ダブル不倫で離婚に至った場合の金銭的インパクト
W不倫(ダブル不倫)で離婚に至った場合の
金銭的インパクト
ダブル不倫が発覚し、離婚にまで発展した場合、当事者は慰謝料の問題だけを考えれば済むわけではありません。婚姻費用、養育費、財産分与、住宅ローンの扱い、そして支払いが滞った場合の強制執行まで、複数の論点が同時に動きます。本記事では、いわゆるバレた側の視点から、金銭面で何が発生するのか、全体像を整理します。守谷市・取手市・つくばみらい市・柏市など、つくばエクスプレス沿線の共働き世帯を想定したモデルケースで具体的に見ていきます。
金額以上に、「登場人物が4人で、請求・被請求の関係が複雑に絡み合う」という構造的な違いがあります。
慰謝料請求 ② 不倫相手の配偶者 → 自分・不倫相手 へ
4人の登場人物の間で、慰謝料請求と求償権が交差する。自分と不倫相手は共同不法行為者として連帯債務を負い、一方が支払えば他方に求償できる関係になる。
自分と不倫相手は、共同で相手方配偶者に対して不法行為を行ったことになり、民法719条により連帯して損害賠償責任を負います。
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
例えば、相手方配偶者からの請求に対して自分が300万円全額を支払った場合、自分は不倫相手に対してその負担部分を求償できる可能性があります。逆に、自分の配偶者が不倫相手に請求し、不倫相手が支払った後、不倫相手から自分に対して求償されるというルートもありえます。ダブル不倫では「相手と合意して一安心」と思っても、不貞相手からあとになって求償の話が回ってくる可能性があるため、合意書を作成する際には、求償権の取り扱い(放棄するのか、留保するのか)を明記しておくことが重要です。
離婚にまで発展するダブル不倫のケースでは、慰謝料の相場は概ね以下のようになります。
※金額は個別事情(婚姻期間、不貞の期間・態様、子の有無、双方の収入、離婚に至ったか否か等)により大きく変動します。上記はあくまで目安です。場合によっては500万円を超える慰謝料が認められるケースもあります。なお、不倫相手の配偶者への慰謝料は、不倫相手との共同不法行為による連帯債務となり、求償権の問題が伴います。
※こちらが慰謝料を支払った場合、責任割合によって相手方に求償できる場合があります(もっとも、相手が資力を有していない場合、回収が難しい場合があります。)
そして重要なのは、慰謝料は原則として一括払いである、という点です。分割払いは相手方が同意した場合の例外的な処理に過ぎず、相手方は通常「分割=払ってもらえないリスク」を嫌うため、最初から気軽に応じるものではありません。訴訟で判決が出た場合も、原則として一括での支払いが前提となります。
はい。別居後は、収入の多い側が少ない側に婚姻費用を支払う義務があります(民法760条)。また、離婚後は民法766条により、子の監護に要する費用(養育費)を分担することになります。
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
具体的にイメージするため、守谷・柏エリアの共働き世帯を想定したモデルケースで計算してみます。
(自分側)
※婚姻費用は裁判所の算定表に基づく目安であり、表の中でも一定の幅があります。実際の金額は、夫婦双方の収入実態、住宅ローンの有無、子の教育費、住居の状況など個別事情により上下します。手取り額も家族構成・各種控除・社会保険料等により変動します。本表は年間手取りを12分割した平均値として示したあくまで一例で、実際のキャッシュフローは月給月と賞与月で大きく異なります。
月額の家計(一例ですが)は上記のとおりですが、これとは別に、前述の慰謝料を原則一括で準備する必要があります。月々のやりくりとは別枠で、慰謝料をどこから捻出するかも、別途検討が必要な重要な論点です。
上記の例では離婚後は婚姻費用が養育費(算定表上は月6〜8万円程度の幅があります)に切り替わるため、月々の負担は多少楽になります。
なお、上記は一例であり、実際の婚姻費用や養育費は互いの収入や子供の数等によって異なります。
離婚する場合は財産分与の問題も並行して発生します。財産分与は民法768条に定めがあり、2024年の民法改正で「2分の1ルール」が条文上も明文化されました。
前項の場合には、家庭裁判所は、離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。この場合において、婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は、その程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。
この「相等しいものとする」というのが、いわゆる2分の1ルールです。夫婦が婚姻中に協力して形成した財産は、名義を問わず合算し、原則として2分の1ずつに分けます。預金、退職金の婚姻期間相当分、不動産の持分、自動車、生命保険の解約返戻金などが主な対象となります。
先ほどの前提に、夫婦の共有財産を加えてみます。
