· 

外貌醜状(醜状障害)の後遺障害等級と賠償のポイント|守谷・取手・つくばみらい・常総

交通事故・損害賠償

交通事故で顔・体に傷あとが残ったとき
— 外貌醜状(醜状障害)の後遺障害等級と賠償のポイント

顔・首・腕・脚に残った傷あとと、後遺障害・慰謝料・逸失利益
弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属(登録番号57714)/2018年12月弁護士登録
主な取扱分野:交通事故・後遺障害・損害賠償/示談交渉・訴訟対応
交通事故でケガをされ、顔や首、腕・脚に傷あとが残ってしまった方へ。目立つ場所に傷あとが残ると、痛みが引いた後も気持ちの負担が長く続きます。こうした傷あとは「外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)」として後遺障害の対象になり得ますが、等級の判断や、賠償の中でも特に「逸失利益」の扱いには独特の難しさがあります。この記事では、後遺障害の等級・慰謝料の目安・逸失利益の争点・診断書の備え方を、順を追って整理します。
— 交通事故のご相談を承っています —
📞 050-3623-1320 📧 メールで相談
弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7

顔・体の傷あと(外貌醜状)に関するよくあるご質問

Q 交通事故で顔や体に傷あとが残りました。「外貌醜状」として後遺障害になりますか?
A
結論として、頭・顔・首や腕・脚の露出面に、人目につく程度以上の傷あとが症状固定後も残った場合は、「外貌醜状(醜状障害)」として後遺障害の対象になり得ます。

外貌醜状とは、交通事故によって身体に傷あと(瘢痕=はんこん、線状痕、組織のくぼみ=陥没など)が残り、症状固定(これ以上治療を続けても改善が見込めない状態)の後もその傷あとが残ってしまう後遺障害をいいます。

認定の対象となる「外貌」とは、頭部・顔面部・頸部(首)という、上肢・下肢以外の日常露出する部分を指します。腕や脚(露出面)の傷あとも、部位ごとに別の基準で後遺障害の対象になります。事故で直接負ったケガだけでなく、手術や治療の過程で生じた傷あとも対象になり得ます。

ただし、後遺障害として扱われるのは「人目につく程度以上」のものに限られます。たとえば眉毛や頭髪で隠れる部分は、原則として醜状障害の対象にはなりません。傷あとの一部が隠れている場合、人目につく部分の長さ・面積で判断される点にも注意が必要です。

Q 外貌醜状の後遺障害等級は何級に分かれますか。どのくらいの傷あとで何級ですか。
A
結論として、外貌の醜状障害は、傷あとの大きさに応じて第7級・第9級・第12級(顔・頭・首)と、第14級(腕・脚)に分かれます。わずかな差で等級が変わるため、大きさの正確な測定が結果を左右します。

交通事故の後遺障害の等級は、自動車損害賠償保障法施行令の別表第2(後遺障害別等級表)で定められています。外貌の醜状障害については、次のように区分されています。

【根拠】自動車損害賠償保障法施行令(昭和30年政令第286号)別表第2
・第7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」
・第9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」
・第12級14号「外貌に醜状を残すもの」
・第14級4号「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」
・第14級5号「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」

「著しい」「相当程度」「(単なる)醜状」の区別は、認定実務では傷あとの大きさで判断されます。顔面部を例にとった一応の目安は、次のとおりです。

等級 傷あとの大きさの目安(顔面部の例)
第7級12号
著しい醜状
鶏卵大面以上の瘢痕、または10円銅貨大以上の組織のくぼみ(陥没)
第9級16号
相当程度の醜状
長さ5cm以上の線状痕(キズあと)
第12級14号
醜状
10円銅貨大以上の瘢痕、または長さ3cm以上の線状痕
第14級
4号・5号
腕・脚(露出面)に、てのひら大の傷あと
— 顔面部を例にとった一応の目安。「てのひら大」に指の部分は含みません —

頭部や頸部の場合は、てのひら大以上の瘢痕(第7級)・鶏卵大面以上の瘢痕(第12級)などが目安になります。腕・脚(露出面)は顔面とは別の基準で判断され、労災と自賠責では扱いが一部異なります。

数ミリ・数センチの差で等級が上下します。だからこそ、傷あとの長さや面積を正確に測って記録に残すことが、後遺障害の等級を左右する重要なポイントになります(Q6で詳しく説明します)。
Q 顔の傷あとの後遺障害等級に男女差はありますか。
A
結論として、現在は男女差はありません。平成22年(2010年)6月10日以降に発生した事故については、男女で同じ統一基準が適用されます。

