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【遺言書の作り方と効力——種類・要件・注意点を弁護士が解説】

吉津和輝(登録番号57714 茨城県弁護士会所属) 市川法律事務所に所属する弁護士です。 

はじめに

「自分の財産を誰に残したいか、きちんと決めておきたい」 「子どもたちが相続でもめないようにしておきたい」

そのような思いから遺言書を作ることを検討する方は多いです。

しかし遺言書は、正しい形式で作成しなければ法的に無効になってしまいます。せっかく書いた遺言書が無効では意味がありません。

この記事では、遺言書の種類・作り方・注意点について解説します。


1. 遺言書を作る意味

遺言書がない場合、原則として遺産分割協議などで遺産を分割することになります。しかし、その分割協議が必ずしも故人の生前の意思などに合うとは限りません。

遺言書を作ることで、

  • 特定の人に特定の財産を残せる
  • 法定相続人以外(介護をしてくれた長男の妻など)にも財産を渡せる
  • 相続人間のトラブルを防げる

などといったメリットがあります。


2. 遺言書の種類

遺言書には主に3種類あります。

① 自筆証書遺言

自分で手書きして作る遺言書です。

民法968条で定める自筆証書遺言の要件は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない 」となっています。 訂正の仕方も法律で決まっています。

作成要件

  • 遺言者本人が全文を自筆で書きます。パソコンや代筆はできません(※)。対象財産を特定や網羅できていないと、せっかく遺言を作成しても後で争われる可能性があります。
  • 遺言者本人が日付を自筆で書きます。 正確に書きましょう。西暦を使っても、元号を使っても構いませんが、年月日を記入しましょう。「吉日」などの記載は日付が分からず遺言が無効となりますし、~年~月だけの記載で日の記載がないと特定ができず無効です。
  • 遺言者本人が氏名を自筆で書きます。 戸籍上の氏名を書きましょう。
  • 押印する。名前の後に印鑑を押します。正確に押印しましょう。

※2019年1月13日より、財産目録についてはパソコンで作成したものや通帳のコピーを添付することも認められるようになりましたが、以下の対応が必要になると考えられます。

・遺言書の本文と対応する番号を財産目録にふる

・【添付の要件】財産目録の全ページ(紙の裏表ある場合は、裏表とも)の余白に、署名・押印する

・要件とはいえないが、第三者の変造を防ぐため用紙の隅にページ数を書き(「1/2」「2/2」等)ホチキス等でまとめる。ページの境目に契印を押しておくなどの対応も必要です。

 

メリット

  • 費用がかからない
  • いつでも作成・変更できる
  • 内容を秘密にできる

デメリット

  • 形式の不備で無効になるリスクがある
  • 偽造・変造のリスクがある
  • 紛失するリスクがある
  • 家庭裁判所での検認手続きが必要(法務局保管制度を利用した場合を除く)

訂正する場合

加除その他の変更は,遺言者がその場所を指示し,これを変更した旨を付記して特にこれに署名し,かつ,その変更の場所に印を押さなければならない(民法968条2項)とされており,この方式に則っていない訂正等は無効になります。なお、訂正等が無効になるだけで,遺言全体が無効になるわけではありません。

つまり、

・遺言書における訂正箇所を指示する。

・指示した訂正箇所の部分について変更した旨を付記する。

・付記に署名する。

・訂正箇所に実際に変更を加える。

・変更を加えた訂正箇所に印を押す。

という順序を踏みます。

 

② 公正証書遺言

公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。

作成手順

  1. 遺言の内容を決める
  2. 証人2名を用意する(相続人・受遺者・その配偶者や直系血族は証人になれない)
  3. 公証役場で公証人の前で遺言の内容を口述する
  4. 公証人が遺言書を作成し、遺言者・証人が署名・押印する

メリット

  • 公証人が作成するため形式不備による無効リスクがほぼない
  • 原本が公証役場に保管されるため紛失・偽造のリスクがない
  • 家庭裁判所での検認手続きが不要

デメリット

  • 費用がかかる(財産の額によって異なるが数万円程度)
  • 証人2名が必要
  • 内容が証人に知られる

③ 秘密証書遺言

内容を秘密にしたまま公証役場で存在だけを証明してもらう遺言書です。実務上はあまり使われません。


3. 遺言書の効力

遺言書で決められること

  • 相続分の指定
  • 遺産分割方法の指定
  • 特定の財産を特定の人に渡す(遺贈)
  • 認知
  • 未成年後見人の指定
  • 遺言執行者の指定

遺留分に注意

遺言書があっても、遺留分(一定の相続人に保障された最低限の取り分)を侵害することはできません。

遺留分を侵害する遺言書も有効ですが、侵害された相続人から遺留分侵害額請求をされる可能性があります。

遺留分が認められるのは、配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属(父母等)です。兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺言書の優先順位

複数の遺言書がある場合、日付が最新のものが優先されます。前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなすとされています。


4. 自筆証書遺言でよくある無効のケース

日付が不明確

さきほど記載したとおり、「令和〇年〇月吉日」という書き方などは、日付が特定できないため無効とされています。必ず年月日を明記してください。

全文が自筆でない

パソコンで作成した本文は無効です。

押印がない

押印がない遺言書は無効です。認印でも構いませんが、実印の方が望ましいです。

訂正方法が誤っている

自筆証書遺言の訂正には厳格な方式があります。訂正方法を誤ると、その部分が無効になることがあります。

これらは無効となるケースの一例にすぎません。


5. 法務局の自筆証書遺言書保管制度

令和2年7月から、法務局で自筆証書遺言書を保管してもらえる制度が始まりました。

この制度を利用すると、

  • 遺言書の紛失・偽造リスクがなくなる
  • 家庭裁判所での検認手続きが不要になる(法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される「遺言書情報証明書」は,検認の必要はありませんとされます。)

などのメリットがあります。

費用は遺言書1通について3,900円です。自筆証書遺言のデメリットを補う制度として活用をお勧めします。


6. 弁護士に依頼するメリット

遺言書の作成は自分でも行えますが、弁護士に依頼することで、

  • 遺言書を安全に作成できる。
  • 相続トラブルを防ぐ内容にアドバイスしてもらえる

遺言書は一度作成したら終わりではなく、財産状況や家族関係の変化に応じて定期的に見直すことも重要です。


まとめ

種類 費用 確実性 検認
自筆証書遺言 自筆なら無料  形式不備リスクあり 必要(法務局保管除く)
公正証書遺言 数万円  高い 不要

確実に遺言書を残したい場合は公正証書遺言がお勧めです。費用はかかりますが、無効になるリスクがほぼなく安心です(遺言者に遺言能力がなかったなどと争われるケースはございます)。

遺言書の作成についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。


本サイトの記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案への法的アドバイスではありません。具体的なご相談は弁護士にお問い合わせください。

 

弁護士 吉津和輝(茨城県弁護士会所属) 守谷・守谷市・取手市・つくばみらい市・常総市・龍ケ崎市・牛久市・土浦市・古河市・我孫子市・野田市など茨城県・千葉県北西部の相続のご相談をお受けしています。初回相談無料です。お気軽にお問い合わせください。