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家賃を滞納された大家・オーナーの対応|守谷市・つくばみらい市・常総市・取手市|契約解除・明渡しの進め方とやってはいけないこと

不動産・賃貸トラブル

家賃を滞納された大家・オーナーの対応 — 契約解除・明渡しの進め方とやってはいけないこと

弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属|2018年12月弁護士登録(登録から約7年)
主な取扱分野:不動産トラブル・賃貸借・建物明渡し・相続・企業法務

アパート・マンションを貸している大家・オーナーの方へ。入居者の家賃滞納が続くと、「すぐに出て行ってもらいたい」と考えるのが自然です。もっとも、家賃滞納を理由とする契約解除・明渡しには、法律上のルールと一定の手順があります。本記事では、解除が認められる目安、明渡しまでの流れ、そして避けるべき「自力救済」について、民法の条文に沿って整理します。

賃貸トラブル・建物明渡しのご相談を承っています
弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)|〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
Q家賃を1〜2か月滞納されたら、すぐに契約を解除して追い出せますか?
A
結論として、家賃滞納があっても、ただちに契約解除・明渡しが認められるとは限りません。1〜2か月程度の滞納では認められにくいのが一般的です。

賃貸借契約は、貸主が物件を使わせ、借主が賃料を払い、終了時に返還することを内容とする継続的な契約です(民法第601条)。契約に違反(家賃の不払い)があった場合、相当の期間を定めて支払いを催告し、その期間内に支払いがなければ契約を解除できるのが原則です(民法第541条)。

もっとも、賃貸借は長く続く関係であることから、実務では「信頼関係破壊の法理」という考え方が用いられています。これは、家賃滞納などの違反があっても、貸主と借主の信頼関係が破壊されたといえる程度に至って初めて解除が認められる、という考え方です。一般的には、滞納が3か月程度に及ぶと信頼関係の破壊が認められやすい傾向があるとされますが、滞納額、滞納に至った経緯、それまでの支払状況、借主の対応などを総合的に考慮して判断されます。

【根拠】民法(明治29年法律第89号)第541条(催告による解除):「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。」
⚠️ 「何か月滞納したら必ず解除できる」という一律の基準があるわけではありません。最終的には個別の事情によって判断されます。
Q契約を解除して明渡しを求めるには、どんな手順を踏むのですか?
A
結論として、一般的には「督促・連絡 → 内容証明郵便での催告兼解除通知 → 建物明渡請求訴訟 → 判決・和解 → 強制執行」という順序で進めます。

まず、滞納が生じた段階で、電話・書面などで支払いを促します。任意の支払いがない場合、相当の期間を定めて支払いを催告し、その期間内に支払いがなければ契約を解除する旨を、記録の残る内容証明郵便で通知することが一般的です(民法第541条)。

それでも明渡しに応じない場合、建物明渡しを求める訴訟を提起します。訴訟は、物件の所在地を管轄する裁判所に提起します。判決や和解で明渡しが認められても、借主が任意に退去しない場合は、別途、強制執行の手続きが必要になります。

督促・連絡(電話・書面で支払いを促す)
内容証明郵便で催告兼解除通知(相当期間を定めて催告)
建物明渡請求訴訟(物件所在地を管轄する裁判所へ)
判決・和解
強制執行(任意に退去しない場合)
図:家賃滞納から明渡しまでの一般的な流れ(事案により異なります)
不動産管理会社に管理を委託している場合でも、契約解除の意思表示・明渡訴訟・強制執行といった法的措置は、原則として貸主(オーナー)自身が行う必要があります。契約書・賃料の入金記録・督促の記録などを整理しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。
Q入居者と連絡が取れず、部屋に住んでいるかも分かりません。どうすればいいですか?
A
結論として、借主が所在不明でも、公示送達などの方法により解除の意思表示を到達させ、明渡しを求めることは可能です。ただし時間と費用がかかります。

契約を解除するには、借主に解除の意思表示を「到達」させる必要があります。意思表示は、相手方に到達した時から効力を生じます(民法第97条)。借主の所在が分からない場合でも、相手方を知ることができない、または所在を知ることができないときは、公示による意思表示という方法をとることができます(民法第98条)。この場合、最後に官報に掲載した日などから2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなされます。

