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不法就労助長罪で逮捕されたらどうなる?刑事手続の流れと弁護士の活動・弁護士吉津和輝

 

刑事事件

不法就労助長罪で逮捕・捜査されたら
刑事弁護の流れと弁護士の活動

弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属)市川法律事務所に所属する弁護士です。

「警察から任意同行を求められた」「会社に捜索差押えが入った」「外国人従業員の件で逮捕された」——不法就労助長罪(入管法第73条の2)は、故意がなくても在留資格を確認しなかったなどの注意義務違反がある場合には「知らなかった」では免責されない犯罪であり、逮捕後の対応が結果を大きく左右します。2024年6月21日公布の改正入管法(令和6年法律第60号)により、2027年4月1日から罰則が引き上げられます。捜査・逮捕から判決までの流れと、弁護士に依頼すべき理由を解説します。

Q不法就労助長罪はどのような場合に逮捕されますか?
A
不法就労助長罪(入管法第73条の2)は、外国人に不法就労をさせた者・支配下に置いた者・あっせんした者が対象です。摘発のきっかけとしては以下のようなケースが見られます。
  • 入管当局による外国人の摘発・調査の過程で雇用先が発覚する
  • 労働基準監督署・警察による事業所への立入調査
  • 外国人労働者からの通報・内部告発
  • 取引先や競合他社からの通報
逮捕には、通常逮捕(逮捕状による)と現行犯逮捕があります。捜索差押えが先行して行われ、その後逮捕に至るケースもあります。また、逮捕前に任意同行・任意の取調べが行われる場合もあります。
⚠️ 任意の取調べであっても、供述内容はその後の捜査・裁判で重要な証拠となります。任意同行を求められた段階で弁護士に相談することをお勧めします。
Q逮捕された後の手続きはどのような流れになりますか?
A
段階 内容 期間
逮捕 警察署に身柄を拘束される 最大48時間
検察官送致(送検) 検察官に事件が引き継がれる 逮捕後48時間以内
勾留請求の判断 検察官が勾留を請求するかどうか判断する 送致後24時間以内
勾留 裁判官が勾留を認めると身柄拘束が続く 最大20日間(延長含む)
起訴・不起訴の決定 検察官が起訴するか不起訴にするかを決定 勾留期間内
刑事裁判 起訴された場合は公判手続きへ 数か月〜1年程度
勾留期間中は、会社経営・家族生活・社会的信用に深刻な影響が及びます。弁護士は勾留の段階から勾留却下・準抗告等の申立てを行い、早期の身柄釈放を目指すことができます。準抗告では、「身柄拘束が続くと会社の業務が回らなくなり従業員の生活に影響が及ぶ」といった事情を具体的に主張することが有効です。
Q起訴された場合、どのような判決になることが多いですか?
A
初犯であれば罰金刑や執行猶予付き判決となることが多い傾向にあると考えられます。もっとも、故意に不法就労をさせていた場合や、多数の外国人を組織的に就労させていたなど悪質性が高い場合は、初犯であってもより重い実刑となるケースがあります。

なお、自白事件であっても不起訴の可能性があるケースで、不起訴を目指す場合には、弁護士は検察官に向けていくつかの方向から働きかけます。

一つ目は、処罰することによって生じる不利益の大きさです。罰金刑を受ければ5年間にわたり技能実習・特定技能(改正施行後は育成就労・特定技能)の外国人を受け入れることができなくなります。雇用している外国人労働者が職を失うだけでなく、会社の事業そのものが立ち行かなくなりかねません。こうした具体的な影響を丁寧に伝えることが重要です。

二つ目は、刑罰を科さなくても再犯しないと判断してもらえる事情を積み上げることです。刑罰の目的の一つは再犯防止にあります。過失が軽微であったこと、摘発後に在留資格の確認体制を整え再発防止策を講じていることなどを示すことになります。
不起訴になれば前科はつきません。ただし見込みは事案によって大きく異なりますので、摘発・任意同行の段階で速やかに弁護士に相談することをお勧めします。
Q法人(会社)への影響はどうなりますか?
A
不法就労助長罪には両罰規定(入管法第76条の2)があり、行為者個人だけでなく法人にも罰金刑が科される可能性があります。2027年4月1日施行の改正により、法人に対する罰金上限も引き上げられる予定です。刑事処分以外にも以下のような影響が生じます。
  • 技能実習・特定技能の受入れ停止:不法就労助長罪で罰金刑を受けた場合、その後5年間、技能実習生・特定技能外国人の受入れができなくなります。なお2027年4月1日の改正施行後は技能実習制度が廃止され育成就労制度に移行するため、施行後は育成就労・特定技能の受入れ停止が対象となります。
  • 行政処分:許認可事業(派遣業・職業紹介業等)については、許可取消しや業務停止処分の対象となり得ます
  • 社会的信用の失墜:報道・取引先への影響・入札参加資格への影響等
  • 捜索差押えによる業務への影響:帳簿・パソコン等が差し押さえられると業務に支障が生じます
⚠️ 法人への影響を最小化するためにも、摘発の兆候がある段階で早期に弁護士に相談し、対応方針を整理することが重要です。
【重要】不法就労助長罪の罰則は、2024年6月21日公布の改正入管法(令和6年法律第60号)により、2027年4月1日から、現行の「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金またはその併科」から「5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金またはその併科」へ引き上げられます。
Q弁護士に依頼することでどのような弁護活動が期待できますか?
A
逮捕・捜査の各段階で弁護士ができることは以下のとおりです。
段階 弁護士ができること
逮捕直後 接見(面会)による状況確認・取調べへの対応アドバイス
勾留段階 勾留請求却下・準抗告の申立てによる早期釈放の実現
捜査段階 検察官への意見書(不起訴含む)提出・有利な事情の主張・立証
起訴後 執行猶予付き判決を目指した公判弁護(実刑回避)
法人対応 両罰規定への対応・行政処分への対応方針の検討
逮捕後48時間以内に検察官に送致され、その後24時間以内に勾留請求の判断がなされます。この間、弁護士以外との面会が制限される場合があります。早期に弁護士が接見し、取調べへの対応方針を伝えることが、その後の結果に大きく影響することがあります。ご家族が逮捕の連絡を受けた場合も、すぐに弁護士に連絡を検討してください。

「不法就労助長罪で逮捕・捜査を受けている」「任意同行を求められた」「家族が逮捕された」「会社に捜索差押えが入った」など、刑事事件に関するご相談はお気軽にどうぞ。初回相談で状況と対応方針をご説明します。

弁護士 吉津和輝
茨城県弁護士会所属
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。なお、本記事の内容は2026年4月時点の情報に基づいています。入管法の規定は今後変更される可能性があります。