相続・遺産分割

常総市(水海道、石下、菅生)の相続
— 農地・空き家・遺産分割の手続きまで

水海道・石下・菅生エリアの農地・実家の相続をお考えの方へ
弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属(登録番号57714)/2018年12月弁護士登録
主な取扱分野:相続・遺産分割、相続放棄、遺言、家族法
常総市にお住まいの方、またはご実家が常総市にある方へ。相続では、相続人どうしの話し合いだけでなく、農地や空き家となった実家の届出、相続登記の期限など、確認すべき点がいくつもあります。状況をお伺いしたうえで、必要な手続きをご説明します。
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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7

常総市の相続でよくご相談いただくこと

常総市は、2006年1月に旧水海道市と旧石下町が合併して誕生した市で、鬼怒川と小貝川に挟まれた低地に位置しています。江戸時代から鬼怒川の水運を活かした商業のまちとして栄え、河畔の土壌を活かした農業が盛んな地域です。関東鉄道常総線や圏央道常総インターチェンジ、2023年度に開業した道の駅常総などにより都心方面へのアクセスも向上しており、農地や実家を常総市に残したまま、都内やつくばエクスプレス沿線に住む相続人が増えている地域でもあります。

水海道地区・石下地区に加え、菅生町を含む旧豊岡村エリア(市南部)も含めた市内各地から、農地・山林・実家の相続に関するご相談をいただきます。菅生地区は、坂東市との境にある菅生沼(首都圏近郊緑地保全区域)に近く、水田や畑地が広がる農業地域であるため、複数筆に分かれた農地・山林を先代・先々代から共有名義のまま相続しているご家庭も少なくありません。

こうした背景から、常総市の相続のご相談では、預貯金や現金だけでなく、農地や実家(空き家)をどう分けるかという点が主な論点になることが少なくありません。遠方に住む相続人にとっては、耕作の予定がない農地や、老朽化した実家をそのまま維持するのか、売却・処分するのかという判断が難しく、地元に残る相続人との間で意見が分かれることもあります。

また、常総市は2015年9月の関東・東北豪雨により、鬼怒川左岸(三坂町地区)の堤防が決壊し、市内の広い範囲で浸水被害が生じた経緯があります。当時被害を受けた住宅・土地について、名義変更(相続登記)をしないまま先代・先々代の名義で残っているケースも見られ、こうした不動産を相続する際は、まず登記簿や固定資産税の課税明細等から正確な権利関係を確認するところから始める必要が生じることがあります。

人口が緩やかな減少傾向にあることも常総市の特徴の一つで、後継者が定まらないまま農地や実家が空き家として残されるケースが増えています。「誰も住む予定がない実家をどうするか」「農地を維持するか手放すか」といった点は、常総市ならではの相続のご相談として、当職も状況をお伺いしながらご説明することが多い分野です。

よくあるご質問

Q 常総市の実家が誰も住まないまま空き家になっています。相続の際、何を確認すればよいですか?
A
結論として、空き家であっても相続財産に含まれるため、名義(相続登記)の確認と管理状態の把握が必要です。

民法第896条は、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」と定めています。空き家となっている実家も相続財産である以上、相続人間でその帰属を確定させ、相続登記を行う必要があります。

2024年4月1日からは、不動産の所有権を相続によって取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられており(不動産登記法第76条の2第1項)、正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料の対象となり得ます(同法第164条第1項)。この義務は、施行日より前に発生した相続にも適用されます。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第896条/不動産登記法(平成16年法律第123号)第76条の2、第164条

相続登記の手続自体は司法書士の業務範囲となるため、具体的な申請は司法書士にご相談いただくことになりますが、「誰が空き家を取得するか」「売却するか」といった相続人間の話し合いがまとまらない場合の交渉・調整は、弁護士がお手伝いできる分野です。

Q 常総市内の農地を相続することになりました。何か特別な手続きが必要ですか?
A
結論として、相続によって農地を取得した場合は、農業委員会への届出が必要です。

農地法第3条の3第1項により、相続(遺産分割・包括遺贈を含みます)によって農地または採草放牧地の権利を取得した方は、その農地が所在する市町村の農業委員会に届け出る必要があります。届出の時期は、権利を取得したことを知った時からおおむね10か月以内とされており、届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は、10万円以下の過料の対象となり得ます。