訴訟手続の中で書類を送達する場面でも、所在が分からない相手方に対しては、公示送達の制度があります(民事訴訟法第110条)。

【根拠】民法第97条(意思表示の効力発生時期等)第1項:「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」/民法第98条(公示による意思表示)第1項:「意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。」
【根拠】民事訴訟法(平成8年法律第109号)第110条(公示送達の要件)第1項:当事者の住所・居所その他送達をすべき場所が知れない場合などに、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる旨を定めています。
いざというときの対応を早めるため、契約時に緊急連絡先や連帯保証人の連絡先など、複数の連絡手段を確保しておくことが役立ちます。
Q滞納されたからといって、鍵を交換したり荷物を処分したりしてもいいですか?
A
結論として、認められません。大家が自分の判断で鍵を交換する・立ち入る・家財を処分するといった「自力救済」は、たとえ滞納が事実でも違法と評価され、損害賠償の対象となる場面があります。

日本の法律では、権利を実現するための手続きは裁判所を通じて行うのが原則で、当事者が実力で権利を実現する「自力救済」は、原則として認められていません。家賃の滞納が続いていても、貸主が一方的に部屋へ立ち入ったり、入居者の荷物を運び出したりすることはできません。明渡しは、判決を得て強制執行の手続きによって実現します。

鍵の交換・締め出し無断で施錠・鍵交換をする
勝手な立入り借主の承諾なく室内に入る
家財の搬出・処分荷物を運び出す・捨てる
氏名の張り出し等滞納の事実を掲示して晒す
図:いずれも違法と評価され、損害賠償等の対象となる場面があります
⚠️ 契約書に「滞納時は鍵を交換できる」といった条項があっても、その条項自体が無効と判断される場面があります。実力行使ではなく、法的手続きによって進めることが大切です。
Q滞納された家賃や、明渡しが遅れた間の損害は請求できますか?
A
結論として、滞納家賃は借主の債務不履行として請求でき、契約解除後から明渡し完了までの期間についても、賃料相当額の損害金を請求できる場合があります。

家賃の滞納は、借主の賃料支払義務の不履行にあたります。建物の賃料は、原則として毎月末に支払うものとされています(民法第614条)。契約を解除した後も借主が居座っている場合、その占有によって貸主は本来得られたはずの賃料相当額を失うため、賃料相当額の損害金(使用損害金)を請求できる場合があります。

連帯保証人や家賃保証会社が付いている場合は、そちらへの請求も検討します。遅延損害金の利率は、契約に定めがあればその定めによります。

【根拠】民法第614条(賃料の支払時期):「賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。」
請求が認められても、実際に回収できるかは相手方の資力などにもよります。早めに状況を整理し、回収の見込みも含めて方針を検討することが大切です。
地域の実情メモ

つくばエクスプレスの開業以降、守谷市・つくばみらい市などTX沿線では宅地開発と集合住宅の建設が進み、相続で賃貸物件を引き継いだ方や、転居・住み替えに伴い自宅を賃貸に出す個人オーナーの方も見られます。管理会社に委託していても、契約解除の意思表示・明渡訴訟・強制執行といった法的措置は、原則として貸主自身が行う必要があります。滞納が長期化する前の段階で、契約書・入金記録・督促の記録を整理しておくことが、その後の手続きを進めやすくします。

家賃滞納や明渡しは、滞納の状況や契約内容、入居者の対応によって取るべき手順が変わります。当職が状況をお聞きしたうえで、考えられる進め方をご説明します。初回のご相談は面談またはZOOMでお受けしています。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属|〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
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📞 050-3623-1320
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参考資料・情報源

e-Gov法令検索(デジタル庁)
民法(明治29年法律第89号)(第97条・第98条・第541条・第601条・第614条)
民事訴訟法(平成8年法律第109号)(第110条)

更新履歴
  • 2026年6月15日:記事を公開しました。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)6月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年6月15日|最終更新日:2026年6月15日