守谷・取手・つくばみらいで遺言書を作るなら
—「自宅を誰に遺すか」から、書き方の注意点まで
主な取扱分野:相続・遺言・遺留分、離婚・親権、交通事故、企業法務
| 01 | 遺言書を作る意味と、この地域の事情 |
遺言書がない場合、遺産は原則として相続人全員の遺産分割協議によって分けることになります。しかし、その協議結果が必ずしも故人の生前の意思に沿うとは限らず、話し合いがまとまらずに対立へ発展することもあります。遺言書を残しておくと、特定の人へ特定の財産を渡したり、相続人以外の方(介護をしてくれた長男の妻など)へ財産を遺したりでき、相続人同士のトラブルを未然に防ぎやすくなります。
守谷市・取手市・つくばみらい市は、TX(つくばエクスプレス)や常磐線で都心へ通勤する世帯が多く、東京や近県から移り住んで持ち家(戸建て・マンション)を構えた世代が、いままさに相続を意識する年代に入りつつあります。こうした地域では、遺産の中心が「自宅(不動産)」であるケースが少なくありません。預貯金と違って不動産は物理的に分けにくいため、「自宅を誰に継がせるか」「他の子にどう配慮するか」を遺言書で明確にしておく意味が大きいといえます。
お子さんが都内で世帯を持ち、地元を離れているご家庭も多く、相続が起きたときに相続人があちこちに散らばっていると、遺産分割協議の日程調整だけでも負担になります。遺言書があれば、この協議そのものを省ける場面があります。まずは「遺言書にはどんな種類があり、どう書けば有効なのか」から見ていきましょう。
よくあるご質問
| Q | 遺言書には何種類あり、どれを選べばよいですか? |
| A |
普通方式の遺言には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、実際によく使われるのは前の2つです。手軽さなら自筆証書遺言、確実性なら公正証書遺言が向いています。
遺言は、民法に定める方式に従わなければ効力が認められません(民法960条)。普通方式の遺言には、次の3種類があります。
費用を抑えて手軽に作りたい方は自筆証書遺言、方式不備のリスクを避けて確実に残したい方は公正証書遺言、というのが基本的な選び方です。次の項目から、それぞれの要件と注意点を見ていきます。 |
| Q | 自筆証書遺言の要件は何ですか? |
| A |
自筆証書遺言は、本人が「全文」「日付」「氏名」を自書し、これに押印することで成立します(民法968条1項)。パソコン作成や代筆の本文は無効です。
自筆証書遺言の要件は、次の4つです。1つでも欠けると無効になり得るため、丁寧に確認してください。
【根拠】民法(明治29年法律第89号)第968条1項:「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」
対象となる財産を特定できていなかったり、書き漏らしがあったりすると、せっかく作っても後で争いになることがあります。誰に何を渡すのかを、あいまいさが残らないように書くことが大切です。 |
| Q | どんな書き方をすると遺言書は無効になりますか? |
| A |
日付を「吉日」と書く、日付に「日」がない、本文をパソコンで作る、押印がない、押印の代わりに花押を書く——これらはいずれも無効とされています。裁判所も繰り返し同じ判断を示しています。
自筆証書遺言でとくに問題になりやすい「無効のパターン」を、裁判例とあわせて挙げます。
⚠️ 無効になりやすい書き方の例
・日付を「令和○年○月吉日」と書いた ・年月だけを書き、「日」を書かなかった ・本文をパソコン(ワープロ)で作成した ・押印を忘れた ・押印の代わりに花押(手書きのサイン)を書いた 日付の「吉日」は無効。日付は暦上の特定の日が分かるように書く必要があり、「昭和四拾壱年七月吉日」と書かれた遺言は、日付の記載を欠くものとして無効とされました(最判昭和54年5月31日民集33巻4号445頁)。年月だけで「日」の記載がない場合も同様に無効です(最判昭和52年11月29日家月30巻4号100頁)。一方、「私の80歳の誕生日」のように暦上の日が特定できる書き方であれば有効とされる余地があります。迷ったら「令和○年○月○日」と年月日をそのまま書くのが安全です。 パソコン本文・押印なしは無効。本文をパソコンで作成したものは自書の要件を満たさず無効です。押印がない遺言書も無効です。押印は認印でも足りますが、実印のほうが望ましいといえます。 花押(かおう)では押印の代わりになりません。署名の下に花押(戦国武将などが用いた手書きのサイン)を書いた遺言について、最高裁は「花押を書くことは押印の要件を満たさない」として無効と判断しました(最判平成28年6月3日民集70巻5号1263頁)。手書きのサインではなく、印鑑を押す必要があります。
なお、ここに挙げたものは無効となるケースの一例です。ほかにも、押印の代わりに拇印(指印)を用いた場合は要件を満たすとされた例(最判平成元年2月16日民集43巻2号45頁)など、細かな論点が数多くあります。ご自身のケースで有効かどうか不安な場合は、弁護士にご相談ください。