なお、この届出は権利取得の効力を発生させるものではなく、所有権移転登記(相続登記)とは別の手続きです。

【根拠】農地法(昭和27年法律第229号)第3条の3
常総市は鬼怒川・小貝川沿いの土壌を活かした農業が盛んな地域であり、複数の相続人で農地を共有名義のまま相続するケースも見られます。共有のままでは今後の耕作や売却の判断に相続人全員の合意が必要となるため、早い段階で分割方法を話し合っておくことをおすすめします。
Q 相続放棄はいつまでにすればよいですか?
A
結論として、相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。

民法第915条第1項は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」と定めています。この3か月間は、一般に「熟慮期間」と呼ばれます。

熟慮期間内に相続放棄又は限定承認の手続をしなかった場合は、単純承認をしたものとみなされます(民法第921条第2号)。負債の有無がすぐに分からない場合でも、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てる余地がありますので、期限が近づいている場合は早めにご相談ください。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第915条第1項、第921条第2号

常総市にお住まいの方が相続放棄の申述を行う場合、管轄は水戸家庭裁判所下妻支部(下妻市)となります。

Q 遺産分割はどのように進めればよいですか?
A
結論として、遺産分割は、遺言で禁止されている場合等を除き、共同相続人全員の協議によって、いつでも行うことができます。

民法第907条第1項は、「共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。」と定めています。協議では、誰が、どの財産を、どれだけ取得するかを、相続人全員の合意で決めます。合意ができれば、その内容で遺産分割協議書を作成し、預貯金の解約や相続登記などの手続きに進みます。

農地や実家(不動産)が遺産に含まれる場合は、現物のまま分けるのか、売却して代金を分けるのか、特定の相続人が取得して他の相続人に代償金を支払うのかなど、分割方法自体が論点になりやすい傾向があります。評価額の考え方に相続人間で認識のずれがあることも多いため、早い段階で整理しておくと、話し合いがまとまりやすくなります。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第907条第1項
Q 遺産分割の話し合いがまとまりません。調停はどこに申し立てればよいですか?
A
結論として、常総市にお住まいの方が遺産分割調停を申し立てる場合、原則として水戸家庭裁判所下妻支部が管轄となります。

民法第907条第2項は、「遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。」と定めています。話し合いがまとまらない場合には、この規定に基づき、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。水戸家庭裁判所は下妻市に下妻支部を置いており、常総市・下妻市・結城市・筑西市・古河市・坂東市等を管轄区域としています。

農地や空き家など、分割方法の決定が難しい財産が含まれる場合、評価方法や取得者について意見が対立しやすくなります。早期に弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避けながら話し合いを進められる場合があります。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第907条第2項
Q 親の遺言で「長男に全財産を相続させる」と書かれていました。他の相続人は何も請求できないのですか?
A
結論として、配偶者・子・直系尊属には「遺留分」という最低限の取り分が保障されており、これを侵害された場合は金銭の支払いを請求できます。

民法第1042条第1項は、兄弟姉妹以外の相続人について、直系尊属のみが相続人である場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1を遺留分として保障しています。相続人が複数いる場合、この割合にさらに各自の法定相続分(民法第900条・第901条)を乗じたものが、一人ひとりの遺留分(個別的遺留分)になります。なお、兄弟姉妹には遺留分がありません。

遺留分を侵害された相続人は、民法第1046条第1項に基づき、遺言によって多くの財産を取得した相続人や、生前贈与を受けた人に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます(遺留分侵害額請求)。裁判をしなくても、内容証明郵便などによる意思表示で請求できます。

⚠️ 遺留分侵害額請求権には期間制限があります。民法第1048条により、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないと時効によって消滅し、知らなかった場合でも相続開始から10年が経過すると請求できなくなります。「遺言の内容を知って納得できない」という場合は、早めに請求の意思表示をしておくことが重要です。
【根拠】民法(明治29年法律第89号)第1042条第1項・第2項、第1046条第1項、第1048条
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相続放棄の手続きについて詳しくはこちら:相続放棄の熟慮期間と伸長の申立て(仮タイトル)
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参考資料・情報源

e-Gov法令検索(デジタル庁)/民法・農地法・不動産登記法
相続登記の申請義務化について(法務省)
水戸家庭裁判所の管轄区域(裁判所関連情報)

更新履歴

2026年7月:新規公開

本ページは一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本ページの内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月3日|最終更新日:2026年7月3日