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株式の遺産分割|守谷・取手・常総・つくばみらい|— 評価額・売ったときの税金・名義変更でつまずかないために

相続・遺産分割

株式の遺産分割|守谷・取手・常総・つくばみらい
— 評価額・売ったときの税金・名義変更でつまずかないために

弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属(登録番号57714)/2018年12月弁護士登録
主な取扱分野:相続・遺産分割/家族法/企業法務(同族会社・事業承継)
親や家族の株式を相続した方へ。預貯金とは違い、株式は「いくらと評価するか」「どう分けるか」「いつ売るか」で相続人の間に意見の違いが生まれやすい財産です。さらに、株式を引き継いだ方は、将来それを売ったときの税金まで実質的に負担することになります。本記事では、株式の遺産分割でつまずきやすいポイントを、弁護士の視点から整理します。
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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7

株式の遺産分割でよくあるご質問

Q 親が亡くなって株が残りました。すぐ売って、現金で分けてもいいですか?
A
結論として、遺産分割が終わるまでは、相続人が単独で株式を売ったり名義変更したりすることは原則できません。まず「誰が引き継ぐか」または「全員で売って分けるか」を決める必要があります。

相続が起きると、亡くなった方(被相続人)の財産は、相続開始の時から相続人に引き継がれます(民法896条)。相続人が複数いる場合、株式を含む相続財産は、いったん相続人全員の共有になります(民法898条1項)。これを株式について「準共有」と呼びます。

預貯金のように単純に頭数で分けられる財産と違い、株式には議決権など分けにくい権利が含まれます。そのため当然には分割されず、遺産分割で「誰がどの株を引き継ぐか」を決めて初めて、各相続人のものになります。証券会社での名義変更も、遺産分割協議(または遺言)が整ってからの手続です。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第896条:「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。(以下略)」
同第898条第1項:「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」
「とりあえず売って現金にしてから分ければ早い」と考える方は少なくありませんが、その場合も“相続人全員で売ることに合意したうえで売る”という手順が必要になります(後述の換価分割)。
Q 株はどうやって分けるのですか?
A
結論として、株式の分け方には大きく「現物分割」「換価分割」「代償分割」の3つがあります。銘柄の種類や相続人の希望に応じて組み合わせます。

それぞれの特徴は次のとおりです。どの方法を選ぶ場合でも、まず株式をいくらと評価するか(Q3・Q4)を決めておく必要があります。

現物分割
株式を株式のまま、誰がどの銘柄を何株引き継ぐかを決める。上場株式は株数で分けやすい。
換価分割
全員の合意で売却し現金を分ける。評価では揉めにくいが、売却と代金管理を誰かに委ねる必要がある。
代償分割
一人が株式を引き継ぎ、他の相続人に見合う現金(代償金)を払う。自社株の集約に有効。
— 株式の3つの分割方法 —
換価分割は、相続人の間で対立がなければ現金で公平に分けられる便利な方法です。もっとも、上場株式を任意に売却するには、いったん相続人の誰かの証券口座へ移してから売る必要があり、揉めているケースでは「売却と代金の管理を相手に委ねる」ことへの不信から、かえって成立しにくくなります。対立が深い場合は、各自が自分の口座に銘柄を分けて受け取る現物分割や、後継者に集約する代償分割の方が現実的なこともあります(審判では裁判所が競売による換価を命じることもありますが、時間や価格の面で不利になりがちです)。
Q 上場株式の評価額は、いつ・いくらで決めるのですか?
A
結論として、上場株式の評価基準時は、原則として分割が成立する時点(直近の終値など)です。これは調停でも審判でも基本は同じですが、調停は当事者の合意による解決のため、その期日に成立するか・そもそもいつ成立するかが直前まで読めず、株価が動く中で「成立時の株価」を前提に合意をまとめるのが難しい場面があります。

上場株式は証券取引所の取引価格が公表されているため、評価そのものは比較的はっきりしています。問題になりやすいのは「どの時点の株価を基準にするか」です。亡くなった日(相続開始時)と、実際に分け方が決まる日(遺産分割時)とで株価が大きく動いていることがあり、基準時によって取得額が変わります。

遺産分割は、財産の種類・性質や各相続人の事情その他一切の事情を考慮して行うものとされており(民法906条)、相続人間の公平を図る観点から、実務では分割が成立する時点の評価を前提とする扱いが一般的です。上場株式であれば、その時点の直近の終値が目安になります。

もっとも、株価は日々変動します。審判(裁判所が判断する手続)では、裁判所が判断する時点で評価が確定するため、基準時は比較的はっきりします。これに対して調停(当事者の合意による解決)では、その期日に合意が成立するか、そもそもいつ成立するかが直前まで分かりません。そのため、株価が動く中で「成立時の株価」を前提に合意をまとめること自体が難しく、価格が大きく動けば合意がまとまらないこともあります。

⚠️ 株価が大きく変動しやすい銘柄(例えばAI・半導体関連やグロース株などは値動きが大きくなりやすい傾向があります)では、「相続開始時の高い株価で評価したい人」と「下がった今の株価で評価したい人」とで対立が生じることがあります。評価の基準時について先に合意しておくと、その後の話し合いがスムーズになります。
特に代償分割では、株式を引き継ぐ相続人が他の相続人に支払う代償金が評価額に連動します。値動きの激しい銘柄では、成立の時点が決まるまで代償金の額が固まらず、支払う側が資金の準備を立てにくくなる点にも注意が必要です。
Q 非上場株式(自社株)は、なぜ評価で揉めやすいのですか?
A
結論として、非上場株式には市場価格がなく、評価方法が複数あって金額が大きく変わるため、相続人の間で評価額の対立が起きやすい財産です。