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| Q | 自筆証書遺言を書き間違えたときは、どう訂正すればよいですか? |
| A |
自筆証書遺言の訂正には厳格な方式があり、これを外すと訂正が無効になります。書き損じたときは、無理に直そうとせず、新しい用紙に書き直すのが確実です。
自筆証書遺言の加除その他の変更は、次の方式によらなければ効力を生じません(民法968条3項)。
【根拠】民法第968条3項:「自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」
具体的には、①訂正した場所を指示し、②その部分を変更した旨を付記して、③付記に署名し、④訂正箇所に実際に変更を加え、⑤変更した箇所に押印する、という手順を踏みます。この方式に従っていない訂正は、その訂正部分が無効になります(訂正が無効になるだけで、遺言全体が無効になるわけではありません)。 手順が細かく、実務でも誤りが起きやすいところです。書き間違えたときは、訂正を重ねるより、はじめから新しい用紙に書き直すほうが、後日の紛争を避けやすくなります。 |
| Q | 財産目録はパソコンで作ってもよいですか? |
| A |
2019年1月13日以降に作る自筆証書遺言では、財産目録に限りパソコン作成や通帳コピーの添付が認められます。ただし本文は自書が必要で、財産目録の各ページに署名押印しなければなりません。
かつては財産目録も含めて全文を自書する必要がありましたが、2018年(平成30年)の民法改正により、財産目録についてはパソコンで作成したり、預金通帳のコピーや不動産登記事項証明書を添付したりすることが認められました(民法968条2項)。この改正は2019年(平成31年)1月13日から施行されています。
財産目録をパソコン等で作る場合の注意点
・本文(誰に何を相続させるか等)は、あくまで自書が必要です。 ・財産目録の各ページ(両面に記載がある場合は両面)に署名し、押印しなければなりません。 ・2019年1月12日以前に作成した遺言書は、財産目録も含めて自書が必要です。 改ざんを防ぐため、本文と財産目録の対応関係を番号でそろえ、ページ番号を付してまとめておくと安心です。 |
| Q | 公正証書遺言はどうやって作りますか? |
| A |
公正証書遺言は、証人2名の立会いのもと、公証人に遺言の趣旨を口授して作成します(民法969条)。方式不備で無効になるリスクがほぼなく、検認も不要です。全国どこの公証役場でも作成できます。
公正証書遺言の作成は、おおむね次の流れで進みます。
公証人が作成するため方式不備で無効になるリスクがほぼなく、原本が公証役場に保管されるので紛失・偽造の心配もありません。家庭裁判所での検認も不要です。証人2名が必要で、財産額に応じた公証人手数料などの費用がかかる点はデメリットといえます。 公正証書遺言は全国どこの公証役場でも作成できます。守谷市・取手市・つくばみらい市エリアからは、取手公証役場(取手市取手)や土浦公証役場(土浦市富士崎)が利用しやすい場所にあります。なお、公証役場では遺言の内容そのものについて中立の立場から確認・作成が行われますが、「どう分けるのが一族にとって最善か」といった相談は、事前に弁護士と設計しておくとスムーズです。 |
| Q | 自筆の遺言書を法務局に預けられると聞きました。守谷市の場合、どこに預けますか? |
| A |
2020年7月から始まった自筆証書遺言書保管制度を使うと、手数料3,900円で法務局が遺言書を保管し、検認も不要になります。守谷市・取手市にお住まいの方の管轄は水戸地方法務局龍ケ崎支局です。
自筆証書遺言は手軽な反面、紛失したり、内容を知った相続人に隠されたり書き換えられたりするリスクが指摘されてきました。これを補うのが、2020年(令和2年)7月10日に始まった「自筆証書遺言書保管制度」です。法務局(遺言書保管所)が自筆の遺言書を保管してくれます。
保管制度のポイント
・手数料は遺言書1通につき3,900円(保管期間にかかわらず定額)。 ・保管された遺言書は、家庭裁判所の検認が不要になります(遺言書保管法11条)。 ・預けるときに、日付・署名・押印などの形式(外形)を法務局がチェックします。 ・申請は本人が出頭する必要があり、代理はできません。証人も不要です。 ・様式はA4サイズ。財産目録以外は自書が必要で、余白などのルールがあります。 どこに預けるか(管轄)。保管を申請できる法務局は、遺言者の住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所に限られます。守谷市・取手市にお住まいの方は、住所地を基準にすると水戸地方法務局龍ケ崎支局が管轄です。手続きには事前予約が必要です。
⚠️
法務局が確認するのはあくまで形式(外形)で、遺言の内容が有効かどうか・内容が妥当かどうかまで保証するものではありません。また、法務局では遺言の内容についての相談には応じてもらえません。「誰に何を、どう遺すか」という中身の設計は、別途ご自身で検討するか、弁護士等にご相談ください。管轄の取扱いは変わることもあるため、申請前に法務省の管轄一覧や最寄りの法務局でご確認ください。
