学習塾・習い事教室に顧問弁護士は必要か — 特商法・消費者契約法・講師労務
学習塾・習い事教室の経営者の方へ。「個人経営の小さな教室に顧問弁護士なんて大げさではないか」と感じる方も多いと思います。一方で学習塾・習い事教室は、特定商取引法・消費者契約法・労働法が重なる業態であり、小規模でも継続的に法令対応が必要な場面があります。守谷・取手・つくばみらい・柏エリアはTX沿線を中心にファミリー層が多く、個別指導塾・英会話・ピアノ・そろばん・プログラミング教室が多数集積しています。本記事では、弁護士の立場から、どんな場面で顧問弁護士に相談する価値があるかを率直に整理します。なお、「自分の教室に顧問契約そのものが必要かどうか」の判断軸については、別記事学習塾・習い事教室に顧問弁護士は本当に必要か — 個人経営・小規模教室の判断基準をあわせてご参照ください。
- 学習塾・習い事教室で顧問弁護士に相談する場面
- 入会規約はネットの雛形で作ってしまってよいか
- 特定商取引法の書面交付義務は小さな教室にも関係あるか
- 中途解約・返金の違約金はいくらまで請求できるか
- ピアノ・スイミング等の習い事教室も特商法の対象か
- 講師(アルバイト含む)の労務管理で相談が多い論点
- 保護者からのクレーム・モンスターペアレント対応
② 中途解約・返金トラブルへの対応
③ 月謝滞納への督促・契約解除
④ モンスターペアレント・保護者カスハラへの対応
⑤ 講師個人へのSNS誹謗中傷対応
⑥ 生徒のけが・事故対応、安全配慮義務
⑦ 講師・アルバイトの労務管理(雇用契約・業務委託契約・残業代)
⑧ 生徒情報の個人情報保護法対応
⑨ フランチャイズ契約(大手FC加盟教室の場合)
⑩ 多教室展開時の本部・教室間ルール整備
「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」
・「理由の如何を問わず返金しない」(特商法第49条・消費者契約法第9条に抵触する場面あり)
・高額な違約金条項(特商法第49条2項の上限規制・消費者契約法第9条に抵触する場面あり)
・「契約期間内は月謝全額支払義務」(特定継続的役務提供に該当する場合、特商法に抵触する場面あり)
・「教室側の判断で一方的に契約解除できる」(合理性を欠く場合、消費者契約法第10条違反の可能性)
「特定継続的役務提供」とは、特定継続的役務を「政令で定める期間を超える期間」にわたり提供することを約し、「政令で定める金額を超える金銭」を支払うことを約する契約を締結して行う役務の提供をいうと規定されています。
※ 学習塾の場合、政令で定める期間は2か月、金額は5万円です(特定商取引に関する法律施行令別表第4)。
役務提供事業者は、特定継続的役務提供契約を締結しようとするときに概要書面、契約を締結したときに遅滞なく契約書面を交付しなければなりません。
| 判断要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象業種 | 学習塾、家庭教師、語学教室、パソコン教室など政令指定7業種 |
| 「学習塾」の定義 | 学校(幼稚園・大学を除く)の入試対策または補習のための学力の教授で、事業者の事業所等で提供されるもの |
| 除外されるもの | 幼稚園・小学校の「お受験」対策、浪人生のみを対象としたコース |
| 期間要件 | 契約期間が2か月を超えるもの |
| 金額要件 | 契約総額(授業料+入会金+教材費+施設利用料等)が5万円を超えるもの |
中途解約に伴い事業者が請求し得る損害賠償額・違約金の上限を定めています。具体的な金額は同法施行令に委任されています。
| 解約時期 | 事業者が請求できる上限額 |
|---|---|
| 役務提供開始前 | 11,000円 |
| 役務提供開始後 | 既に提供した授業料相当額+「20,000円 又は 1か月分の授業料相当額のいずれか低い額」 |
| 業種 | 特商法(特定継続的役務)の適用 |
|---|---|
| 学習塾(入試対策・補習) | 適用あり(期間2か月超・金額5万円超の場合) |
| 家庭教師 | 適用あり(同上) |
