【AIと弁護士の法律業務】

吉津和輝(登録番号57714 茨城県弁護士会所属) 市川法律事務所に所属する弁護士です。

1 AIの浸透について

近年、AIが人間の業務に大きな影響を与えており、AIの浸透は法律業務も例外ではありません。 信じられない方も多いかもしれませんが、令和7年まで、裁判で準備書面などを送る際は、直送(郵送)の場合を除いてFAXが基本でした。

 

おそらく、日常的にFAXを使う方は今では少ないと思います。

 

実際に私も仕事以外でFAXを使うことはまずありません。

そのような中で新しく入ってきたAIは法律業界に大きな変革を与えています。

 

AIは一般の方の紛争を解決するという点においては非常に良い影響を与えると考えられます。 現在、ChatGPTgeminiclaude-aiといった様々なAIがあります(その他にもnotebooklmや法律に特化したAIもございます)。

 

私は、ChatGPTgeminiclaude-aiなどの有料版を使用していますが、令和8年3月時点においては、特にclaude-aiが頭一つ抜けていると現時点では感じており、その調査能力や表現能力は、既にかなりの部分が弁護士を凌駕しているものと考えられます。

 

これは弁護士を批判している訳ではなく、それだけAIの進歩が凄まじい速度で、想像を超えて成長しているという話です。

 

なお、現時点ではAIは完全な正確性を持ちません。どのAIでも誤りは必ず生じています。

そのため、AIの知識の正確性を確認するためにも、弁護士に相談することは結局必要だとは考えています。

 

2 今後の弁護士業務について

 

既に相談に来られる方が、特定の分野に関してではありますが、相談を受ける弁護士以上の知識を有していることも当然に考えられ得るところです。

なぜなら、これまで弁護士は専門的な知識を調査することも仕事のうちでした。

そこで、そもそも一般の方が専門的な知識を簡単に得ることができるのであれば、部分的には弁護士の知識と同等、または超える場合があるのも当然の帰結です(AIは、インターネット上の弁護士のホームページから情報収集して回答しており、この検索・情報収集能力は非常に強力です。)

 

そのため、よくテレビなどで、弁護士はなくなる仕事と言われており、弁護士側もAIの存在や能力を正確に評価し、事実を受け入れていく必要があると考えています(もっとも、言うのは簡単でも、現状の否定を受け入れるというのはなかなか難しいものだなと考えています。)。

 

元々弁護士は、人数が多くなっていくことから先細り(二極化)だと言われていましたが、予想外のところから二極化(要は売れる弁護士と売れない弁護士に分かれる)が始まっています。

おそらく10年前にはこのような時代になると想定している人はほぼいなかったと思います。

 

この時代の変化に適応が難しい弁護士は、AIを超える仕事を行うか、AIにできない仕事にシフトしていく必要があると考えています。

一方で、AIに適用していく弁護士は、法律問題についての調査等をAIでサポートしていくため、1つの事件あたりの処理時間が早くなるほか、質もある程度は担保しながら行えることになります。

 

これは法律問題を抱える相談者の方にとっては全く悪い話ではなく、私もそれは良いことだと考えています。たくさんの人の力になれる可能性があります。

 

そのため、私自身としては、常に新しいAIのソフトウェアについては模索していますし、よりよいAIを探すことも依頼者のためになる仕事と考えています。

 

この記事を書いている時点で私は弁護士8年目です。人によって違いますが、一般的に10年目あたりで中堅と言われることからすると、中堅になる前ぐらいであり、新しい方の弁護士ではあります。

 

もっとも、新しいといっても、AIが浸透する前から弁護士をやっているため、AIを利用することはあっても、最終的には自分の調査や知識で確認を行っています。

 

AIを信じすぎてしまうと問題になることもあり、そういった意味では新人が育たないおそれがある(AIで調べた知識を書くだけの人であれば、自分で調べるので全然いらず、そもそもAIの方が安くて良いとなってしまう。)という点で、弁護士業界の将来には憂いがあります。

 

今はAIが話題ですが、10年後あたりには、今度は量子コンピューターが台頭してきます。世の中も法律業務も更に変わっていくでしょう。

 

何の仕事でもそうなのかもしれませんが、時代の変化に柔軟に対応して、考えていかなければ、いつの間にか自分が淘汰される側になっているということは良くあることなのかもしれません。

 

難しい問題ですね。

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