「手軽な自筆」と「紛失・改ざんに強い保管」を両立できるのがこの制度の利点です。費用を抑えつつ確実に残したい方は、検討してみる価値があります。 |
| Q | 遺言書があれば、財産を誰にどう渡すか全部自由に決められますか? |
| A |
遺言書があっても、一定の相続人に保障された最低限の取り分である「遺留分」は奪えません。遺留分を侵害する遺言も有効ですが、侵害された相続人から金銭の支払を請求される可能性があります。
遺言書では、相続分の指定、遺産分割方法の指定、特定の財産を特定の人に渡すこと(遺贈)、遺言執行者の指定などを定められます。ただし、兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」という最低限の取り分が保障されており、これを侵害することはできません。遺留分が認められるのは、配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属(父母等)で、兄弟姉妹には遺留分がありません。
上の割合に、各相続人の相続分を掛けたものが、その人の遺留分になります(民法1042条)。遺留分を侵害する遺言も有効ですが、侵害された相続人は、財産を受け取った人に対して「遺留分侵害額に相当する金銭の支払」を請求できます(民法1046条)。この請求権は、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年、相続開始から10年で時効消滅します(民法1048条)。 一部の相続人に偏った内容の遺言は、後から遺留分をめぐる争いを招きやすい面があります。遺留分に配慮した配分にしておくか、あえて偏らせる場合はその理由や代償の手当てを検討しておくと、争いを避けやすくなります。 |
| Q | 守谷・取手・つくばみらいで、自筆の遺言書の検認はどこの家庭裁判所に申し立てますか? |
| A |
検認は、原則として遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。守谷市・取手市は水戸家庭裁判所龍ケ崎支部が管轄です。公正証書遺言と、法務局に保管した自筆証書遺言は検認が不要です。
自筆証書遺言(法務局の保管制度を使っていないもの)や秘密証書遺言は、遺言者の死亡後、家庭裁判所で「検認」という手続きを受ける必要があります(民法1004条1項)。検認は、遺言書の形状や内容を確認して現状を保存する手続きで、遺言の有効・無効を判断するものではありません。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもとでなければ開封できません(同条3項)。 検認は、原則として遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。当職の対応エリアでは、次のとおりです。
残された家族の負担を軽くするという観点からは、公正証書遺言にするか、自筆で作って法務局の保管制度を使うと、検認の手続きが不要になります。どの方法が向いているかは、財産の内容やご家族の状況によって変わります。 |
遺言書の作成や、どの方式が向いているかについて、状況をお聞きしたうえでご説明します。相続が起きた後の検認・遺留分・遺産分割のご相談もお受けしています。まずはお気軽にお問い合わせください。
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守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市・坂東市など、TX(つくばエクスプレス)・常磐線沿線の地域からのご相談に対応しています。お住まいの地域のページもご覧ください。
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・民法(明治29年法律第89号)(e-Gov法令検索・デジタル庁)/第960条・第968条・第969条・第970条・第1004条・第1022条・第1023条・第1042条・第1046条・第1048条
・法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律第73号)(e-Gov法令検索)第11条
・自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧・遺言書保管所管轄一覧(法務省)
・茨城県内の裁判所の管轄区域表(裁判所)
・裁判例:最判昭和54年5月31日民集33巻4号445頁/最判昭和52年11月29日家月30巻4号100頁/最判平成28年6月3日民集70巻5号1263頁/最判平成元年2月16日民集43巻2号45頁
・2026年3月21日:公開
・2026年7月5日:条文・裁判例・地域の管轄情報(法務局・家庭裁判所)を追記し、全面的に加筆・再構成
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・実務の取扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年3月21日/最終更新日:2026年7月5日
