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事故物件(心理的瑕疵)の告知義務|守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市| — 売る人・買う人が知っておきたい基準

不動産・売買トラブル

事故物件(心理的瑕疵)の告知義務はどこまで? — 売る人・買う人が知っておきたい基準

弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)
弁護士 吉津和輝(よしつ かずき)
茨城県弁護士会所属|2018年12月弁護士登録(登録から約7年)
主な取扱分野:不動産トラブル・売買契約・契約不適合責任・相続・企業法務

中古住宅や土地を売る方・買う方へ。過去に人が亡くなった不動産は「事故物件」と呼ばれ、心理的な抵抗感から取引に影響することがあります。どこまで告げる必要があるのか(告知義務)、告げられずに買ってしまったときに何ができるのか。国土交通省のガイドラインと民法のルールをもとに整理します。

不動産の売買・告知をめぐるご相談を承っています
弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)|〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
Qそもそも「事故物件」「心理的瑕疵」とは何ですか?
A
結論として、心理的瑕疵とは、物件で過去に起きた出来事などにより、通常一般の人が嫌悪感や心理的な抵抗を覚える事情をいい、こうした事情のある不動産が「事故物件」と呼ばれます。

瑕疵とは、目的物が通常備えているべき品質・性能を欠いていることをいいます。このうち心理的瑕疵は、雨漏りやひび割れといった物理的な欠陥とは別に、心理面に着目した事情です。具体的には、物件内での自殺・他殺や、発見が遅れて特殊清掃を要した孤独死などが、心理的瑕疵に当たり得る代表的な例です。

もっとも、人の死があれば一律に心理的瑕疵になるわけではありません。心理的瑕疵に当たるかは、購入・賃借の目的、死の態様、発生からの期間、周辺の状況などを総合的に考慮して判断されます。

「事故物件かどうか」は、関係者の主観ではなく、通常一般の人を基準に、取引の判断に重要な影響を及ぼすといえるかどうかで考えられます。
Q売主や不動産会社は、過去の死をどこまで告げる必要がありますか?
A
結論として、国土交通省のガイドラインは、買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす場合は告げる必要があるとしつつ、一定の場合は告げなくてよいとする一般的な基準を示しています。

国土交通省は、令和3年(2021年)10月、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定し、これまでの裁判例や取引実務を踏まえて、宅地建物取引業者が告げる範囲の一般的な基準を示しました。主に、告げなくてよいとされる場合は次のとおり整理されています。

① 自然死・日常生活上の不慮の死老衰・病死や、転倒・誤嚥・入浴中の溺死など
② 賃貸借で一定期間が経過賃貸借取引で①以外の死、または特殊清掃等を要した①が発覚し、おおむね3年が経過
③ 隣接住戸・通常使用しない共用部分取引対象でない隣の住戸や、日常的に使わない共用部分で生じた死
図:原則として告げなくてよいとされる主な場合(国土交通省ガイドライン)
⚠️ ①でも、発見が遅れて特殊清掃や大規模リフォームを要した場合は、告げる対象となり得ます。また、事件性・周知性・社会的影響が特に高い事案は除かれます。さらに、買主・借主から問われた場合は、上記にかかわらず、知っている事実を告げる必要があります。
②の「おおむね3年」という目安は賃貸借取引について示されたもので、売買取引には同様の年数の基準は置かれていません。ガイドラインは宅地建物取引業者に向けたものですが、売主・貸主の説明義務を考えるうえでの参考になります。
Q事故物件と知らされずに買ってしまいました。何ができますか?
A
結論として、告げられるべき心理的瑕疵が告げられていなかった場合、買主は売主に対し、契約不適合責任に基づく追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除を求められる場合があります。

引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないときは、買主は売主に対し、修補などの履行の追完を請求できます(民法第562条)。相当の期間を定めて追完を催告しても追完がないときは、不適合の程度に応じて代金の減額を請求できます(民法第563条)。これに加えて、損害賠償請求や契約解除も問題となり得ます。

