相続問題のブログ
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2026/04/04
遺留分を侵害された場合の請求方法と手続きの流れ 調停・訴訟はどう進むのか・弁護士吉津和輝
相続・遺留分
遺留分を侵害された場合の請求方法と手続きの流れ
調停・訴訟はどう進むのか
弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)市川法律事務所に所属する弁護士です。
「遺言書に自分の相続分がほとんど書かれていなかった」「兄弟の一人だけに全財産が渡っていた」——そのような場合でも、一定の相続人には法律上「遺留分」という権利が保障されています。この記事では、遺留分侵害額請求の基本と、調停・訴訟の手続きの流れをご説明します。
Q遺留分とは何ですか?誰でも請求できるのですか?
A
遺留分とは、一定の相続人に対して法律が保障する、最低限の相続財産の取り分です。被相続人(亡くなった方)が遺言でどのように財産を分けると定めていても、遺留分を下回る相続しか受けられなかった相続人は、その不足分を金銭で請求することができます。
遺留分を請求できるのは、被相続人の兄弟姉妹を除く法定相続人、すなわち配偶者・子(直系卑属)・直系尊属です。兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
遺留分を請求できるのは、被相続人の兄弟姉妹を除く法定相続人、すなわち配偶者・子(直系卑属)・直系尊属です。兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
【根拠条文】民法第1042条第1項(遺留分の帰属及びその割合):「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として…次の各号に定める割合を乗じた額を受ける。一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一 二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一」
たとえば相続人が配偶者と子2人の場合、総体的遺留分は相続財産の2分の1。このうち配偶者の個別的遺留分は財産全体の4分の1、子それぞれは8分の1となります(民法第1042条第2項・第900条)。
Q遺留分を請求するとはどういうことですか?現物を返してもらえるのですか?
A
遺留分を侵害された場合、遺留分権利者は受遺者または受贈者(財産を受け取った人)に対して、侵害された額に相当する金銭の支払いを請求することができます。これを「遺留分侵害額請求」といいます。
かつては「遺留分減殺請求」として現物返還を求める制度でしたが、令和元年(2019年)の民法改正により、現在は金銭による精算に一本化されています。不動産や株式などの現物返還は、相手方が任意に応じる場合を除き、法律上の請求としては認められません。
かつては「遺留分減殺請求」として現物返還を求める制度でしたが、令和元年(2019年)の民法改正により、現在は金銭による精算に一本化されています。不動産や株式などの現物返還は、相手方が任意に応じる場合を除き、法律上の請求としては認められません。
【根拠条文】民法第1046条第1項:「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者…又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。」(令和元年改正)
Q時効はありますか?いつまでに請求すればよいですか?
A
遺留分侵害額請求権には、時効と除斥期間の制限があります。以下のどちらか早い方で権利が消滅します。
| 時効の種類 | 期間 | 起算点 |
|---|---|---|
| 短期消滅時効 | 1年 | 相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時 |
| 除斥期間 | 10年 | 相続開始の時(亡くなった日) |
【根拠条文】民法第1048条:「遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。」
特に注意が必要なのは「知った時から1年」という短期の時効です。相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈を知った時点から起算されます。相手方への権利行使の意思表示を内容証明郵便等で行うことが有効です。一方、10年の期間は除斥期間と解されており(最高裁平成11年6月11日判決)、期間の経過により権利は当然に消滅します。
Q実際にはどのような流れで手続きを進めるのですか?
A
遺留分侵害額請求の手続きは、一般的に以下の流れで進みます。
① 内容証明郵便による請求は、権利行使の意思表示をするための最初のステップです。「遺留分侵害額を請求する」という意思表示を書面で行い、いつ・誰に・どのような内容で請求したかを記録に残します。配達証明を取っておくことが重要です。
② 当事者間の交渉で相手方が応じれば、その段階で合意による解決も可能です。相手が応じない、または金額について折り合いがつかない場合に調停・訴訟へ進みます。
③ 家事調停は家庭裁判所での話し合い手続きです。調停委員が間に入り、双方が合意できる金額・支払い方法を探ります。合意が成立すれば調停調書が作成され、解決となります。
④ 民事訴訟は、調停が不成立の場合に地方裁判所へ訴えを提起する手続きです。遺留分侵害額請求は金銭請求であるため、家庭裁判所ではなく地方裁判所が管轄となります。
遺留分侵害額請求の手続きの流れ
① 内容証明郵便による請求↓②
当事者間の交渉↓③
家事調停(家庭裁判所)↓④
民事訴訟(地方裁判所)
調停は相手方住所地の家庭裁判所(家事事件手続法第3条の13第1項2号)/訴訟は相手方の住所地、被相続人の最後の住所地の裁判所(民事訴訟法第5条14号)
① 内容証明郵便による請求は、権利行使の意思表示をするための最初のステップです。「遺留分侵害額を請求する」という意思表示を書面で行い、いつ・誰に・どのような内容で請求したかを記録に残します。配達証明を取っておくことが重要です。
② 当事者間の交渉で相手方が応じれば、その段階で合意による解決も可能です。相手が応じない、または金額について折り合いがつかない場合に調停・訴訟へ進みます。
③ 家事調停は家庭裁判所での話し合い手続きです。調停委員が間に入り、双方が合意できる金額・支払い方法を探ります。合意が成立すれば調停調書が作成され、解決となります。
④ 民事訴訟は、調停が不成立の場合に地方裁判所へ訴えを提起する手続きです。遺留分侵害額請求は金銭請求であるため、家庭裁判所ではなく地方裁判所が管轄となります。
遺留分の問題は、相続財産の評価や特別受益の認定をめぐって争いが生じることが少なくありません。弁護士を通じて適切に主張・立証を行うことが、解決への近道となることがあります。
Q遺言書があっても遺留分は請求できますか?
A
はい、請求できます。遺言書によって自分の相続分がゼロ、または遺留分を大きく下回る内容であっても、遺留分権利者は侵害された金額の支払いを請求することができることがあります。
ただし、遺留分侵害額を請求しても遺言書そのものが無効になるわけではありません。遺贈や生前贈与の効力は維持されつつ、遺留分権利者が金銭上の補填を受けるという仕組みです。遺言の内容に納得できない場合は、遺留分侵害額請求と、遺言の有効性を争う手続き(遺言無効確認訴訟など)は別々の問題として整理する必要があります。
ただし、遺留分侵害額を請求しても遺言書そのものが無効になるわけではありません。遺贈や生前贈与の効力は維持されつつ、遺留分権利者が金銭上の補填を受けるという仕組みです。遺言の内容に納得できない場合は、遺留分侵害額請求と、遺言の有効性を争う手続き(遺言無効確認訴訟など)は別々の問題として整理する必要があります。
「遺言があったが、自分の取り分がほとんどなかった」「相続財産の内容がよくわからない」といったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。お聞きした状況をもとに、見通しと対応方針をお伝えします。
弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属
📧 [email protected]
📞 050-3623-1320
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対応エリア
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