グレーゾーンになりやすいのは、「業務上の必要性」があるかどうかです。

たとえば、中途採用や新卒の社員を、育成のために一定期間だけ別室で集中的に研修するのは、目的と期間に合理性があり、人間関係からの切り離しには当たりにくいと考えられます。一方で、必要性がないのに特定の社員だけを長期間隔離したり、トラブルを起こさせないようにと仕事に必要な情報をその社員にだけ与えなかったりすると、切り離しとして問題になり得ます。「配慮のつもり」で飲み会や打ち合わせから特定の人だけを継続的に外すことも、結果として孤立させてしまう場合があります。

類型④ 過大な要求

達成不可能なノルマを課す、本来の業務範囲を大きく超えた仕事を強要する、といった行為が当たり得ます。判断に迷いやすいのは、社員の育成のために「少し高いレベルの仕事」を任せる場面です。

部下を育てるために、現状より少し高いレベルの業務を任せること自体は、必要な指導です。しかし、十分な指導や教育を行わないまま、現状からあまりにもかけ離れた高度な業務を任せ、その結果、本人のキャパシティを超えて長時間労働が常態化するようなことになれば、過大な要求と評価され得ます。ノルマ未達を理由に退職や解雇をちらつかせて圧力をかけることも、精神的な攻撃と重なり、問題になりやすい場面です。

類型⑤ 過小な要求

能力や経験に見合わない単純作業ばかりを続けさせる、あるいは仕事をまったく与えない、といった行為が当たり得ます。退職に追い込む目的で、本来の担当業務から外して雑務だけをさせるようなケースは、過小な要求として問題になりやすい場面です。

一方で、本人の能力や状況に応じて、一時的に業務量を調整したり、簡単な業務から段階的に任せたりすることには、業務上の必要性が認められる場合があります。ここでも、目的が「育成・調整」なのか「追い込み」なのかが分かれ目になります。

類型⑥ 個の侵害

私的なことに過度に立ち入る行為が当たり得ます。交際相手の有無を執拗に聞く、個人の信条を本人の意に反して同僚の前で取り上げる、といった場面が典型です。

他方で、労働者への配慮を目的として、家族の状況や体調をヒアリングすること自体は、過度にわたらない範囲であれば必要なやり取りです。「立ち入る」のか「配慮する」のかは、目的と程度、そして本人の受け止めへの注意が分かれ目になります。

指導にとどまりやすい
業務改善が目的の注意
・ミスの事実と改善点を具体的に伝える
・原則として個室など落ち着いた場で行う
・改善のための方法やフォローを示す
・人格ではなく行動・結果に焦点を当てる
・目的・期間に合理性のある配置・研修
パワハラに当たり得る
攻撃・見せしめが混じる叱責
・大勢の前で長時間つるし上げる
・人格や能力そのものを否定する
・退職をちらつかせて追い詰める
・物を投げる、椅子を蹴るなど威圧する
・必要性なく隔離し情報を与えない
— 図2:同じ「注意」でも、目的と方法によって評価が分かれる —
04 裁判例に見る「指導」と「違法な叱責」の分かれ目

グレーゾーンが実際に争われたとき、裁判所がどのように判断したのかを知ることは、線引きの感覚をつかむうえで役立ちます。ここでは、公表されている裁判例を2件取り上げます。

指導の範囲内とされた例:前田道路事件

前田道路事件(高松高判平成21年4月23日 労判990号134頁)は、不正経理を1年以上是正しなかった部下に対し、上司が厳しい叱責を行った事案です。控訴審は、繰り返し是正を求めても改善がみられなかった経緯を重くみて、ある程度厳しい改善指導をすることは上司のなすべき正当な業務の範囲内であるとして、違法性を否定しました。同じ事案の第一審(松山地判平成20年7月1日 労判968号37頁)とは結論が分かれており、叱責に至る経緯の評価が判断を分けたと指摘されています。

この事案からは、「指導の必要性・経緯」が認められる場面では、厳しい指導も正当な業務の範囲内と評価され得ることが読み取れます。

違法とされた例:ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件

他方、ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件(東京高判平成25年2月27日)では、上司が部下の留守番電話に危害を示すような言葉や、退職を迫る言葉を残した言動などについて、迷惑行為にとどまらず違法であると判断され、慰謝料の支払いが命じられました。指導の経緯があったとしても、人格を否定したり危害を示したりするような言葉は、指導の範囲を逸脱しやすいといえます。