宅地建物取引業者が関与し、重要な事項について故意に事実を告げなかったような場合は、宅地建物取引業法上の問題ともなり得ます。同法第35条は重要事項の説明を定め、第47条は、契約の判断に重要な影響を及ぼす事項について故意に事実を告げない行為などを禁じています。

追完請求修補などを求める(民法562条)
代金減額請求不適合の程度に応じて減額(民法563条)
損害賠償請求生じた損害の賠償を求める
契約解除一定の場合に契約を解除する
図:買主が取り得る主な手段(売買・契約不適合責任)
【根拠】民法(明治29年法律第89号)第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限):売主が種類・品質に関して契約に適合しない目的物を引き渡した場合、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、原則として追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除をすることができない、と定めています(売主が引渡しの時に不適合を知り、または重大な過失で知らなかったときを除く)。
⚠️ 認められるかどうかは、事案の内容、告知の有無、売主の認識などの個別事情によります。契約書・重要事項説明書・やりとりの記録など、関係する資料を早めに確保しておくことが大切です。
Q反対に、事故物件を売る側です。告げないと後でトラブルになりますか?
A
結論として、告げるべき事情を知りながら告げずに売ると、後で買主から契約不適合責任や損害賠償を問われる場面があります。客観的な事実を正確に伝えることが、トラブルの予防につながります。

媒介を行う宅地建物取引業者は、売主・貸主に対し、過去に生じた人の死について、告知書等への記載を求める方法で調査を行うとされています(ガイドライン)。売る側としては、曖昧な表現や主観的な評価を避け、発生した事実を客観的に記載することが基本になります。

「いつまで告げる必要があるか」は事案によって異なり、特に売買取引については、賃貸借のような明確な年数の基準が置かれていません。判断に迷う場合は、告げる方向で対応を検討することが、後の紛争を避けるうえで安全な場面が多いといえます。

不動産登記や税務に関する具体的な手続きは、それぞれの専門家の領域です。登記については司法書士に、税務については税理士にご相談ください。
Q物件のすぐ近く(隣の部屋や近隣)で事件があった場合も告げる必要がありますか?
A
結論として、ガイドラインは、取引対象そのものではない隣接住戸や、日常生活で通常使用しない共用部分で生じた死については、原則として告げなくてよいとしています。

取引の対象となる住戸や土地そのものではなく、隣の住戸や、日常的に使わない集合住宅の共用部分で生じた死については、買主・借主の判断に及ぼす影響が相対的に小さいと考えられ、原則として告げなくてよいとされています。

もっとも、これはあくまで原則です。事件性・周知性・社会的影響が特に高い事案については、別に考える必要があります。また、「告げなくてよい」とされる場合でも、買主・借主から質問された事実については、知っている範囲で正確に答えることが望まれます。

⚠️ ガイドラインは取引実務の一般的な指針であり、すべての事案を一律に割り切れるものではありません。判断に迷うケースでは、個別に検討することが大切です。
地域の実情メモ

守谷市・取手市・常総市などでは、相続した実家(空き家)や中古の一戸建てを売却するご相談が見られます。郊外の戸建て・土地の取引では、過去の居住者の事情が分からないまま売買が進むこともあり、後から「聞いていなかった」という行き違いが生じることがあります。売る側は分かっている事実を客観的に伝え、買う側は気になる点を契約前に書面で確認しておくことが、双方にとってのトラブル予防になります。

事故物件(心理的瑕疵)の告知をめぐる問題は、告知の有無、当事者の認識、契約の内容によって結論が変わります。買った側・売った側のいずれの立場でも、当職が状況をお聞きしたうえで、考えられる対応をご説明します。初回のご相談は面談またはZOOMでお受けしています。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属|〒302-0128 茨城県守谷市けやき台3-28-7
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📞 050-3623-1320
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更新履歴
  • 2026年6月15日:記事を公開しました。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は令和8年(2026年)6月時点の情報に基づいています。法律・実務の取り扱いは今後変更される可能性があります。
公開日:2026年6月15日|最終更新日:2026年6月15日