| 語学教室(英会話等) | 適用あり(同上) |
| パソコン教室 | 適用あり(同上) |
| ピアノ・音楽教室 | 特商法の特定継続的役務としては適用なし |
| スイミング・体操・武道 | 同上 |
| そろばん・書道 | 同上 |
| プログラミング教室 | パソコン操作の技術と一体不可分でない限り、特定継続的役務には該当しないとされています(経済産業省の見解) |
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならないとされ、労働時間の定義と上限が規定されています。授業準備時間が使用者の指揮命令下にあれば労働時間に含まれます。
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。違反時は罰則の対象となる場面があります。
② コマ給の最低賃金換算:茨城県の最低賃金は毎年10月に改定されるため、コマ給を時間換算した額が最低賃金を下回っていないかの継続的な確認が必要です
③ 業務委託か雇用か:形式上は業務委託契約でも、実態として指揮命令下で勤務していれば労働者性が認められて労働法が適用されます(いわゆる偽装請負・労働者性の問題)
④ 退職時のトラブル:引き留め、未払い残業代請求、貸与物返却、守秘義務違反の主張
⑤ 独立・引き抜き:退職した講師が近隣で同業教室を開業し、生徒を引き抜いたケースへの対応(競業避止義務条項の有効性は限定的)
② 長時間の電話・面談による拘束(深夜・休日含む)
③ SNS・口コミサイトでの教室・講師個人への誹謗中傷
④ 他の保護者・生徒の悪評を流布する行為
⑤ 退塾後の執拗な連絡・訪問
⑥ 生徒間トラブルを理由とした過度な責任追及
TX(つくばエクスプレス)沿線の守谷・つくばみらい・柏たなか・柏の葉エリアは、都内勤務の共働き世帯が多く、小学校高学年から中学受験・高校受験を見据えた個別指導塾・進学塾の需要が高い地域です。また、ピアノ・スイミング・プログラミング・英会話など、未就学児から小学生向けの習い事教室も多数集積しています。TX沿線エリアは世帯年収が比較的高く、習い事への支出額が大きい一方で、保護者からのサービス要求水準も高い傾向があり、中途解約・返金対応や成績保証への要求について相談をお受けする場面があります。
入会規約の整備、中途解約・返金対応、講師労務、保護者トラブルなど、学習塾・習い事教室の法務についてお困りの方は、お気軽にご相談ください。状況をお聞きした上で、顧問契約・スポット相談・書面整備のいずれが適しているかを含めてご説明します。
📞 050-3623-1320
・学習塾・習い事教室—
顧問契約の法的性質と判断基準(顧問契約の法的性質、他士業との業務範囲の違い、顧問とスポットの選び方の解説)
・学習塾・習い事のカスハラ対応 —
モンスターペアレント・退会返金・SNS誹謗中傷(保護者トラブル・返金トラブルの具体的な進め方)
守谷市・取手市・常総市・つくばみらい市・龍ケ崎市・牛久市・つくば市・土浦市・野田市・我孫子市・北柏をはじめ、茨城県南部・千葉県北西部の学習塾・個別指導塾・英会話教室・ピアノ教室・そろばん教室・スイミングスクール・体操教室・プログラミング教室・武道教室等の経営者の方からの顧問契約・教室運営法務に関するご相談もお受けしています。弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)までお気軽にどうぞ。
・e-Gov法令検索(デジタル庁)
・特定継続的役務提供(特定商取引法ガイド)(消費者庁)
・特定継続的役務提供Q&A(消費者庁)
・消費者契約法関連情報(消費者庁)
・カスタマーハラスメント対策関連情報(厚生労働省)
- 令和8年(2026年)4月18日:初版公開。「顧問契約の必要性」については別記事に分割
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)4月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年4月18日|最終更新日:2026年4月18日