かつては、同じ程度の傷あとでも男性と女性で後遺障害の等級に差が設けられていました。しかし、平成22年(2010年)5月27日、京都地方裁判所は、労災保険の障害等級表における外貌醜状の男女差(著しい醜状について、女性は第7級、男性は第12級とする5等級もの差)について、合理的な理由のない差別的取扱いであり、憲法14条1項(法の下の平等)に違反すると判断しました。

国(厚生労働省)はこの判決に対して控訴せず、障害等級表を見直すこととしました。これを受けて、平成22年6月10日以降に発生した事故については、男女差のない統一的な基準が適用されることになりました。あわせて、それまでなかった「相当程度の醜状」(第9級)という区分も設けられています。

事故の発生日が平成22年6月10日より前か後かで、適用される基準が変わります。古い事故の場合は、当時の基準を確認する必要があります。
Q 顔の傷あとで、慰謝料はいくらぐらいもらえますか。
A
結論として、後遺障害慰謝料は等級ごとに一応の目安があります。裁判基準(いわゆる赤い本)では、第7級で1000万円、第9級で690万円、第12級で290万円、第14級で110万円程度とされています。ただし、あくまで目安であり、事案により増減します。

後遺障害が残った場合の慰謝料は、認定された等級に応じておおよその水準が示されています。外貌醜状で問題になりやすい等級についての、裁判基準(赤い本)での一応の目安は次のとおりです。

等級 後遺障害慰謝料の目安
第7級 約1000万円
第9級 約690万円
第12級 約290万円
第14級 約110万円
— 出典:赤い本(裁判基準)。いずれも一応の目安で、事案により増減します —

慰謝料の算定には、①自賠責基準、②任意保険会社の基準、③裁判基準(弁護士が示談交渉・訴訟で用いる基準)の3つがあり、一般に「自賠責基準 < 任意保険基準 < 裁判基準」という関係にあります。示談交渉の初期に提示される金額は、裁判基準より低いことが少なくありません。

なお、外貌醜状の場合は、後述の逸失利益(Q5)との関係で慰謝料が調整されることがあります。慰謝料だけでなく、治療費・休業損害・逸失利益なども含めた全体で賠償額を検討することが大切です。個別の見込みは、事案によって異なります。

Q 保険会社から「顔の傷は仕事に影響しないので逸失利益は払えない」と言われました。本当ですか。
A
結論として、外貌醜状は逸失利益をめぐって争いになりやすい類型です。もっとも、否定と決まっているわけではなく、事情によっては認められることがあります。主張と立証の仕方で結論が変わり得る点が、この論点の特徴です。

逸失利益とは、後遺障害によって将来得られなくなった(または減った)収入の賠償をいいます。外貌醜状は、痛みや関節の動かしにくさといった「機能障害」を伴わないことが多いため、伝統的な考え方では「傷あとそのものが労働能力を直接下げるわけではない」として、逸失利益が否定されやすい傾向があります。保険会社が「傷は仕事に影響しない」と主張してくるのは、この考え方が背景にあります。

しかし、これはあくまで一般的な傾向であって、常に否定されるわけではありません。次のように、事情に応じて判断が分かれます。

否定されやすい
容貌が業務に直接関係しない場合
容貌が仕事の内容に直接関係しない職種などでは、傷あとが労働能力を直接下げるとはいえないとして、逸失利益が認められにくい傾向があります。
認められ得る
容貌が仕事に影響し得る場合
接客・営業・人前に出る仕事など容貌が業務に影響する場合、転職・再就職や昇進で不利益が生じ得る場合、対人関係への影響がある場合などは、事情に応じて認められることがあります。
— 逸失利益が認められるかは、具体的な事情によって判断が分かれます —

また、逸失利益が認められない場合でも、その調整として後遺障害慰謝料が通常の目安より増額されることがあります。「逸失利益ゼロ」で終わりにするのではなく、慰謝料での考慮も含めて交渉する余地があります。

外貌醜状の逸失利益は、どのような仕事に、どのような影響が及ぶのかを、具体的な事情に即して主張・立証できるかが分かれ目になります。ここは弁護士が関与することで交渉の内容が変わり得る部分です。ご相談時に、お仕事の内容や生活への影響を伺ったうえで、取り得る主張を整理してご説明します。
Q 外貌醜状で後遺障害を認めてもらうには、何を準備すればよいですか。
A
結論として、傷あとの長さ・面積を医師に正確に測定・記載してもらうことが最も重要です。等級はサイズで分かれるため、後遺障害診断書の書き方が結果を大きく左右します。