指導の必要性
改善されない問題行動など、注意すべき事情があるか
方法の相当性
場所・回数・言葉づかいが過剰になっていないか
人格への攻撃
人格否定や危害を示す言葉が混じっていないか
— 図3:裁判例から読み取れる3つの着眼点 —
05 グレーゾーンを安全側に運ぶための実務ポイント

グレーゾーンの判断は、最終的には個別の事案ごとの判断になります。とはいえ、日々の指導や社内体制において意識しておけることはあります。経営の現場で取り入れやすい観点を整理します。

① 注意指導は「行動・結果」に焦点を当てる。「なぜミスをしたのか」「次にどう改善するか」を、人格ではなく具体的な行動の話として伝えます。「お前は」で始まる言い方より、「この作業の、この部分を」で始まる言い方を意識します。

② 場所と時間に配慮する。注意指導は、原則として個室など落ち着いた場で行います。大勢の前での叱責や、長時間の拘束は、それ自体がパワハラと評価されるリスクを高めます。

③ 指導の経緯を記録に残す。いつ、どのような問題があり、どう注意し、その後どうなったか。記録があれば、後に「指導の必要性」を説明しやすくなります。改善がみられない場合は、口頭注意の記録化や、就業規則に基づく正式な手続きの検討が考えられます。記録の具体的な残し方は、問題社員に退職勧奨をするときの面談記録の残し方もあわせてご参照ください。

④ 相談窓口を整備し、社員に周知する。事業主には、相談に応じ適切に対応するための体制整備が義務づけられています(第30条の2第1項)。窓口を設け、社員に知らせておくことが出発点です。

⑤ 指摘を受けたら放置しない。「それパワハラです」と言われたとき、一方的に流すのではなく、当事者双方から事実を聴いて記録します。相談したこと自体を理由に不利益な取扱いをすることは、法律上禁止されています。

よくあるご質問(Q&A)

Q パワハラのグレーゾーンとは何ですか?
A
結論として、グレーゾーンとは、パワハラに当たるかどうかの判断が難しい言動を指します。明確な暴力・暴言の手前にある、判断が微妙な領域です。

法律上のパワハラは、(1)優越的な関係を背景とした言動、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、(3)労働者の就業環境が害されるもの、という3要件をすべて満たすものです。多くの注意・指導の場面は、要件(2)を満たすかどうかが微妙で、そこがグレーゾーンと呼ばれます。

グレーゾーンだからといって見過ごしてよいわけではありません。話し合いで収まらず裁判に至る場合もあるため、判断に迷う場面は、社内のルールづくりや相談体制で備えておくことが大切です。

Q 厳しく叱ったらパワハラになりますか?指導はしてはいけないのですか?
A
結論として、厳しい指導が直ちにパワハラになるわけではありません。業務改善のために必要で、方法も相当な範囲にとどまる注意・指導は、口調が厳しくてもパワハラには当たらないと整理されています。

業務改善目的で必要な範囲の指導は、要件(2)「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」を満たさないため、パワハラには該当しません。

「パワハラと言われたくないから指導しない」という対応は、職場の安全や品質を損ない、かえって本人の成長機会も奪います。問題は指導するかどうかではなく、指導の方法を相当な範囲にとどめられるかどうかです。

Q グレーゾーンかどうかは何で判断されますか?
A
結論として、言動の表面ではなく、その目的・経緯・態様を総合して判断されます。同じ言葉でも、業務改善が目的か、攻撃が目的かで評価は変わります。

注意指導では、(1)その言動が業務上の必要性に基づくものか、(2)注意の場所・時間・回数が相当か、(3)人格や名誉感情を傷つける言葉を使っていないか、といった要素が重視されます。

迷ったときは「業務上、本当に必要な言い方か」「この場所・回数で適切か」を自問することが、ひとつの目安になります。

Q 居眠りやスマホ操作をしている社員を強く注意するのはパワハラですか?
A
結論として、勤務態度を改めるよう注意・指導すること自体は正当な業務であり、行うことができます。問題になりやすいのは方法です。

就業中の居眠りやスマートフォンの私的操作は、勤務態度の問題であり、これを注意し、改善を求めることは正当な業務です。

一方で、態度を正させる目的であっても、物を投げつけたり、座っている椅子を蹴ったりするような、身体に危害が及び得る行為や、人前での侮辱は、注意指導の範囲を超え、パワハラに当たり得ます。「注意は言葉で、落ち着いた場で」を基本とし、行為がエスカレートしないよう留意することが大切です。

Q ノルマ未達の社員に「達成できなければ辞めてもらう」と言うのはパワハラですか?
A
結論として、退職や解雇を引き合いに出して心理的に追い詰める言動は、精神的な攻撃としてパワハラに当たり得ます。