親族が経営する会社(同族会社)の株式は市場で売買されておらず、決まった「時価」がありません。評価には、会社の規模や株主の立場に応じて純資産方式・類似業種比準方式・配当還元方式などが用いられ、どの方法を採るかで金額が大きく変わります。

上場株式
取引所の価格が公表されており、評価そのものは明確。争点は主に「評価の基準時」。
非上場株式
市場価格がなく評価方法が複数。金額の幅が大きく、評価額そのものが争点になりやすい。
— 上場株式と非上場株式の違い —

特に、後継者となる相続人が株式を全部引き継ぐ代わりに、他の相続人へ代償金を払う場合、評価額が代償金の多寡に直結します。そのため、評価額をめぐって深刻な対立になりやすいのが非上場株式の特徴です。

もっとも、実務では多くの場合、税理士が算定した相続税申告上の評価額などを参考に、当事者の合意で評価額を決めています。どうしても合意できないときは、家庭裁判所の手続のなかで、裁判所が選任する鑑定人(公認会計士など)による鑑定が行われることがあります。ただし鑑定費用は数十万円以上かかることも多く、事前の予納が必要です。費用は、相続人が法定相続分に応じて負担する(または遺産の中から支出する)ことで合意できればよいのですが、合意できない場合は、鑑定を求める当事者がいったん全額を予納し、最終的な負担割合は後で合意するか裁判所が決めることになります。

具体的な株価の算定や、相続税申告における評価は、税理士・公認会計士の専門領域です。詳しくは税理士にご相談ください。弁護士は、その評価を前提に「どう分けるか」「代償金をいくらにするか」を整理する役割を担います。
Q 株を相続して持ち続けると、売るときの税金はどうなりますか?
A
結論として、相続税とは別に、その株を売った年に売却益(譲渡所得)への課税が発生します。しかも取得費は亡くなった方の購入価格を引き継ぐため、値上がり益への税金は、株を引き継いだ相続人が将来負担することになります。

株式を相続して保有しているだけなら、売却益はまだ出ていないため譲渡所得への課税は生じません。しかし、その株を売却して利益が出ると、原則として譲渡所得に対し20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)の税率で課税されます。

ここで見落とされやすいのが「取得費の引継ぎ」です。相続した株式を売るときの取得費は、相続時の評価額ではなく、亡くなった方が最初に買ったときの価格を引き継ぎます。つまり、被相続人の代からの値上がり益(含み益)に対する税金まで、株を引き継いだ相続人が、売却したときにまとめて負担する形になります。

分割時の評価額
遺産分割で使う金額
売却時に課税
含み益に約20.3%
(取得費は被相続人から引継ぎ)
実際の手取り
評価額より小さくなることがある
— 「評価額」がそのまま手取りになるとは限らない —

このため、遺産分割では「評価額=そのまま手取り」ではない点に注意が必要です。たとえ評価額が同じでも、含み益の大きい株式を引き継ぐ相続人は、将来の売却時に税負担を抱えることになり、現金や他の財産を引き継ぐ相続人との間で、実質的な不公平が生じることがあります。分割協議の段階で、この「将来の税負担」を見込んで取得割合や代償金を設計しておくことが、後のトラブルを防ぐうえで大切です。

相続開始から一定期間内に売却する場合に相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」など、税負担を調整する制度もあります。具体的な税額計算・適用可否・確定申告は税理士の専門領域です。詳しくは税理士にご相談ください。
Q 分け方や評価で揉めたとき、弁護士に相談するとどうなりますか?
A
結論として、弁護士は、評価方法や分割方法の選び方、将来の税負担を踏まえた代償金の設計、そして話し合いがまとまらない場合の遺産分割調停・審判まで、一貫してサポートできます。

株式の遺産分割は、「評価額」「分割方法」「将来の税負担」という複数の要素が絡み合うため、感情的な対立に発展しやすい分野です。弁護士に相談することで、どの分割方法が相続人全体にとって公平か、代償金をいくらに設定すべきか、といった点を法的・実務的な観点から整理できます。

協議で合意できない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。調停・審判の管轄は、原則として相手方となる相続人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意した家庭裁判所です。茨城県南部では、相手方の住所地に応じて、水戸家庭裁判所龍ケ崎支部(守谷市・取手市・牛久市・龍ケ崎市など)、土浦支部(つくばみらい市・つくば市・土浦市など)、下妻支部(常総市・坂東市など)が窓口になり得ます。

守谷・つくばみらい・常総エリアの株式相続の傾向

TX(つくばエクスプレス)沿線の守谷市・つくばみらい市や、つくば研究学園都市の周辺には、東京都内に通勤する会社員や研究機関の技術者として資産形成をしてきた世帯が多く、勤務先の持株会やネット証券で取得した上場株式が相続財産に含まれるケースが少なくありません。一方、常総市・坂東市など県西側では、農業法人や地元の中小企業(同族会社)を営む家庭が多く、非上場の自社株をめぐる事業承継型の遺産分割が問題になりやすい傾向があります。上場株式か非上場株式かによって、評価や分け方の難しさは大きく変わります。

CONTACT

株式の遺産分割は、評価・分け方・将来の税負担が絡み合い、ご家族だけでは整理が難しい場面が少なくありません。まずは状況をお聞きしたうえで、考えられる分割の進め方をご説明します。お一人で抱え込まず、お早めにご相談ください。

弁護士 吉津和輝
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更新履歴

2026年6月19日:公開

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士に、税額計算・確定申告など税務に関する事項は税理士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)6月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年6月19日/最終更新日:2026年6月19日