算定表にない婚姻費用の計算式
— 子が多いとき・請求する側に子がいないとき
主な取扱分野:離婚・親権・婚姻費用・財産分与、相続、家事調停・審判
よくあるご質問
| Q | 婚姻費用が算定表で決まらないのは、どんなときですか? |
| A |
結論として、算定表は「子が3人まで」「子は全員が請求する側(権利者)と暮らしている」ことを前提に作られています。子が4人以上いる場合や、子が相手方(請求される側)と暮らしている場合は、算定表の早見表に当てはまらず、計算式で求めることになります。
婚姻費用とは、別居中も含めて夫婦と未成熟子が生活していくために必要な費用です。受け取る側を「権利者」、支払う側を「義務者」と呼びます。法律上の根拠は民法にあります。
【根拠】民法(明治29年法律第89号)第760条(婚姻費用の分担):「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」
同第752条(同居、協力及び扶助の義務):「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」 家庭裁判所が公表している算定表は、金額の目安を簡易・迅速に出すための早見表です。婚姻費用の算定表は、子の人数が3人までの表しか用意されておらず、また、子は全員が権利者と一緒に暮らしている前提で組まれています。 そのため、①子が4人以上いる、②子が相手方(義務者)と暮らしていて請求する側に子がいない、③子が双方に分かれて暮らしているといったケースでは、算定表をそのまま使えません。これらは、算定表のもとになっている計算式(標準算定方式)に直接当てはめて求めます。 |
| Q | 算定表にない場合に使う「標準算定方式」の計算式を教えてください。 |
| A |
結論として、標準算定方式は、①基礎収入を出す → ②夫婦双方の基礎収入を世帯ごとに按分する → ③権利者の基礎収入を差し引く、という3つのステップで計算します。子の人数や子がどちらと暮らすかは、②の「生活費指数」をどう置くかで反映されます。
① 基礎収入=総収入×基礎収入割合。令和元年版の基礎収入割合は、給与所得者でおおむね38〜54%、自営業者(事業所得者)でおおむね48〜61%です(収入が高いほど割合は下がります)。 ② 世帯ごとに按分。生活費指数は、親(成人)を100として、0〜14歳の子は62、15歳以上の子は85です。子が複数なら人数分を足します。
権利者世帯への配分額 =(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)
×(権利者世帯の生活費指数の合計)÷(夫婦と子全員の生活費指数の合計) ③ 控除。配分額から権利者自身の基礎収入を引いた額が、義務者が分担する年額です。12で割ると月額になります。
ポイントは、計算式の「権利者世帯の生活費指数」に入れるのは、権利者本人と「権利者と一緒に暮らす子」だけだという点です。子が相手方(義務者)と暮らしていれば、その子の指数は権利者側には入りません(分母の全体には残ります)。この置き方の違いが、子の所在によって金額が変わる理由です。
— 生活費指数:親100/0〜14歳62/15歳以上85(令和元年版) —
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| Q | 子が4人以上いる場合は、どう計算しますか? |
| A |
結論として、算定表は子3人までしかないため、子が4人以上のときは計算式で求めます。やり方は同じで、権利者世帯の生活費指数に、子の人数分(0〜14歳は62、15歳以上は85)をすべて足して按分します。
たとえば、義務者(夫)が給与年収900万円、権利者(妻)が給与年収120万円で、16歳・13歳・10歳・7歳の子4人を妻が育てているケースで計算してみます。
① 基礎収入
義務者:900万 × 40% = 360万円/権利者:120万 × 46% = 55.2万円 ② 生活費指数 権利者世帯:100+85(16歳)+62(13歳)+62(10歳)+62(7歳)= 371 義務者:100 / 合計:471 配分額 =(360万+55.2万)× 371 ÷ 471 ≒ 327万円 ③ 控除して月額へ 分担額(年)= 327万 − 55.2万 ≒ 272万円 月額 = 272万 ÷ 12 ≒ 月約22.7万円
子の人数が増えるほど権利者世帯の生活費指数が大きくなり、分担額も大きくなります。数値は前提となる収入・年齢で変わります。私立学校の学費や高額な医療費がある場合は、別途加算を検討することもあります。
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| Q | 請求する側に子がいない(子が相手方と暮らしている)場合は、婚姻費用をもらえますか? |
| A |
結論として、請求する側(権利者)に子がいなくても、自分の収入が相手方より低ければ、自分の生活費分の婚姻費用を請求できる場合があります。ただし、子の生活費指数が相手方(義務者)の世帯に入るため、子が請求する側にいる場合に比べて金額は小さくなります。
この場合、計算式の「権利者世帯の生活費指数」は権利者本人の100だけになり、子の指数は相手方側(と分母)に入ります。たとえば、義務者(夫)が給与年収700万円、権利者(妻)が給与年収150万円で、10歳の子1人を夫が育てている(妻には子がいない)ケースは次のようになります。