外貌醜状の後遺障害を認めてもらうための備えは、大きく次の3点です。

1
サイズの正確な記載
後遺障害診断書に、傷あとの長さ・面積をcm単位で正確に記載してもらう
2
写真などの記録
傷あとの状態がわかる写真等を残す。面接調査に備える
3
症状固定の見極め
傷あとが残ると見込まれる時点(症状固定)を見極めて申請する
— 準備の3つのポイント —

とりわけ重要なのが①です。医師は必ずしも自賠責の認定基準に詳しいわけではないため、「10円銅貨大」「長さ○cm」といった基準を意識して具体的に記載してもらうよう、あらかじめお願いしておくことが大切です。サイズの記載が曖昧だと、本来該当し得る等級が認められないおそれがあります。

また、外貌醜状は書類審査だけでなく、調査員が実際に傷あとの大きさを計測する面接調査が行われる場合があります。実物を確認する手続がある点で、他の後遺障害とは異なる特徴があります。

⚠️ 加害者側の任意保険会社に手続を任せる方法(事前認定)と、ご自身で申請する方法(被害者請求)があります。どちらを選ぶか、どのタイミングで申請するかによって進め方が変わります。迷われる場合は、申請の前に一度ご相談ください。
守谷・取手・常総・つくばみらい・坂東・柏の交通事故について

TX(つくばエクスプレス)沿線・常磐線沿線の守谷・取手・常総・つくばみらい・坂東、そして千葉県側の柏・我孫子・野田は、自家用車での通勤・送迎・買い物が生活の中心という地域が多くあります。国道294号・国道6号・圏央道・常磐道といった幹線を日常的に使うぶん、車の運転や同乗の機会が多い地域でもあります。

正面衝突や追突では、顔をハンドルやフロントガラス、エアバッグにぶつけて顔面にケガを負い、傷あとが残ってしまうことがあります。目立つ場所の傷あとは、後遺障害等級の判断や逸失利益の主張に独特の難しさがあり、ケガの内容や生活・お仕事への影響を具体的に伺ったうえで対応方針を検討する必要があります。お住まいの地域や通勤・生活の実情も踏まえてご相談をお受けします。

おわりに — 傷あとが残ったら、示談の前に確認を

外貌醜状は、①傷あとの大きさで等級が細かく分かれること、②後遺障害診断書の記載が結果を左右すること、③逸失利益をめぐって争いになりやすいこと、という3つの特徴があります。示談の内容によって、その後に受け取れる賠償が変わってきます。

示談書にサインをする前に、後遺障害の等級や賠償の内容が適切かを確認しておくことをおすすめします。損害賠償は、不法行為に関する民法の規定(709条・710条など)を土台に組み立てられます。ご不明な点があれば、状況を伺ったうえでご説明します。

CONTACT

交通事故で顔や体に傷あとが残った方のご相談を承っています。後遺障害の等級、慰謝料、逸失利益の見通しについて、事故の状況やお仕事・生活への影響を伺ったうえでご説明します。初回のご相談は面談またはZOOMで承っています(お電話は面談・ZOOMのご予約やお問合せの窓口としてご利用ください)。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
📧 [email protected]
📞 050-3623-1320
関連記事

交通事故の後遺障害・慰謝料・逸失利益に関する記事を公開しています。
※関連記事のリンクは、公開URLが確定したら手動でリンク化してください(推測URLは貼っていません)。

お住まいの地域の法律相談ページ

守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市・坂東市など、TX(つくばエクスプレス)沿線・常磐線沿線の地域からのご相談に対応しています。お住まいの地域のページもご覧ください。

守谷市の法律相談 › 取手市の法律相談 › つくばみらい市の法律相談 › 常総市の法律相談 › 坂東市の法律相談 › 弁護士 吉津和輝 トップページ ›
対応エリア

守谷市・取手市・常総市・つくばみらい市・坂東市・龍ケ崎市・牛久市・つくば市・土浦市・野田市・我孫子市・北柏をはじめ、茨城県南部・千葉県北西部の交通事故(外貌醜状・後遺障害・損害賠償)に関するご相談をお受けしています。弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)までお気軽にどうぞ。

参考資料・情報源

自動車損害賠償保障法施行令 別表第2(e-Gov法令検索)
民法 第709条・第710条・第711条・第722条(e-Gov法令検索)
5月27日の京都地方裁判所の判決への国の対応について(厚生労働省 報道発表資料)
・後遺障害慰謝料の目安:民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(いわゆる赤い本/日弁連交通事故相談センター東京支部)

更新履歴

・2026年7月1日:記事を公開

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)7月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年7月1日|最終更新日:2026年7月1日