※上記は夫婦の共有財産のみを対象とした簡略例です。婚姻前から保有していた財産、相続や贈与で得た財産は「特有財産」として原則分与対象外となるため、実際の計算ではこれらの切り分けが必要です。また、住宅ローン等の負債も考慮されるケースがございます。
つまり、上記の例だと、名義上1200万円を持っていた自分は、離婚により450万円を配偶者側に渡し、手元に残る財産は750万円となります。ここに上記の例の慰謝料200〜600万円の一括払いが加わると、手元に残る額は150〜550万円程度になります。
合意書・公正証書・判決等で金額が確定したのに支払わずに放置すると、最終手段として強制執行(差押え)に進むことがあります。
給与差押えの範囲 — 慰謝料の場合
慰謝料のような通常の金銭債権の場合、給与のうち差し押さえられる範囲は民事執行法152条1項で次のように定められています。
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
つまり、原則として手取り給与の4分の1までが差押え可能です。手取りが一定額を超える場合、民事執行法施行令2条により政令で定める額(月払の給料の場合は33万円)を超える部分は全額差押えが可能になります。また、賞与(ボーナス)も差押えの対象となります。
給与差押えの範囲 — 養育費・婚姻費用の場合
養育費や婚姻費用などの扶養義務等に係る定期金債権については、差押禁止の範囲が狭まります。
債権者が第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする定期金債権に限る。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。
つまり、養育費等については手取り給与の2分の1まで差押えが可能になります。さらに養育費等については、民事執行法151条の2により期限未到来分についてもまとめて差押えが可能とされているため、一度申立てがあれば将来分も含めて継続的に差押えが続きます。
養育費債権の「先取特権」— 令和8年4月1日施行の新制度
養育費は民法改正により先取特権が付与されるケースがあります。
この改正により、ダブル不倫で離婚した場合、自分の配偶者は「私文書の合意書」だけを持って、いきなり自分の給与を差し押さえに来ることができるようになりました。2026年3月以前の感覚で「とりあえず口約束で先送り」と考えている方は、改正後のルールを前提に考え直す必要があります。
勤務先の経理担当者には手続の内容が伝わる
給与差押えの手続では、勤務先が「第三債務者」となり、裁判所から勤務先に差押命令正本が送達されます。送達を受けるのは通常、経理・総務の担当者です。会社全体に広まらなかったとしても、少なくとも経理担当者には手続の内容が把握されることになります。中小企業では経理と総務・人事を同一担当者が兼ねていることもあり、この点は事前に知っておく必要があります。
これまで見てきた論点を整理すると、ダブル不倫で離婚に至った場合に発生する金銭的負担は、大きく分けて以下のようになります。
一時的な支出(原則一括)
・慰謝料:200〜600万円程度(自分の配偶者へ100〜300万円+不倫相手の配偶者へ100〜300万円。後者は不倫相手との連帯債務)なお、金額は事案によって異なり、目安を超えることもあります。
・財産分与の調整額:夫婦の共有財産の総額と名義バランスによる(モデルケースでは450万円)
継続的な支出
・別居中:婚姻費用(算定表の範囲、モデルケースでは月12〜14万円)
・離婚後:養育費(モデルケースでは月6〜8万円)
これらが同時に動きます。モデルケースでは、財産の名義上1200万円あった自分が、離婚直後に慰謝料と財産分与で合計650〜1050万円を一時的に流出させる計算になり、手元には150〜550万円程度が残る形です。これに加えて、月々の婚姻費用・養育費の継続負担が続きます。
ここで重要なのは、これらの論点は相互に絡み合っているという点です。例えば、慰謝料の示談金額を先に決めてしまうと、その後の婚姻費用・養育費の支払い能力に影響し、結果として強制執行のリスクが高まる、という連鎖が起こります。逆に、全体像を把握したうえで順序を設計すれば、個別に処理するよりも負担を調整できる余地があります。
ダブル不倫で離婚に至りそうな段階で最も重要なのは、個別の論点を切り離さず、全体像を一度整理することです。弁護士に相談する際にも、「慰謝料だけ」「財産分与だけ」ではなく、全部の論点を並べて相談することをお勧めします。
ダブル不倫で離婚に発展した場合の金銭的論点は多岐にわたり、順序を誤ると後から取り返しのつかない結果になることがあります。守谷市・取手市・つくばみらい市・龍ケ崎市・我孫子市・柏市など、茨城県南部〜千葉県北西部にお住まいの方で、ダブル不倫の慰謝料・婚姻費用・財産分与・住宅ローン等の論点でお困りの場合は、状況をお聞きしたうえで全体像を整理してご説明します。まずはお気軽にご連絡ください。
📞 050-3623-1320
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)4月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
