離婚・男女問題のブログ
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2026/04/04
独身偽装で交際・性的関係を持たされた場合に慰謝料は請求できるか 貞操権侵害の要件と法的リスク・弁護士吉津和輝
近年、マッチングアプリの普及を背景にこうしたトラブルが増加しています。今回は独身偽装をテーマに解説をします。
離婚・男女問題
独身偽装で交際・性的関係を持たされた場合に慰謝料は請求できるか
貞操権侵害の要件と法的リスク
弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)市川法律事務所に所属する弁護士です。
マッチングアプリや婚活パーティで出会った相手が、実は既婚者だったと後からわかった——こうしたケースで「貞操権侵害」として慰謝料を請求できる場合があります。一方、請求する側にも法的リスクが生じることがあります。被害に遭った場合に知っておくべき法律上のポイントを解説します。
Q「貞操権」とは何ですか?
A
貞操権とは、誰と性的関係を持つかを自らの意思で決める権利をいい、性的自己決定権の一種として位置づけられています。相手が重要な事実(婚姻していること等)を隠して性的関係に及んだ場合、被害者はその判断の機会を奪われたことになり、貞操権の侵害が成立することがあります。
最高裁判所も、女性の男性に対する貞操等の侵害を理由とする慰謝料請求は許容されるべきであると判示しています(最高裁昭和44年9月26日判決)。貞操権の侵害があった場合、被害者は加害者に対して不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を請求することができます。
最高裁判所も、女性の男性に対する貞操等の侵害を理由とする慰謝料請求は許容されるべきであると判示しています(最高裁昭和44年9月26日判決)。貞操権の侵害があった場合、被害者は加害者に対して不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を請求することができます。
【根拠】民法(明治29年法律第89号)第709条:「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」/同第710条:「…前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」
Q独身偽装で貞操権侵害の慰謝料請求が認められるのはどんな場合ですか?
A
貞操権侵害として慰謝料請求が認められるためには、主に以下の要件が必要とされています。
| 認められる方向 |
|
| 認められにくい方向 |
|
貞操権侵害が認められるかどうかは、出会いの経緯・やりとりの内容・交際の実態など、個別の事情を総合的に判断されます。「相手に独身と言われた」という事実だけで直ちに認められるわけではありません。
Q裁判例ではどのくらいの慰謝料が認められていますか?
A
貞操権侵害による慰謝料の相場は、数十万円から200万円程度とされることが多く、個別の事情によって大きく異なります。慰謝料額は交際期間・嘘の悪質性・妊娠の有無・出会いの場の性質(婚活目的かどうか)などによって増減します。なお、被害者が相手の既婚者であることを疑える事情があった場合、被害者側の落ち度として慰謝料が減額されることがあります。
Q被害者側が逆に慰謝料を請求されることはありますか?
A
あります。これが独身偽装被害の重要な注意点です。
既婚者が配偶者以外の者と性的関係を持つことは「不貞行為」にあたり、その相手方も—たとえ騙されていたとしても—相手に配偶者がいることを知り、または知ることができた場合には、配偶者から不貞慰謝料を請求されるリスクがあります。
「独身だと言われていた」という事情は、既婚者であることを知らなかったことの根拠になりえますが、これが認められるかどうかは個別の事情によります。「少し調べればわかった」「既婚者を疑える事情があった」と判断された場合は、騙された側にも責任が認められることがあります。
既婚者が配偶者以外の者と性的関係を持つことは「不貞行為」にあたり、その相手方も—たとえ騙されていたとしても—相手に配偶者がいることを知り、または知ることができた場合には、配偶者から不貞慰謝料を請求されるリスクがあります。
「独身だと言われていた」という事情は、既婚者であることを知らなかったことの根拠になりえますが、これが認められるかどうかは個別の事情によります。「少し調べればわかった」「既婚者を疑える事情があった」と判断された場合は、騙された側にも責任が認められることがあります。
⚠️ 独身偽装の被害を受けた場合であっても、既婚者であることが判明した時点で直ちに交際を終了することが重要です。既婚者と知りながら交際を続けた場合、貞操権侵害の請求とは別に、配偶者から不貞慰謝料を請求される可能性があります。
QSNSや口コミサイトで相手の行為を公表することに法的リスクはありますか?
A
あります。被害を受けた怒りからSNSや口コミサイトで相手の氏名・行為を公表したくなる気持ちは理解できますが、法的リスクが生じることがあります。
貞操権侵害で慰謝料が認められた場合でも、公表の方法によっては逆に損害賠償責任を負う結果になりかねません。
相手の行為が許せない場合でも、SNSへの投稿・口コミサイトへの書き込み・知人への暴露等は、行う前に弁護士に相談することを強くお勧めします。
貞操権侵害で慰謝料が認められた場合でも、公表の方法によっては逆に損害賠償責任を負う結果になりかねません。
相手の行為が許せない場合でも、SNSへの投稿・口コミサイトへの書き込み・知人への暴露等は、行う前に弁護士に相談することを強くお勧めします。
名誉毀損(民法709条)が成立するかどうかは、摘示した事実の内容・表現方法・公表範囲・公益目的の有無などによって判断されます。たとえ事実であっても名誉毀損が成立する場合があります。
Q被害に遭った場合、どのような証拠を確保しておくべきですか?
A
貞操権侵害を理由に慰謝料請求するためには、「相手が独身と偽っていたこと」「性的関係があったこと」「そのことにより精神的苦痛を受けたこと」を証拠で示す必要があります。確保しておくべき主な証拠は以下のとおりです。
- LINEやメール等のやりとり:相手が独身であると述べていたメッセージ、結婚を前提とした発言、既婚者であることを否定した記録など
- マッチングアプリのプロフィール:「独身」「未婚」と記載されたプロフィールのスクリーンショット(アプリの規約・条件も含む)
- 交際を示す記録:デートの写真・旅行の記録・贈り物のやりとりなど、真剣な交際であったことを示す資料
- 相手が既婚者であることを示す資料:戸籍謄本・住民票・婚姻届受理証明書など(入手できる場合)
- 精神的被害の記録:精神科・心療内科への通院記録・診断書など
証拠の確保は、相手に気づかれないうちに行うことが重要です。相手に感づかれると証拠を隠滅されたり、LINEのトークが削除されたりするリスクがあります。スクリーンショットを撮るなど早期に保全することをお勧めします。
【参考】貞操権侵害に基づく損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年で時効により消滅します(民法第724条第1号)。被害を認識した後は早期に法的手段を検討することをお勧めします。
「交際相手が実は既婚者だったとわかった」「慰謝料を請求できるか確認したい」「逆に配偶者から請求を受けた」など、独身偽装・貞操権侵害に関するご相談はお気軽にどうぞ。状況をお聞きした上でご説明します。
弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属
📧 [email protected]
📞 050-3623-1320
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本サイトの記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。
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