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運送業の下請取引と2026年の法改正|守谷市・常総市・取手市・つくばみらい市|— 取適法(旧下請法)・運送契約の書面化と、運送会社が確認すべきこと

企業法務 · 物流/運送業

運送業の下請取引と2026年の法改正
— 取適法(旧下請法)・運送契約の書面化と、運送会社が確認すべきこと

守谷・常総・坂東・つくばみらいの運送・物流事業者の方へ
弁護士 吉津和輝 / 茨城県弁護士会所属
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属(登録番号57714)/2018年12月弁護士登録
主な取扱分野:企業法務(運送・物流/下請取引)・契約書・労務・交通事故
守谷・茨城県南で運送・物流業を営む経営者の方へ。2026年1月1日、これまでの「下請法」が「取適法(中小受託取引適正化法)」へと改正され、運送の委託が規制の対象として明確に加わりました。あわせて、2025年4月施行の改正貨物自動車運送事業法により、運送契約の書面交付も義務化されています。本記事では、運送の下請・再委託をめぐる契約で何に気をつければよいかを、条文に沿って整理します。
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弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
00 2026年、運送業の取引ルールはこう変わった

運送・物流業の取引には、いま二つの大きな法改正が同時に影響しています。一つは、取引代金の支払や買いたたきを規制する取適法(旧下請法)。もう一つは、運送契約そのものの書面化や多重下請の是正を進める改正貨物自動車運送事業法(物流2法)です。

どちらも、運送会社が「下請に出す側」「元請から請ける側」のいずれの立場でも関わってきます。まず全体像を、旧法と新しいルールの対応で整理します。

【図1】下請法 → 取適法(2026年1月1日施行)の主な変化
これまで(〜2025年) 2026年1月から
下請法(下請代金支払遅延等防止法) 取適法(中小受託取引適正化法)
親事業者 委託事業者
下請事業者 中小受託事業者
規模要件は資本金のみ/運送は役務提供委託で対象になり得た 従業員基準を追加/「特定運送委託」を対象に追加
— 用語と適用範囲が変わった点に注意 —

よくあるご質問

Q 2026年1月から「下請法」が「取適法」に変わったと聞きました。運送業に関係ありますか?
A
関係します。2026年1月1日施行の取適法では、運送の委託が規制対象として明確に位置づけられました。

旧「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」が令和7年法律第41号により改正され、名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法)に変わりました。令和7年5月23日公布、令和8年(2026年)1月1日施行です。あわせて「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」へと用語も改められました。

運送業との関係では、次の二つを押さえておくと整理しやすくなります。

(1)従来から、運送会社が請けた運送を他社に再委託する取引は「役務提供委託」の一類型として対象になり得ました。
(2)改正により、「特定運送委託」(発荷主が運送事業者に物品の運送を委託する取引)が新たに対象取引へ加わりました。

つまり、運送を「下請に回す取引」も「荷主から請ける取引」も、取適法の視野に入ったということです。

【根拠】製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(昭和31年法律第120号。令和7年法律第41号による改正)第2条ほか
Q うちは元請から運送を請け負って、一部を他社に回しています。取適法では「委託事業者」になりますか?
A
取引の内容と、自社・相手方の規模(資本金または従業員数)の組み合わせで決まります。両方の条件を満たすと、運送を回す側は「委託事業者」として義務を負います。

取適法の適用は、①取引の類型(製造委託・修理委託・特定運送委託・情報成果物作成委託・役務提供委託〔運送を含む〕)と、②当事者の規模(資本金基準または従業員基準)の組み合わせで判断します。運送(役務提供委託のうち運送)や特定運送委託は、次の区分で委託事業者と中小受託事業者を分けます。

・委託事業者:資本金3億円超、または従業員300人超
・中小受託事業者:資本金3億円以下、または従業員300人以下

改正で資本金基準に加えて従業員基準(300人・100人)が新設されたため、資本金が小さくても従業員数が多ければ委託事業者になり得ます。

下請に出すとき
委託事業者
義務を負う側。発注明示・支払期日・買いたたき禁止などのルールを守る立場。
元請から請けるとき
中小受託事業者
保護される側。一方的な減額・支払遅延・買いたたきから守られる立場。
— 同じ運送会社が、取引ごとに両方の立場に立つことがある —
Q 委託事業者になると、具体的に何を守る必要がありますか?
A
取適法は委託事業者に「4つの義務」と「11の禁止事項」を課しています。発注内容の明示と、受領から60日以内の支払期日設定が代表例です。

まず、委託事業者が果たすべき4つの義務は次のとおりです。

【図2】委託事業者の4つの義務
発注内容等(給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法等)を書面または電磁的方法で明示する
取引が完了したら、取引記録を書類または電磁的記録として作成し、2年間保存する
受領した日から起算して60日以内の、できる限り短い期間で支払期日を定める
支払遅延・減額をした場合、遅延利息(年率14.6%)を支払う

次に、11の禁止事項のうち、運送の取引で特に問題になりやすいものを挙げます。

買いたたき/減額/支払遅延(手形払を含む)/受領拒否/返品/購入・利用強制/不当な経済上の利益の提供要請/不当な給付内容の変更・やり直し/報復措置/有償支給原材料等の対価の早期決済/協議に応じない一方的な代金決定(改正で新設)