① 基礎収入:義務者700万×41%=287万円/権利者150万×44%=66万円
② 生活費指数:権利者世帯=100(本人のみ)/義務者世帯=100+62(10歳)=162/合計262 配分額 =(287万+66万)× 100 ÷ 262 ≒ 135万円 ③ 控除して月額へ:分担額(年)=135万 − 66万 ≒ 69万円 → 月約5.7万円 同じ家族で、もし10歳の子を妻(権利者)が育てていたとすると、配分は(287万+66万)×162÷262となり、分担額は月約12.7万円になります。子が相手方と暮らしているかどうかで、ここまで差が出ます。
— 夫700万・妻150万・10歳の子1人で計算した場合の比較 —
なお、請求する側のほうが収入が高い場合は、計算上の分担額が出ない(ゼロになる)こともあります。実際の金額は収入や子の年齢で変わりますので、具体的な見通しは弁護士にご確認ください。
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| Q | 子が双方に分かれて暮らしている場合は、どう計算しますか? |
| A |
結論として、子が双方に分かれているときも計算式で求めます。各世帯の生活費指数を「その世帯にいる親+その世帯で暮らす子」で数え、権利者世帯の指数で按分します。
たとえば、義務者(夫)が給与年収700万円で15歳の子と暮らし、権利者(妻)が給与年収150万円で10歳の子と暮らしているケースです。
① 基礎収入:義務者700万×41%=287万円/権利者150万×44%=66万円
② 生活費指数:権利者世帯=100+62(10歳)=162/義務者世帯=100+85(15歳)=185/合計347 配分額 =(287万+66万)× 162 ÷ 347 ≒ 165万円 ③ 控除して月額へ:分担額(年)=165万 − 66万 ≒ 99万円 → 月約8.2万円 このように、それぞれの世帯が抱える子の指数を世帯ごとに数えることで、子が分かれているケースでも金額を出せます。どの子をどちらが監護しているか、年齢は何歳かによって結果が変わります。 |
| Q | 算定表にないケースで婚姻費用分担調停を申し立てるときの進め方・注意点は? |
| A |
結論として、まず収入資料(源泉徴収票・確定申告書・課税証明書など)をそろえ、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てます。調停で合意できなければ審判に移り、裁判所が計算式と事情をもとに金額を判断します。
算定表にないケースでは、子の人数や子の所在をどう計算式に反映するかで金額が変わります。誰がどの子を実際に監護しているか(生活の実態)を、資料とともに整理して主張することが大切です。 申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所が原則です(当事者の合意で別の家庭裁判所を定めることもできます)。茨城県南部の家事事件の管轄は、お住まいの市によって分かれています。
・守谷市・取手市・牛久市・龍ケ崎市 → 水戸家庭裁判所 龍ケ崎支部
・つくばみらい市・つくば市・土浦市 → 水戸家庭裁判所 土浦支部 ・常総市・坂東市・下妻市 → 水戸家庭裁判所 下妻支部
婚姻費用は、一般に請求した時点以降の分が認められる扱いとされています。別居が長引くこともあるため、早めに方針を整理しておくことが大切です。
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別居を始めるとき、どの子をどちらが連れて行くかは家庭ごとにさまざまです。守谷・取手・つくばみらい・常総・坂東など県南エリアでも、お子さんが相手方と暮らしているケースや、きょうだいが双方に分かれて暮らしているケースのご相談があります。こうした場合は算定表の早見表に当てはまらないため、計算式に基づいて見通しを立てることが大切です。
お子さんが多い場合や、お子さんが相手方と暮らしている場合の婚姻費用は、算定表だけでは見通しが立ちにくいところです。状況をお聞きしたうえで、計算の枠組みや必要となる資料についてご説明します。初回相談は面談またはZOOMで承っています。
📞 050-3623-1320
別居中の生活費(婚姻費用)の基本的な考え方や、養育費との違いについての記事も準備しています。
※公開後、URLが確定したら手動でリンクを設定してください(推測URLは貼っていません)。
守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市・坂東市など、TX(つくばエクスプレス)沿線・常磐線沿線の地域からのご相談に対応しています。お住まいの地域のページもご覧ください。
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・民法(明治29年法律第89号)/e-Gov法令検索(デジタル庁)
・平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について/標準算定方式・算定表(令和元年版)(裁判所)
・茨城県内の管轄区域表(裁判所)
・2026年6月16日:公開
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)6月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年6月16日|最終更新日:2026年6月16日