目標管理や営業成績の指導それ自体は、会社の正当な活動です。しかし、達成不可能な過大なノルマを課したり、目標未達を理由に退職や解雇をちらつかせて圧力をかけたりすると、業務上必要かつ相当な範囲を超えると評価される場合があります。多数の前での見せしめのような叱責は、攻撃の要素が強いとみられやすくなります。

目標が未達の社員に対しては、結果だけを責めるのではなく、未達の原因を一緒に確認し、達成に向けた具体的な方法を示すフォローが求められます。

Q 問題のある社員と距離を置き、別室で仕事をさせるのはパワハラですか?
A
結論として、業務上の必要性に基づく配置であればパワハラには当たりませんが、必要性がないのに特定の社員だけを隔離・無視することは、人間関係からの切り離しに当たり得ます。

中途採用や新卒の社員を、育成のために一定期間だけ別室で集中的に研修するなど、目的と期間に合理性のある別室指導は、人間関係からの切り離しには当たりにくいと考えられます。

一方で、必要性がないのに特定の社員だけを長期間隔離したり、無視したり、仕事に必要な情報や資料をその社員にだけ与えなかったりすると、切り離しとして問題になり得ます。「配慮のつもり」で打ち合わせから特定の人だけを継続的に外すことも、結果として孤立させてしまう場合があるため注意が必要です。

Q 「それパワハラです」と社員に言われたら、会社はどう対応すればよいですか?
A
結論として、まず事実関係を確認し、相談に応じる体制で対応することが基本です。指摘を放置せず、当事者双方から聴取して記録することが重要です。

事業主には、パワハラに関して労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じる義務があります(労働施策総合推進法第30条の2第1項)。社員から指摘を受けたときは、「気にしすぎだ」と一方的に流すのではなく、何があったのかを確認する姿勢が求められます。

具体的には、指摘した社員と、指摘された側の双方から事実関係を聴取し、いつ・どこで・どのような言動があったのかを記録します。事実が固まらないうちに結論を出したり、相談したこと自体を理由に不利益な取扱いをしたりしないよう注意が必要です。

Q パワハラ防止法に違反すると会社に罰則がありますか?
A
結論として、パワハラ防止法の措置義務違反それ自体に罰金などの刑事罰は定められていません。ただし、勧告に従わない場合は会社名等が公表される場面があります。

厚生労働大臣は、法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して助言・指導・勧告をすることができます。さらに、措置義務に違反している事業主が勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができるとされています。

【根拠】労働施策総合推進法 第33条第1項・第2項(抜粋) 第1項「厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる。」/第2項は、措置義務違反の事業主が勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる旨を定めています。

罰則がないことと、対応しなくてよいことは別です。措置を怠った結果としてハラスメントが生じれば、会社が民事上の損害賠償責任を問われる場面もあります。

07 守谷・TX沿線の事業者の方へ

守谷市・つくばみらい市・つくば市をはじめとするつくばエクスプレス沿線は、物流倉庫・建設・製造業などの中小企業が数多く立地し、近年も事業所が増えています。こうした現場では、人手不足のなかで一人ひとりの社員をしっかり育てることが、そのまま事業の生命線になっています。だからこそ、「指導したいのに、パワハラと言われるのが怖くて踏み込めない」というジレンマは、経営に直接響く問題です。

パワハラのグレーゾーンの判断は、最終的には個別の事案ごとの判断になりますが、本記事でみた3要件・6類型・裁判例の着眼点を物差しとして持っておくことで、日々の指導の場面で「この言い方は業務上必要な範囲か」を立ち止まって考えられるようになります。あわせて、相談窓口の整備や就業規則の見直しといった「予防」の備えを進めておくことが、トラブルを大きくしないために有効です。

当職は、企業の労務トラブルやハラスメント対応のご相談をお受けしています。「これは指導の範囲か」「社員からパワハラと指摘された」といった個別のご相談から、就業規則の見直し・相談体制の整備まで、状況をうかがったうえでご説明します。継続的なサポートをご希望の場合は、顧問契約もご利用いただけます。

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参考資料・情報源

e-Gov法令検索|労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(デジタル庁)
あかるい職場応援団(厚生労働省)——パワハラの定義・6類型・裁判例の解説
・前田道路事件(松山地判平成20年7月1日 労判968号37頁/高松高判平成21年4月23日 労判990号134頁)
・ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件(東京高判平成25年2月27日)

更新履歴

2026年5月17日:記事を公開しました。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)5月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年5月17日|最終更新日:2026年5月17日