なお、発注内容の明示は、中小受託事業者の承諾がなくても電子メール等の電磁的方法で行えるようになりました。

【出典】公正取引委員会「取適法リーフレット」(令和7年8月)に基づく義務・禁止事項の整理
Q 荷主や元請から運賃を一方的に据え置かれています。燃料費は上がっているのに協議に応じてもらえません。取適法で何か言えますか?
A
2026年施行の取適法では、価格協議の求めに応じない一方的な代金決定が、新たに禁止行為とされました。

改正で新設された禁止行為(協議に応じない一方的な代金決定)とは、中小受託事業者から代金額の協議の求めがあったのに、協議に応じない、または必要な説明・情報提供をせず、一方的に代金を決めることを指します。燃料費・人件費などのコストが変動しているのに価格を据え置く取引が、念頭に置かれています。

コスト上昇分を反映しない著しく低い対価を不当に定めることは、「買いたたき」として問題となる場面もあります。

⚠️ 取適法違反が疑われる場合、公正取引委員会・中小企業庁・事業所管省庁に相談や申告ができます。申告したことを理由に取引数量を減らす・取引を停止するなどの報復措置は禁止されています。

あわせて、独占禁止法上の優越的地位の濫用の問題となる場合もあります。どの制度で対応するかは、力関係や取引の経緯によって変わるため、証拠(やりとりの記録・見積書・契約書)を整理したうえで検討することが大切です。

【根拠】私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)第2条第9項第5号(優越的地位の濫用)
Q 運送契約は口頭でも大丈夫ですか? 書面はどこまで必要ですか?
A
取適法とは別に、2025年4月施行の改正貨物自動車運送事業法で、運送契約締結時の書面交付が義務付けられています。

物流2法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律。令和6年法律第23号)により、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第12条で、荷主とトラック事業者が運送契約を締結するときの書面交付(電磁的方法も可)が義務付けられました(令和7年4月1日施行)。

書面に記載すべき主な事項は次のとおりです。

役務の内容/附帯業務の有無・内容/運賃・料金/燃料サーチャージ・高速道路利用料などの特別に生ずる費用に係る料金/契約当事者の氏名・名称・住所 など

なお、基本契約書で法定事項を網羅していれば、日々の運送依頼ごとの書面交付は不要となる場合があります。ただし、附帯業務の有無が依頼ごとに変わるようなときは、その都度の明示が必要になる場面があります。取適法の発注明示義務(Q3)とは別の制度であり、運送会社は両方を意識しておく必要があります。

【根拠】貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第12条(令和6年法律第23号による改正、令和7年4月1日施行)/国土交通省
Q 再委託・多重下請にも規制が及ぶと聞きました。どう変わりますか?
A
改正貨物自動車運送事業法は、多重下請構造の是正に向けて、実運送体制管理簿の作成などを段階的に義務化しています。

真荷主から運送を引き受けた元請事業者には、実際に運送する事業者の名称等を記載した「実運送体制管理簿」の作成・保存義務があります(令和7年4月1日施行)。委託先の健全な事業運営の確保に資する取組(健全化措置)の努力義務や、一定規模以上の事業者への運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任義務も設けられました。

さらに令和7年成立の貨物自動車運送事業法改正で、多重下請構造の是正、無許可業者への委託禁止などが、段階的に施行されることとされています。再委託の階層を「見える化」し、責任の所在を明確にする方向です。

取適法の禁止行為(買いたたき等)は、元請・下請の各段階の取引にも及び得ます。再委託に出す立場でも、出される立場でも、契約条件と記録を整えておくことが予防になります。

これらは順次施行されるため、施行時期や対象の細部は国土交通省の最新情報をご確認ください。自社が「元請(利用運送を含む)」「実運送」のどちらに当たるかで、課される義務が変わります。

【出典】国土交通省「改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行等)について」/貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)
守谷・県南の運送会社の実情と、いま見直しておきたいこと

守谷市・常総市・坂東市・つくばみらい市は、圏央道(常総IC・坂東IC)や常磐自動車道(谷和原IC・守谷SA)へのアクセスの良さから、大型の物流倉庫・配送センターが立地しやすく、運送や庫内作業を担う事業者が多い地域です。TX(つくばエクスプレス)沿線の開発に伴い、物流拠点の集積も進んでいます。

こうした地域では、元請として下請に運送を回す立場と、元請から運送を請け負う立場の両方に立つ運送会社が少なくありません。取適法・改正貨物自動車運送事業法のいずれの観点からも、まず「自社がどちらの立場か」を取引ごとに整理し、発注書・契約書・運送依頼書の様式を見直しておくことが、後のトラブルの予防につながります。

CONTACT

運送の下請・再委託、運賃の据え置き、契約書面の整備など、取適法・改正貨物自動車運送事業法をめぐるお悩みは、取引の実情をお聞きしたうえで整理してご説明します。顧問契約による継続的なサポートも承っています。当職までお気軽にご相談ください。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属/〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
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参考資料・情報源

e-Gov法令検索(デジタル庁)
中小受託取引適正化法(取適法)関係(公正取引委員会)
法令・ガイドライン等(取適法)(公正取引委員会)
改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行等)について(国土交通省)

更新履歴

2026年6月16日:公開(取適法〔令和8年1月施行〕・改正貨物自動車運送事業法〔令和7年4月施行〕に対応)

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)6月時点の情報に基づいています。法令の施行状況や実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年6月16日|最終更新日:2026年6月16日