企業法務のブログ
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2026/04/07
企業法務・企業が知らないと危険なチェック義務と2027年の厳罰化。不法就労助長罪とは?・弁護士吉津和輝
企業法務
企業法務・企業が知らないと危険なチェック義務と2027年の厳罰化。不法就労助長罪とは?
弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)市川法律事務所に所属する弁護士です。
外国人を雇用する際、在留資格の確認を怠ると「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。この罪は、故意がなくても在留資格を確認しなかったなどの注意義務違反がある場合には「知らなかった」では免責されない点が重要です。2024年6月21日に公布された改正入管法(令和6年法律第60号)により、2027年4月1日から罰則が引き上げられます。企業担当者が知っておくべきポイントを解説します。
Q不法就労助長罪とはどのような犯罪ですか?
A
不法就労助長罪とは、外国人に不法就労をさせたり、不法就労をあっせんしたりする行為を処罰する犯罪です(出入国管理及び難民認定法第73条の2)。
具体的には以下の行為が該当します。
具体的には以下の行為が該当します。
- 不法就労させる行為:事業活動に関し、在留資格のない外国人や就労が認められていない外国人を雇用・就労させること
- 支配下に置く行為:不法就労させる目的で外国人を自己の支配下に置くこと(宿舎の提供・パスポートの預かり等を含む)
- あっせん行為:業として、外国人に不法就労させる行為またはこれに関するあっせんをすること(ブローカー・派遣会社等)
【根拠】出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第73条の2第1項:「次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者 二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者 三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者」
Q知らなかった場合でも罪に問われることがありますか?
A
故意がなくても、在留資格を確認しなかったなどの注意義務違反がある場合には、「知らなかった」では免責されません(入管法第73条の2第2項)。
注意義務違反があると評価される具体的なケースとしては以下が考えられます。
注意義務違反があると評価される具体的なケースとしては以下が考えられます。
- 在留カードやパスポートを確認せずに採用した
- 留学生のアルバイト可否(資格外活動許可の有無)を確認しなかった
- 在留資格の種類は確認したが、就労可能な業務内容まで確認しなかった
- 在留カードを確認したが、有効期限が切れていた
免責されるためには、公的な書類(在留カード等)を確認し、その真偽についても可能な限りの注意を払ったことを主張・立証していくことになります。出入国在留管理庁提供の公式読取アプリの使用は、注意義務を尽くしたことを示す実務上有力な判断要素の一つとされています。採用時の確認記録を残しておくことが重要です。
【根拠】出入国管理及び難民認定法第73条の2第2項:「前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。」
Q罰則はどのくらいですか?今後の改正でどう変わりますか?
A
| 刑罰内容 | 改正前(現行) | 改正後(2027年4月1日〜) |
|---|---|---|
| 個人に対する拘禁刑の上限 | 3年以下 | 5年以下 |
| 個人に対する罰金刑の上限 | 300万円以下 | 500万円以下 |
| 拘禁刑と罰金刑の併科 | 可能 | 可能 |
上限の引上げにより、従前より重い処分が選択される可能性があります。改正入管法(令和6年法律第60号)および出入国在留管理庁の公表資料に基づく情報です。施行日は2027年4月1日です(2025年9月に政令が公布されています)。
⚠️ 両罰規定(入管法第76条の2)により、実際に違反行為をした従業員・担当者個人だけでなく、その法人(会社)にも罰金刑が科される可能性があります。刑事処分以外にも社会的信用の失墜・取引先への影響・技能実習・特定技能(2027年4月1日施行後は育成就労・特定技能)の受入れ停止(5年間)等の影響が生じます。
Q「不法就労」に当たる具体的なケースはどのようなものですか?
A
不法就労には以下のような類型があります。
| 類型 | 具体例 |
|---|---|
| 在留資格なしの就労 | 不法残留(オーバーステイ)の外国人を雇用する |
| 資格外活動(許可なし) | 「留学」ビザの学生が資格外活動許可を取らずにアルバイトをする/させる |
| 資格外活動(時間超過) | 留学生が資格外活動許可の範囲(週28時間以内)を超えて就労する/させる |
| 在留資格の範囲外の業務 | 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人に、許可された業務と無関係な単純作業をさせる |
| 育成就労(旧技能実習)の範囲外 | 技能実習生に実習計画にない業務をさせる(2027年4月1日施行後は育成就労計画外の業務が対象) |
在留資格の種類だけでなく、許可された業務内容・就労時間についても確認が必要です。在留カードに記載された在留資格の名称だけを確認しても十分ではありません。
Q摘発・逮捕された場合、どのような手続きになりますか?
A
不法就労助長罪で摘発された場合、警察または出入国在留管理庁による調査・捜査が行われ、逮捕・送検・起訴という刑事手続きの流れになります。
逮捕後は原則として48時間以内に検察官に送致され、その後検察官が24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。勾留請求がなされると最大20日間の身体拘束が続く場合があります。起訴された場合は刑事裁判となります。
法人・個人事業主の場合は、担当者個人への刑事処分に加えて法人への両罰規定の適用、行政処分(技能実習・特定技能の受入れ停止等。2027年4月1日施行後は育成就労・特定技能)が同時に問題となります。
逮捕後は原則として48時間以内に検察官に送致され、その後検察官が24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。勾留請求がなされると最大20日間の身体拘束が続く場合があります。起訴された場合は刑事裁判となります。
法人・個人事業主の場合は、担当者個人への刑事処分に加えて法人への両罰規定の適用、行政処分(技能実習・特定技能の受入れ停止等。2027年4月1日施行後は育成就労・特定技能)が同時に問題となります。
⚠️ 捜索差押え等の令状が執行された場合、事業活動に大きな支障が生じます。また、経営者が逮捕・勾留される可能性もあり、企業の信用にも重大な影響が及ぶリスクがあります。逮捕に至るリスクのある犯罪であるため、日頃から在留資格の確認体制を整備しておくことが重要です。
Q企業として日頃からどのような対策をとればよいですか?
A
以下の対策を講じることで、注意義務を尽くしたと評価される可能性が高まります。
- 在留カード表面の「就労制限の有無」欄を確認する:「就労制限なし」であれば就労内容に制限はありません。「就労不可」の場合は原則雇用できませんが、裏面の資格外活動許可欄も確認してください。
- 在留カード裏面の「資格外活動許可」欄を確認する:「就労不可」の方でも、裏面に「許可(原則週28時間以内)」等の記載があれば一定範囲で就労できます。
- 在留カードの真偽を確認する:出入国在留管理庁提供の「在留カード等読取アプリケーション」または「在留カード等番号失効情報照会」(いずれも無料)を活用し、在留カードが有効かどうかを確認する。
- 資格外活動許可の就労時間を管理する:留学生等の資格外活動許可がある場合の就労時間は週28時間以内(学校の長期休業期間中は週40時間以内)に管理する。
- 在留期限の更新状況を定期確認する:雇用継続中も定期的に在留カードの有効期限を確認する。
- 仮放免者の雇用に注意する:仮放免は在留許可ではなく、原則として就労できず、許可条件により制限されています。仮放免許可書に「職業又は報酬を受ける活動に従事できない」と条件が付されている場合は雇用できません。
- 確認の記録を残す:確認した日時・担当者・確認書類の記録を保管しておく。
外国人労働者を雇用・離職させた場合は、ハローワーク(公共職業安定所)への届出義務もあります(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第28条)。届出を怠った場合は30万円以下の罰金の対象となります。
「外国人従業員の在留資格に問題があることが判明した」「不法就労助長罪で捜査を受けている」「外国人雇用のコンプライアンス体制を整備したい」など、刑事事件・企業法務に関するご相談はお気軽にどうぞ。初回相談で状況と対応方針をご説明します。
弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属
📧 [email protected]
📞 050-3623-1320
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対応エリア
茨城県全域(水戸市・日立市・土浦市・古河市・石岡市・結城市・龍ケ崎市・下妻市・常総市・常陸太田市・高萩市・北茨城市・笠間市・取手市・牛久市・つくば市・ひたちなか市・鹿嶋市・潮来市・守谷市・常陸大宮市・那珂市・筑西市・坂東市・稲敷市・かすみがうら市・桜川市・神栖市・行方市・鉾田市・つくばみらい市・小美玉市)および千葉県北西部(野田市・我孫子市・北柏)の方からの外国人雇用・不法就労助長罪に関するご相談もお受けしています。不法就労助長罪・入管法違反に関するご相談は弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)までお気軽にどうぞ。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は2026年4月時点の情報に基づいています。入管法の規定は今後変更される可能性があります。
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